[6.2 U-16インターナショナルドリームカップ第2戦 U-16日本代表 6-1 U-16ナイジェリア代表 Jヴィレッジスタジアム]

 目標の存在にまた一歩近づく一撃だった。U-16日本代表は前半2分、右CKからファーサイドでマークを外したFW大石脩斗(鹿児島城西高)が先制ヘッド。U-16日本代表初選出のストライカーは両手を広げてサブ組の下へ駆け寄り、代表2戦目での初ゴールを喜んだ。

「上手くマーク外せて、あとはもう合わせるだけでした。嬉しかったです」。この日の対戦相手は、アフリカの雄・U-16ナイジェリア代表。鹿児島城西高入学前のサニックスカップで外国人選手と対戦していたが、また異なる当たりの強さを感じたという。

 だが、「当たりは自信あるので、別に怖くはなかったです」。その大石は前半17分、伸びるような跳躍で浮き球に競ると、再び自分のところへ飛んできた浮き球を頭でPAの空いたスペースへそらす。これで抜け出したFW神代慶人(熊本U-18)が決め、大石にアシストがついた。

 大石は前半43分にも速攻からのゴールの起点に。2日前のU-16アメリカ代表戦は鹿児島城西と異なるサッカースタイルや周囲との距離感に慣れず、なかなかボールに触ることができなかった。強引にキープし、一人で局面を破ろうとしたシーンについては評価もされていたが、悔しい“代表デビュー戦”に。この日のプレーについても、「もっと点獲れたと思います。もっと収めて、もっとチャンスメーカーになりたい」と満足は全くしていなかった。

 鹿児島城西へ進学した理由は、“半端ない”先輩FW大迫勇也の存在が大きい。「城西に来たのは、(監督の)新田(祐輔)先生の熱い誘いもあるんですけれども、大迫勇也選手の存在が大きいです。(憧れているところは、)身体強くて、全部マイボールにして、点をたくさん決めるところです」と説明する。

 大迫は鹿児島城西高3年時にU-19日本代表に選出され、インターハイと選手権でともに得点王。特に選手権では最多記録の10得点をマークして“半端ない”という代名詞のきっかけとなった。その後、鹿島、ドイツ、日本代表で活躍し、今季は神戸で絶好調。その先輩に追いつくことが現在の目標だ。

 大石は高校1年生ながら、プリンスリーグ九州1部でゴールを決め、球蹴男児U-16リーグでの活躍も評価されて年代別日本代表初選出。鹿児島城西の新田監督から「自分の持っている力を全部出して来い」と送り出されたU-16日本代表の活動で一つ結果を残した。

「(大迫選手に)まずは追いつきたいです、ちゃんと結果を残して追いつきたいです」。高さや抜け出しの速さ、左右両足のシュートは他に負けたくないポイント。今回の「]U-16インターナショナルドリームカップ2023 JAPAN」は残り1試合だが、「今慣れてきたのでフィットしてちゃんと決めたいです」。次世代の“半端ない”ストライカー候補は4日、U-16オランダ代表のゴールを破ってチームを優勝へ導き、また一歩先輩に近づく。


(取材・文 吉田太郎)