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正社員であっても、3人に1人が年収300万円以下*という現在(*国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」より)。短期間で着実に年収を上げる解決策は「転職」ですが、転職者の中には「年収が上がった人」と同じくらい「年収が下がった人」が存在します。成否の差はどこにあるのでしょうか? 10回転職したキャリアコンサルタント・森田昇氏の著書『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。

「転職準備」には最低3ヵ月必要

「1日10分、スマホをポチっとするだけで年収アップします!」

というのは詐欺案件かFX自動売買ツールの案内ですが(まったく勝てないので騙されないように)、転職活動自体は事前準備さえ済んでしまえば1日10分、スマホをポチるだけでできます。転職エージェントの紹介案件や、転職サイトで意中の企業を検索して応募ボタンを押すだけですからね。

とはいえ、これはあくまで事前準備が済んだ後の、書類選考や面接といった応募以降の話。転職の事前準備には相応の時間がかかります。まず‥梢Δ量榲を「今、ここ」で考えた後に、⊆己分析と2饉卅びの判断軸を決定、そしてけ募先の選定までが転職の事前準備です。慎重に考える必要がありますし、すぐに応募できる体勢を整えるためにも最低3ヵ月はかけてください。

「転職で成功する人、失敗する人」の分かれ目は“事前準備”

私たちの普段の仕事と同じように、転職も事前準備で9割決まります。もし、転職にそこまで興味がない人でも、転職活動の事前準備だけは実施することをおススメします。今の会社の待遇があなたにとって本当に適切なのかが分かりますから。「履歴書や職務経歴書まで書け、なんならジョブ・カードも(知らない?)」、というわけではありませんのでご安心ください。事前準備だけで十分です。

準備不足のまま転職活動に取りかかった場合、どんな問題が起きるでしょうか。「思っていたより時間がかかってしまった」だけならいいですが、最悪なのは「転職したのに年収がダウンした」です。厚生労働省による「令和3年雇用動向調査結果の概要」では、転職で賃金が減少した転職者の割合は2021年で35.2%と、同調査の転職で賃金が増えた転職者の割合(34.6%)とあまり変わりません。これらはすべて準備不足によって起こってしまうトラブルなので、きちんと準備ができていれば避けられます。

事前準備として最初に行う、転職における目的を見失ってしまうこともよくあります。この本では年収アップにフォーカスしていますが、それだけが転職の目的ではないですよね? 年収300万円から脱出するのはもちろんのこと、時間的自由や空間的自由といったワークライフバランスもあったと思います。

事前準備が疎かだと心に余裕が持てません。必死に目の前の書類作成や面接といった作業をこなしていくだけだと、よく考える時間もないので「苦労して転職活動したのにブラック企業へ入ってしまった」という、目も当てられない事態に陥ってしまうこともままあります。

こういった事態を避けるためにも、事前準備は絶対に欠かせません。逆に言えば、事前準備さえシッカリできていれば転職は成功したのも同然です。なにせ、転職は事前準備が9割ですから。

転職のおおよそのスケジュール感

転職にかかるおおよそのスケジュール感を3分割すると、

1. 事前準備(3ヵ月)

2. 応募から選考(2ヵ月)

3. 内定から退職(1ヵ月)

多少の増減含め、おおよそ6ヵ月見込みです【図表】。大手転職サイトが3ヵ月以内で決められると謳っているのは、事前準備ができた後の話だからです。事前準備の期間が転職活動の半分を占めると覚えておきましょう。

【図表】転職のスケジュール感 出所:森田昇著『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)より

「2. 応募から選考」をたった2ヵ月で終えられるのか、不安になる人もいるかもしれませんが、それ以上は時間をかけられません。メンタルが持たないからです。たとえメンタルが強固な人でも、書類選考や面接後に届くお祈りメールを何度も受け取ると精神的に参ります。妥協や譲歩、我慢と諦めから転職条件が緩くなっていき、ついには年収アップすら手放してしまいます。冷静さを失わないためにも事前準備は入念に行い、実際の行動は早く終えましょう。

これが、ヘッドハンティングやリファラル採用といった、最近流行の転職方法でしたらもっと早く決まります。しかし、そういったスカウトがあった場合でも、のるかそるかの判断軸となる事前準備は、通常の転職時と同様に3ヵ月かけるのが無難です。

短縮するのはあくまで「2. 応募から選考」以降の期間だけです。

「スカウト待ち」ではなく「スカウトされに行く」

スカウトのことを説明しますね。ヘッドハンティングとは、経営幹部や専門職といった、事業運営に欠かせない優秀な人材を他社からスカウトする採用手法のことです。このようなハイクラスな人材は引く手数多なため、転職サイトを使っても企業が見つけるのは困難です。そのため、ヘッドハンティング会社や転職エージェントに依頼して、独自のルートで人材を探し出します。所属している会社にダメージを与える意図もある引き抜きとは違い、ヘッドハンティングは純粋に人材を必要としての手法です。

一方、リファラル採用とは、自社の社員に友人や知人を紹介してもらう採用手法のことです。企業理念や文化を理解している社員がリクルーターとなり、人柄をよく知る友人や実力を把握している知人を紹介するため、企業と応募者の間で採用のミスマッチが起こりにくい利点があります。離職される可能性が低いことから、近年広まりつつあります。

将来的な転職希望者の中にはヘッドハンティングやリファラル採用されるために、頑張って人脈を作ったりLinkedInやTwitterといったSNSで実績や考えを発信したりする人もいます。これは遠回りなので今すぐ止めましょう。

誰かに必要とされるのは嬉しいし気持ちいいし格好良いですが、評価されるまで長期間ひたすらSNSを頑張るといった受け身の姿勢より、自分から応募した方が短期間で決まります。断然早いです。

人脈を作るならさっさと転職したい旨を伝える、SNSで発信するなら意中の企業にDMを送る、という攻めの姿勢で、やると決めたら「今やる、すぐやる、さっさとやる」の勢いで応募しましょう。応募したい会社選びや意中の企業をどう決定するのか、その判断軸を決めることが転職の事前準備ですから。

森田 昇

10回転職したキャリアコンサルタント・中小企業診断士

何の資格も技術もないまま就職氷河期の1998年に大学を卒業、社会人となる。新卒入社した年収300万円のブラックIT企業四天王の一角(当時。その後倒産)を3年で辞めた後、2社目は1ヵ月で、3社目は2ヵ月で退職。サラリーマン生活20年間で10回の転職を経験し、年収の乱高下を味わうも「ちょいスラ転職」で年収300万円からの脱出を果たす。

この転職法を紹介した再就職支援セミナーをハローワークで100回以上開催、2,000人の転職と再就職の支援をする。Twitterフォロワー数合計13,000人。著書に『売れる!スモールビジネスの成功戦略』(明日香出版社)がある。