ステッカーで車の機能や装備、性能をアピールするのは“時代遅れ”?

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車のカスタムやドレスアップは今や、車好きや一部のユーザーだけが行う楽しみとなっています。

そんななか、車のボディや窓にステッカーを貼り付けるドレスアップは、比較的ハードルが低く、アウトドアやアパレルなど、車以外の自分の趣味や嗜好に合わせることができるため、人気となっています。

しかしかつては、車の機能や装備、性能をアピールするステッカーが大人気だった時代があったのです。

「憧れの的」となっていた車のステッカーですが、「4WD」や「TWIN CAM」といった「同じ車両でも装備の違いをより明確に差別化しているステッカー(以下、装備ステッカー)」は今ではほとんど見かけなくなりました。

当時、装備ステッカーが憧れの的だった理由は?

画像は日産 スカイライン 2ドア ハードトップ 2000 ターボ RS-X R3 6代目 1984年

かつては、同じ車両でも、装備の違いをより明確に差別化するステッカーを貼り、自身の車のグレードをアピールをすることがメジャーでした。

装備ステッカーにはさまざまな種類、デザインがあります。かつては、純正で装備ステッカーやペイントをボディに施した車や、中にはボディに大きく搭載装備を描く車までありました。

車の機能や装備、性能をアピールするステッカーの例は、「4WD」や「TWIN CAM」といったものです。

現代でも「4WD」のバッジを付けている車は多く見かけますが、目立つような大きな文字で描かれているわけではありません。なぜなら、今ではそれらが当たり前の装備となってしまったからです。

しかし1980年代、「TWIN CAM」や「TURBO」といった装備は「夢の技術」であり、「高性能の証」でもありました。こうした技術の台頭により、車の走行性能の向上を目的としたカスタムによる差別化も、どんどん加速していきました。

実際に、ボディキットなどをはじめとした外装パーツを取り付けて、より豪華でスポーティな外見へとカスタムするユーザーも少なくありませんでした。

そのような「夢の技術」を搭載した車であることを周囲にアピールするためには、ステッカーがうってつけでした。やがて「ステッカーのかっこよさ」も当時の車好きにとっては重要な要素となったのです。

また、1980年代、日本は個別の好みに応える、デザインの優れた車の開発に力を注ぎ始めました。そして、それまでの「少品種大量生産」に代わる「多品種少量生産」の時代が始まりました。

こうした背景が、車による他人との差別化が始まり、自分の車をアピールしたいという行動に拍車をかけたともいえるでしょう。

装備ステッカーの現在は?販売担当者に聞いてみた!

このように、当時はユーザーによる装備ステッカードレスアップが人気だったのですが、やがてメーカーも純正エンブレムを用いて、同じ車両でも違いをより明確に差別化していました。

そんなメーカー純正の装備ステッカーやエンブレムの現状について、ホンダの販売店担当者は、次のように話します。

「以前は純正としての取り付けもありましたが、現在は『4WD』や『TWIN CAM』といった、装備を見せつけるようなステッカーの取り付けは行っていません。理由としては、それらが当たり前の装備になったことから、ニーズがなくなったためです。

現在販売しているモデルには『HYBRID』や『PHEV』などのエンブレムが標準装備としてあります。

しかし、これらは違いをアピールすることを目的としたものではなく、メンテナンス上付けているものになるため、以前とは用途がガラリと変わっています。」

また、同担当者は、次のように話します。

「ホンダでは、エンブレムやステッカーをゴールドやブラックにするというオプションがあります。現在は装備のこだわりによる差別化ではなく、デザイン性を重視した差別化が多くなっている印象です」

このように現在、標準装備されているステッカーは、かつてと比べ、用途が変化しています。メーカー純正の装備ステッカーはほとんど供給がありませんが、社外品を探せばお気に入りが見つかるかもしれません。

多くのユーザーが装備ステッカーをつけない時代だからこそ、デザイン性を重視し、こだわりの装備ステッカーを取り付けるというドレスアップもよいかもしれませんね。