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給与収入だけで老後資金をまかなえるのか不安に思う人が増えている。多くの人にとって「投資」が避けて通れない時代になってきた。資産を増やすという点で大きな選択肢の1つになるのが株式投資だ。「株投資をはじめたいけど、どうしたらいいのか?」。そんな方に参考になる書籍『株の投資大全ーー成長株をどう見極め、いつ買ったらいいのか』(小泉秀希著、ひふみ株式戦略部監修)が3月15日に発刊された。「ひふみ投信」の創始者、藤野英人氏率いる投資のプロ集団「ひふみ株式戦略部」が全面監修した初の本。株で資産をつくるためには、何をどうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。前回に続いて今回も、レオス・キャピタルワークス 株式戦略部 シニア・アナリスト 大城真太郎さんのコラムより抜粋。

――個人投資家にとって親しみやすい小売や外食の分野についてうかがいます。消費者から同じように好まれているのに、片方はすごく伸びて、片方はあんまり伸びない、というようなことがよくあります。どこでそうした差がついてくるのでしょうか。個人投資家としてそういうことを見分けられたらと思うのですが。

大城真太郎(以下、大城) 消費者として「ここはいいな」と思う感覚は大事だと思います。しかし、それだけだと小売・外食の株に投資するにはちょっと足りないと思います。小売や飲食の会社が成長できるかどうかは、利益体質と出店戦略によってかなり左右されるからです。

 利益体質ということでは、特に、原価のコントロールができて売上高総利益率がきちんと確保できるかどうか、販管費をコントロールして売上高営業利益率をきちんと確保できるのかということが大事だと思います。

 出店戦略については見境なく出店するのではなく、収益が確保できるように厳選して出店しているかどうか。それらのことによって、キャッシュフローをきちんと生み出して資金力を付けることが非常に大事です。そうした資金力が成長戦略の大事な裏付けになります。ですから、消費者としての感覚に加えて、ある程度財務的なチェックも必要かなと思います。

――株式投資をしていると、いろいろな投資テーマが注目され人気化することがあります。こうした投資テーマに対してどう接していったらいいのでしょうか?

大城 株式市場で人気化しているテーマに注目するのはいいのですが、何も考えずに買ってしまうと高値をつかんで失敗してしまうことが多いです。

 何かのテーマに関心をもったら、一度きちんと自分なりに調べたり考えたりしてみることです。そして、将来的に業績が拡大するという裏付けが自分なりに持てる銘柄をターゲットにして、投資テーマとして騒がれなくなって株価が十分に下がったところで買う、というようなやり方がいいのではないかと思います。

 本当に長期的に有望な銘柄であれば、そのくらいゆったり構えて投資する形でいいのではないでしょうか。

 たとえば、再生エネルギー関連の銘柄は2020年11月ぐらいに一回大きく上がりましたが、そこから相場の熱が冷めて半年ぐらいで株価が元に戻りました。私も再生エネルギーは有望な分野だと思いますが、皆が騒いでいる時には一歩引いてみて、それが落ち着いたところを見計らって買う、という感じで対応するのがいいのではないかと思います。

小泉秀希(こいずみ・ひでき)
株式・金融ライター
東京大学卒業後、日興證券(現在のSMBC日興証券)などを経て、1999年より株式・金融ライターに。マネー雑誌『ダイヤモンドZAi』には創刊時から携わり、特集記事や「名投資家に学ぶ株の鉄則!」などの連載を長年担当。『たった7日で株とチャートの達人になる!』『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ザイが作った「株」入門』ほか、株式投資関連の書籍の執筆・編集を多数手がけ、その累計部数は100万部以上に。また、自らも個人投資家として熱心に投資に取り組んでいる。市民講座や社会人向けの株式投資講座などでの講演も多数。
ひふみ株式戦略部
投資信託ひふみシリーズのファンド運用を担うレオス・キャピタルワークスのメンバーにより構成された本書監修プロジェクトチーム。
ひふみ投信:https://hifumi.rheos.jp/