/撮影=杉原洋平/取材・文=川倉由起子

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NHK「おかあさんといっしょ」の“歌のお兄さん”として歴代最長在任記録を持つ“だいすけお兄さん”こと横山だいすけさんと、4月に“体操のお兄さん”を卒業した“まことお兄さん”こと福尾誠さん。2人は現在、親子で楽しめるファミリー向けミュージカル「世界迷作劇場」の全国ツアー中。W主演を務める本作の見どころはもちろん、お互いの印象や普段の関係性までたっぷりと話を聞かせてもらった。

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■だいすけお兄さんが明かす、まことお兄さんは「親戚っぽい感覚」

――NHK「おかあさんといっしょ」に出演していた時期は被っていないお二人。普段、交流はあるんですか?

【横山だいすけ(以降横山)】初めてちゃんとしゃべったのは、誠くんが“お兄さん”に就任してスタジオ収録が始まったくらいの頃だよね。

【福尾誠(以降福尾)】はい。みんなで一緒にご飯を食べに行って。そこで初めてちゃんとお話しました。

【横山】僕がたまたま見に来てて、「みんなご飯行く?」って誘ったら、お兄さんとお姉さんたちが「行く行く!」ってなって。

――お互いの最初の印象はいかがでしたか?

【福尾】僕からすると、ずっとテレビで見ていた方なので。すごく優しそうだな、でも実際は違ったりするのかな?なんて気持ちもあったのですが(笑)、本当に、イメージ通りでした。

【横山】あはははは。

【福尾】最初から今までずっと優しい。テレビで見ていたときとのギャップはビックリするくらいないです。

【横山】僕は、そのご飯のあとにあった「おかあさんといっしょ」60周年記念コンサートでの印象が実は強くて。誠くんは現役、僕は卒業生という立場で共演させてもらったのですが、誠くんのコンサートに向き合う姿勢がすごく誠実で。どうやったら自分のパフォーマンスを子どもたちにちゃんと届けられるか、どんな風に言葉を伝えるのがいいか……ということに真摯に向き合っていたんですね。いろんな先輩方に話も聞いたりしてすごく勉強熱心だなと思いました。あと誠くん自身のことで言うと、最初からちょっと親戚っぽい感覚があって。

【福尾】(笑)。実はそれ、僕もちょっとありました。

【横山】だよね!?(笑) ご飯会のとき、初めてなのになぜかすごい近い存在に思えて。誠くん本人にも言ったけど、かわいい弟的なものを感じたので、そこからちょこちょこご飯を食べるようになりました。

――そして今回、お二人がW主演の「世界迷作劇場」が上演。2017年のスタートから横山さんが主演を務めている本シリーズですが、今回、福尾さんを起用した経緯というと?

【横山】起用というよりも、誠くんが僕のやっている子ども向けやファミリー向けのステージにすごく興味を持って、よく見に来てくれていたのがつながったという感じです。「自分もいつかこういうことをしてみたいんです」というのも誠くんから直接聞いていて。

【福尾】僕はもともと“お兄さん”になる前から子どもが好きで、卒業後も子どもに関わる仕事を続けたいというのがあったんです。それをだいすけさんに相談させていただく中で今回のお話が決まって、本当に感謝の気持ちです。

【横山】お互いにいろんな刺激を受けられるというか。どんな化学反応が起こるか、すごく楽しみだね。

■静かな曲中に泣き声は日常茶飯事!ハプニングだらけの子ども向け舞台

――子どもやファミリー向けの作品にこれまで多くの出演経験がある横山さん。福尾さんにアドバイスしたいことはありますか?

【横山】とにかく飛び込んでもらって。僕が教えるというよりも一緒に作っていきたいという思いなので、誠くんが“お兄さん”で得たものをどんどん出してほしいです。お兄さんの代が変われば子どもたちもどんどん変わっていくと思う。僕は僕の時代に感じたよいものを提案するので、誠くんもそうしてほしい。自分がよいと思ったことはどんどん意見を言ってね!というのが、アドバイスというか、お願いかな。

【福尾】ありがたいお言葉です。確かに、だいすけさんのときのチームと僕のときのチームでそれぞれ違う見せ方をしてきた部分もあると思うし、せっかくこういう機会をいただけたのなら、それらをミックスしてよいものを作っていけたらなと。

――0歳の赤ちゃんから来場できる作品ということで、静かなシーンの泣き声など予期せぬハプニングもあるのではないでしょうか?

【横山】「おかあさんといっしょ」のときからそうでしたけど、もう、ハプニングだらけです!(笑)。静かな曲を歌っているときに「えーん!」は日常茶飯事、僕はそれで歌詞が飛んでしまったこともあります(笑)。でも、全然いいんですよ。子どもたちがありのままいられる空間を目指している以上、必ず起こるものだし、泣き声も演出のひとつとして僕らは捉えているので。赤ちゃんの頃からこういう作品に触れてもらえたらという気持ちがすごく強いので、周りに遠慮してしまうお父さんお母さんにこそ来てもらいたいです。

【福尾】僕、子どもが泣いたり騒いだりするのはアクシデントと今まで捉えていなかったかも(笑)。子どもが素直にいろんなことを感じて、楽しんでもらえればそれでいいのかなって思います。

【横山】子どもが泣いてもそこはお互いさま、みんな通るとこだよねっていう空気が、この「世界迷作劇場」には常に溢れていたらいいなと思います。