食器を洗うために用いられる「食器洗浄機」は、汚れの除去や殺菌などの目的でセ氏70度から85度の熱湯を用いるほか、洗浄後は食器に温風を当てて乾燥を行っています。そんな食器洗浄機でサーモンを調理する家庭料理が「ディッシュウォッシャー・サーモン」です。

Dishwasher Salmon with a Piquant Dill Sauce Recipe | Bob Blumer | Food Network

https://www.foodnetwork.com/recipes/dishwasher-salmon-with-a-piquant-dill-sauce-recipe-2013387



Can You Really Cook Salmon in a Dishwasher? | Kitchn

https://www.thekitchn.com/can-you-really-cook-salmon-in-a-dishwasher-putting-tips-to-the-test-in-the-kitchn-218048



Dishwasher salmon - Wikipedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Dishwasher_salmon

「ディッシュウォッシャー・サーモン」は1975年にアメリカのテレビ番組「The Tonight Show」において俳優のヴィンセント・プライス氏が紹介したメニューです。プライス氏は「ディッシュウォッシャー・サーモン」について「どんな愚か者でも調理が可能な料理」と語っていました。

Vincent Price on Johnny Carson - Cooking Segment - Nov, 21, 1975 - YouTube

その後、元シェフのボブ・ブルーマー氏が「ディッシュウォッシャー・サーモン」の詳細なレシピを紹介しています。ブルーマー氏による「ディッシュウォッシャー・サーモン」の作り方は以下の通りです。なお、レシピは4人前となっています。

◆材料

・乾燥機能付き食器洗浄機

・6オンス(約170g)のサーモン切り身4枚

・レモン汁大さじ4

・塩小さじ1/2

・黒コショウ小さじ1/2

・破れにくいアルミホイル

◆作り方

1. アルミホイルを12インチ(約30cm)四方の正方形に切り取ったものを2枚用意します。アルミホイルの上にサーモンの切り身を各2枚ずつ並べて置き、アルミホイルの端を折り畳みます。その後、サーモンの切り身2枚につき大さじ1のレモン汁を加え、塩・コショウで味を調えます。その際、お好みでレモンや香草などを加えてもOK。



2. 切り身の乗ったアルミホイルを、折り目を付けてしっかりと畳み、空気が入らないようにして手で軽く押さえつつ密閉します。その際密閉が足らないと、水や洗剤がアルミホイル内に入る可能性があり、食感や味が損なわれます。



3. 密閉したアルミホイルを食器洗浄機の一番上のラックに置き、「通常」モードで洗浄を開始します。その際はお好みで汚れた食器とレモンの香りの洗剤を加えてもいいそうですが、「初心者にはオススメできない」との注意書きがあります。なお、食器洗浄機を持っていない場合はオーブンでも代用可能とのこと。



4. 洗浄が完了したら、アルミホイルを開き、サーモンを皿に盛って完成です。その際ディルを使ったソースなどをサーモンにかけることでより一層おいしく食べることができるそうです。



実際に「ディッシュウォッシャー・サーモン」を家庭で調理したというクリスティン・ギャラリー氏によると、約45分で調理が完了し、食器洗浄機の中の匂いを嗅いでみてもサーモンの生臭さは感じなかったとのこと。また、調理されたサーモンからも洗剤やその他特別な匂いは感じられなかったことを報告しています。



さらにギャラリー氏が「ディッシュウォッシャー・サーモン」を食べてみたところ、真空調理法で調理したようなフレーク状の食感に仕上がっており、食器洗浄機で調理したことを感じさせない、非常に質の高い味に仕上がっていたことを明かしています。

◆調理の際の注意点

ブルーマー氏は「ディッシュウォッシャー・サーモン」を調理する際の注意点として、「丸ごと1匹を調理するのではなく、必ず切り身を使う」「慣れないうちは汚れた食器や洗剤を一緒に入れない」「熱湯による消毒や温風乾燥を簡略化する『エコノミー』モードや『クールドライ』モードでの調理は避ける」「逆に熱を加えすぎる『ポット&パン』モードでの調理も避ける」ことなどを挙げています。

YouTuberのトム・スコット氏が自宅で「ディッシュウォッシャー・サーモン」を調理した際の映像が以下。油を加える以外の下準備は行いませんでしたが、スコット氏は「ディッシュウォッシャー・サーモン」の出来栄えについて「完璧」と語っています。

Salmon in a Dishwasher - YouTube

なお、「ディッシュウォッシャー・サーモン」の調理については、加熱温度が一定なオーブンでの通常の調理と異なり、食器洗浄機は温度が一定ではなく、加熱が不十分で食中毒につながる危険性が指摘されており、一般的には推奨されていません。