どうすれば「一緒にいて楽しい人」になれるのでしょうか?(イラスト:Jam)

一緒にいると気持ちが明るくなって、いつまでも話していたいと自然に思ってしまう人。そんな人がいる一方で、残念ながら世の中には「一緒にいるだけで疲れてしまう人」がいるものです。本人はまったく自覚がなくても、相手をぐったり消耗させてしまったり……。

だれだって、「あの人は疲れる人だね」と言われたくないし、むしろ「一緒にいて楽しい人だね」と言われたい。でも、どうすればそんな人になれるのでしょうか?

なんと言っても、相手から好感をもたれるのは「会話がはずむ人」でしょう。どんな場面においても、笑顔で話がはずむ人がいると、楽しくなるだけでなく心強い気持ちになれるものです。そんな「会話がはずむ人」になるコツを『まんがでわかる 一緒にいると楽しい人、疲れる人』を書いた作家の有川真由美さんと、漫画家のJamさんが解説します。

「この人と話すと楽しい」と思ってもらうには


(イラスト:Jam)

年下の人と話をするとき、つい「教えたがり」になってしまうことはありませんか。 ちょっとお節介ぎみに、「こうしたほうがいいよ」「仕事ってこうなのよ」なんて言ってしまっていて、はっと気がつくと、相手はぼーっと、心ここにあらず……といった顔をしている……。つまらないのでしょう。

そこで、「自分ばかりしゃべっていては、だめじゃないか」と考えてやりがちなのが、「彼氏はいるの?」「仕事は楽しい?」と矢継ぎ早の質問。こういうとき、たいてい相手は「あ、はい……」なんて言いつつ、いくらか引きぎみになっているはずです。

話がはずむ人になるためには、「面白い話をしなければいけない」とか、「沈黙の間をつくってはいけない」とか思いがちですが、そんなことはありません。

人は、自分の話をしているときが、いちばん気持ちがいいのです。その話に相手が興味をもってくれて、いいリアクションがあり、そこから話が展開されれば、どんどん話がはずむ。そんなときはお互いに「この人と話すと楽しい!」と思っているはずです。

相手にどんどんしゃべらせ話をはずませるために、つぎの3つを意識してみてください。

 抜蕎陝匹妊螢▲ションせよ。△垢阿冒蠎蠅墨辰鮨兇譟A蠎蠅「話して楽しくなる話題」を探せ。「話を聞くこと」よりも、「話をさせること」が大事なのです。

会話のキャッチボールをするときの心得


(イラスト:Jam)

「相手に気分よく話をしてもらう」というのは、こちらはなるべく控えめにして話さないようにする、ということではありません。相手ばかりしゃべっていては、こちらもだんだん疲れてきますし、相手の話もだんだん先細りします。「話がはずむ」「話が盛り上がる」というのは、お互いが会話に加わって楽しくしゃべっているからこそ、です。

しかし、いきなり自分からは、しゃべりたいネタは言いだしにくいもの。「私、〜が得意なんですよ」「〜が好きで……」なんて話しても、相手には興味のないこともあります。

そこで、大切なのは、「自分のことを話すときは、相手の話にリンクさせて話す」というテクニック。このあたり、日本の名司会者、タモリさんが得意です。かつての昼番組での有名人とのトークもそうですが、どの番組においても、ゆるりと話しているように見えて、相手の話を広げるネタを探しています。

話している相手が温泉好きだとわかったら、「とっておきの温泉があるんだよ」「温泉のあとってコーヒー牛乳が飲みたくならない?」「温泉っていえば、昔、こんなことがあってね」(あくまでもイメージです)というように、“温泉”というキーワードにリンクさせ、 自分のなかにある情報を話します。相手はたいてい、「へー。すごーい」なんて興味津々。

相手が話すことを考えているときは、間をおいてじっと待っていたり、相手から返ってくる言葉が乏しいときは、自分が積極的になって話したり。その掛け合いが(といっても相手にはそんな気持ちはないでしょうが)、タモリさんの心配りで絶妙なものになっているのです。

会話のキャッチボールで、勝手にボールをもっていくことはしない。相手のペースに合わせて、ボールを投げたり、ボールを保持していたりするわけです。自分の話をしながら、ときどき「自分はこう思うけど、あなたはどう思う?」「あなたは、そんなことない?」と、相手が話に加われるように問いかけることも忘れません。

もしも、会話がかみ合わないとしたら、単純に、相手の顔を見ているようで見ていないから。ちゃんと顔を見ながら話している人は、相手の表情やあいづちなど、リアクションが薄いときは「いまのわかりにくかった?」と別の角度から話したり、つまらなそうなら話題を変えたり。自然に「私もそういうことがある」「それは楽しいよね」と共感ベースの会話になるから、一緒に楽しめるのです。

また、会話には“合いの手”がとても重要です。「そうですか……」と気のない返事では、相手も話す気力がなくなっていきます。「わかります」「そうですね」「ええ」といった“あいづち”だけでなく、「それはすごい!」「なんと!」「ひゃー」「なるほど〜」というように、“感動”を表すと話は盛り上がります。相手は「私の話をよろこんでくれている」と調子よく会話のボールを投げ返してくれるでしょう。

相手を尊重した話ができる人は、どんな人と話しても楽しい会話ができるはずです。

少しだけ意識していればセンスは身につく


(イラスト:Jam)

職場、家庭、友人、恋人など、どんな関係でも、頭一つ抜け出して「楽しい!」と思うのは、“笑い”のある関係でしょう。笑いといっても、ギャグとかダジャレのような大笑 いではなく、「今日は楽しかった!」と人を和ませる“ユーモア”です。

ユーモアのある人は、「人生を楽しんでいるなぁ」と思わせる魅力があり、心の余裕や頭のよさも感じさせます。

ユーモアのセンスは、もともともっている才能のように思えますが、間違いなく考え方のクセです。大阪の人の多くが話の最後に面白い“オチ”をつけるのは、みんながそうしているから、つねにオチを考えて話すクセがあるのです。

ユーモアとは、面白くする「表現の工夫」。センスを磨くためには、普段から「ちょっと面白い表現」をしてみることでしょう。笑いには自虐やモノマネ、言い回しなど高度なパターンがありますが、高いレベルをねらわなくてもOK。

まんがで紹介した3つの工夫で、がんばりすぎず、少しだけ言い方を変えるうちに、センスも身についてくるはずです。

面白いことに気づきやすくなるには

ところでユーモアのある人というのは、「言葉の表現力が優れている人」でもありますが、それだけでなく、「面白いことに気づきやすい人」のことでもあります。


たとえば、街を歩いていて「ね、あの看板って面白くない?」と人が気づかないことを見つけたり、ファッション雑誌のサンダル特集を見ていて「このサンダルの形って、おしゃれなパンツに見える」と一味違った着眼点があったり。

職場で「2時過ぎに急に眠くなって、5時過ぎに急に元気になる」「上司が出張土産を買ってきた日は、1日限定でやさしくなれる」という法則を発見したり……。ちょっとした「面白いこと」にいち早く気づく人は、一緒にいて楽しいものです。

この才能は、天性のものではなく、間違いなく「面白いことに気づこう」とするクセからくるものでしょう。しかし、「どっかに面白いこと、落ちてないかなぁ」と見つけようとしても、気づくものではありません。それより、日常にあるものを、ほかの人にはない視点で見て、おかしさや滑稽さに気づき、新鮮なうちにそのネタを「面白くない?」とシェアする……そんなクセのように思います。

だから、ユーモア感覚が研ぎ澄まされている人は、1日に何度も、面白いことに気づきます。がんばる必要もありませんが、日常のささいなことを、「これってどういうこと?」「どうして、こうなるの?」「逆に考えたら……」と、愉快な視点で見ようとするだけでも、面白いことに気づきやすくなるでしょう。

(有川 真由美 : 作家)
(Jam : 漫画家・イラストレーター・ゲームグラフィックデザイナー)