“寝る前”にコーヒーを飲むメリット・デメリットを管理栄養士が解説 どのような健康効果があるのか

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「寝る前のコーヒー」と聞くと、眠れなくなるというイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし、これは半分正解・間違いなのです。コーヒーのメリット・デメリットをしっかりと理解すると、寝る前でもコーヒーを楽しむことができます。そこで、今回は、寝る前におすすめのコーヒーの飲み方について、管理栄養士の亀崎さんにお話しを伺いました。

“寝る前のコーヒー”にはリラックス・疲労緩和効果が! 睡眠前に飲むコーヒーの効果とメリットを管理栄養士が解説

編集部

コーヒーにリラックス効果があるのは、豆の香りによるものでしょうか?

亀崎さん

アロマとしても注目されることが多いコーヒー豆の香りには、脳からリラックス作用があるα波を出すことが分かっています。特に、最高級とも呼ばれる「ブルーマウンテン」や「グアテマラ」は、その香りを嗅ぐことで、脳から放出されるα波の量が増えるとの結果が証明されています。ただし、すべてのコーヒーにリラックス効果が期待できるというわけではありません。豆の種類や焙煎の仕方によって、リラックス効果の出方は変わるといわれています。

編集部

コーヒーに含まれているカフェインには、リラックス作用があるのは本当でしょうか?

亀崎さん

覚醒作用のイメージが強いカフェインですが、実は、リラックス効果があることが分かっています。ある研究によると、ストレスを与えたラットにカフェインを摂取させると、大幅にストレスが軽減された効果が得られました。生理食塩水を使用した場合には、ストレス反応の減少が約15%だったのに対して、コーヒーでは約63%、カフェインでは約66%も減少したとのことです。この研究結果からも、カフェインにはリラックス効果があることが証明されています。

編集部

睡眠前にコーヒーを飲むとどうなるのでしょう?

亀崎さん

リラックス効果を得ることができるコーヒーは、上手に飲むことができれば睡眠前に飲んでも問題ありません。ただし、飲み過ぎてしまうとカフェインの過剰摂取になるため、注意が必要です。また、睡眠前に飲む場合、α波を増やしてくれるブルーマウンテンやグアテマラの豆を選ぶとよいでしょう。加えて、香ばしい香りでさらにリラックス効果を高めてくれる深煎りのものをおすすめします。

寝る前のコーヒーで気をつけておきたいポイントは? 寝付けなくなる覚醒作用やトイレが近くなる利尿効果に要注意

編集部

カフェインの覚醒作用について、もう少し詳しく教えてください。

亀崎さん

リラックス効果があるカフェインですが、飲んでから30分以上経過すると、覚醒作用があらわれるといわれています。そのため、もし、睡眠前に飲む場合、飲んで30分以内には、寝ることをおすすめします。また、コーヒーを2杯も3杯も飲み過ぎてしまうのもおすすめできません。カフェインの過剰摂取になってしまい、覚醒作用だけでなく、胃痛などの不調が生じてしまう危険性も高まります。

編集部

睡眠前にコーヒーを飲むと、睡眠中にトイレで目が覚めるほどの利尿作用があると聞いたことがあります。本当でしょうか?

亀崎さん

通常、腎臓で体に必要な水分は再吸収されて、不要なものが尿として排出されます。しかし、カフェインは体にとって必要な水分も体の外に排出してしまうのです。そのため、コーヒーを飲み過ぎてしまいカフェインの過剰摂取になると、尿量が増えてしまいます。睡眠前に飲み過ぎてしまうと、夜中に尿意に襲われて目が覚める可能性も高くなります。

編集部

覚醒作用や利尿作用は、カフェインの摂取量に気をつければ、避けることができますか?

亀崎さん

身近な飲み物にも含まれていることが多いカフェインは、リラックス効果や短時間の覚醒作用など嬉しい効果もあります。一方、農林水産省も注意喚起を出しているように、過剰摂取には注意しましょう。めまいや不眠、下痢、嘔吐などさまざまな症状が出る場合もあります。そのため、コーヒーの摂取は1日1~2杯に抑えることをおすすめします。また、睡眠前に飲むとしても、1杯までにしておく方がよいでしょう。

※参照:農林水産省「カフェインの摂り過ぎに注意!」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/syoku_anzen/baransu/r0212/caffein.html

夜寝る前にコーヒーを飲む際の注意点は? 睡眠改善に効果的な飲み方のコツも併せて管理栄養士が解説

編集部

リラックス効果で眠りにつくためには、コーヒーの量はどのくらいがおすすめですか?

亀崎さん

カフェインの過剰摂取は、体内にカフェインが残留してしまい、覚醒作用を長時間にわたり続く可能性が高くなります。個人差もありますが、カフェインの量が体内で半分になるまでに約4時間かかるといわれています。アメリカでは、健康な大人の1日のカフェイン摂取量は400mgとされ、コーヒー3~5杯分に相当します。利尿作用に関しては、1~2杯までであれば、急激に尿量が増えて、トイレに行く回数が増えることもないとはいわれています。そのため、睡眠前にリラックス効果に便乗して眠る場合、1杯(約100ml)までにしておくことをおすすめします。

編集部

寝る何時間前までに、コーヒーを飲むのがおすすめですか?

亀崎さん

カフェインの量が半分以下になる4時間位は、体はカフェインの影響を受けやすい状態とされています。そのため、理想は17時以降にはコーヒーを飲まないことがおすすめです。ただし、コーヒー好きな人にとっては、1日の最後の締めをコーヒーで終わらせたいという人もいるかもしれません。その場合、カフェインの覚醒作用が起こるのが、飲用後30分経過後といわれています。そのため、睡眠前にコーヒーを飲みたい場合、寝る30分以内に飲むことをおすすめします。

編集部

寝る前にコーヒーを飲む場合、気をつけておくべきことはありますか?

亀崎さん

「寝る前にコーヒーを楽しみたい」。そんな人に知ってもらいたいポイントは3つです。
ポイントは3つです。

・ホットで飲む
温めると香りも最大限に感じることができるため、リラックス効果が得やすくなります。可能であれば、リラックス効果が得やすい香りの豆を選びましょう。また、体が温まることで、リラックス効果の倍増が期待できます。

・カフェインレスやデカフェを選ぶ
カフェインの耐性に関しては、個人差もあります。そのため、人によっては、少量のカフェインであっても、覚醒作用などの影響を受ける可能性もゼロではありません。もし、コーヒーは飲みたいが、カフェインの悪影響も気になるという場合、カフェインレスやデカフェのコーヒーを選びましょう。

・カフェオレにして楽しむ
コーヒーはブラック派という人も多いかもしれません。豆本来の香りを楽しむという点でブラックもありですが、カフェインのさまざまな作用を1番受けやすくもあります。牛乳には、睡眠を促してくれるセロトニンという成分の材料でもあるトリプトファンが豊富に含まれています。そのため、睡眠前にコーヒーを楽しむ場合、よりリラックス効果を倍増させるためにも、牛乳を加えてカフェオレにするのもおすすめです。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

亀崎さん

コーヒーを寝る前に飲んでも問題あるか・ないかは、飲み方次第です。寝る前のコーヒーの飲み過ぎは、逆に危険になってしまうため、おすすめのポイントをしっかりと参考にして、コーヒータイムを楽しんでくださいね。

編集部まとめ

眠気覚ましのイメージが持たれやすいコーヒーが、実は飲み方次第ではリラックス作用で眠気を誘導することを解説していただきました。豆の種類や焙煎度だけでなく、飲むタイミングなどいろいろ気をつけるポイントはありますが、あなたの要望とライフスタイルにあった方法を選ぶことができるとよいですね。その上で、ぜひ、コーヒータイムを楽しんでください。

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