JR中央線の中央特快で新宿駅から30分弱、多摩エリア最大級のターミナル駅立川駅周辺で開発が相次いでいます。交通の要衝であり、エリア有数の繁華街を擁する立川ですが、その一方で公園あり、行楽施設あり、自然にも近い街は住む場所としても魅力的です。

多摩モノレール立飛駅。2015年以降、この駅の周辺でさまざまな施設が誕生、今も新たな施設が建設中です(筆者撮影)

立川駅周辺が変わり始めた理由

複数の延伸計画のある多摩モノレール。多摩エリアの鉄道駅から遠いところ、鉄道駅のないところなども繋いで走っています(筆者撮影)

東京都の多摩エリアで最大級のターミナル駅、立川駅はJR中央線、青梅線、南武線の3路線が乗り入れており、そこに交差するような形で多摩モノレールが走っています。交通の中心であると同時に、駅北口には大規模商業施設や商店街、南口にも商店街のほか飲食店が多数集まっており、多摩エリア有数のにぎわいを見せています。

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カギを握る地元企業とは?

もともと繁華だった立川ですが、2015年以降、新たな商業施設やレクリエーション施設などが立て続けに誕生、より話題を集めるようになっています。その背景には、立川市の中心部に約98万平方メートルの土地を保有する立飛ホールディングスという会社の存在があります。

同社のルーツは1924年に設立された飛行機を設計、製作、販売を事業目的とした株式会社石川島飛行機製作所にあります。東京都中央区月島にあった工場が立川に移転してきたのは1930年のこと。1934年からは軍用制式機「九五式一型練習機」(赤とんぼ) を製作、1936年には立川飛行機株式会社に商号を変更しています。

終戦で事業が閉鎖、会社施設を連合国軍最高司令官総司令部(GHQ) に接収された時点で在籍総人員は4万2,000人以上といいますから、当時の一大企業だったのです。

戦後、何度か商号を変え、飛行機で培った技術力で飛行機以外にも電気洗濯機、軽三輪乗用車、消毒器、カーヒーター、機械式駐車装置(スペースキット)などを作ってきた同社が不動産賃貸、開発に取り組みだしたのは1973年以降。それまで米軍に接収されていた土地が返還されたためです。当初は倉庫、ビルなどが中心でしたが、次第に結婚式場や店舗、ショールームなど多岐に渡る施設を建設、賃貸するようになっていきます。

2015年にららぽーと立川立飛が誕生

転機となったのは2012年に同社がグループ創立88周年を記念してグループ内の経営統合を行い、所有不動産の一体開発の第一弾として2015年にオープンさせたららぽーと立川立飛(以下ららぽーと)です。

今昔マップon the webで見た現在(右)と1998年~2005年(左)の地図。「たちひ」と書かれた駅の周辺にはあまり建物もなく、使われていないことが分かります(出典:今昔マップon the web)

多摩モノレール立飛(たちひ)駅は、JR立川駅と乗り継ぎ可能な立川北駅から上北台方面へ2駅目。ららぽーとができる前の地図(1998~2005年)を見ると当該敷地には立飛企業立川製造所とあり、特に何も建てられていない状況です。

ららぽーと立川立飛。1階には公園広場があり、道を挟んではフットサルコート、シネマコンプレックスがあります(筆者撮影)

そこに誕生したららぽーとですが、各種店舗、飲食店に加え、シネマコンプレックス、動物病院も含めた各種クリニック、フットサルコートなどと多彩な施設がそろっています。そのためか、1階の公園広場、2階のイベント広場にはいつもファミリーの姿があり、楽しそう。家族みんなで遊べる場ということでしょう。

立飛駅周辺に続々と新施設

商業施設ができ、人が集まってきたところにさらに新たな施設も続々と登場しました。

立飛駅から立川駅方面を見たところ。青い塀で囲まれている部分がタチヒビーチ。その左側、緑に囲まれているのが「Fuji赤とんぼ保育園」です(筆者撮影)

時系列で並べると2017年には人工の砂浜とバーベキュースペースがあり、ビーチスポーツも楽しめる「タチヒビーチ」、3,000人程度の収容能力のある「アリーナ立川立飛」、2018年には「Fuji赤とんぼ保育園」、「ドーム立川立飛」、2021年には本格的なクラフトビールを製造する立飛麦酒醸造所(立飛ブルワリー)が誕生と言った具合です。遊ぶ、味わう、育てるなどさまざまな機能をもった施設がそろえられていることが分かります。

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右手に見えているのはアリーナとドーム。左側にはららぽーと立川立飛が見えており、立飛駅周辺に集中して施設が立地していることが分かります(筆者撮影)

同社のホームページを見ると、代表が「大規模・好立地の不動産という社会資本財を持つ会社の責任として、地域で一番愛される企業を目指して参ります」と宣言しており、地元に資する施設を造ろうという姿勢が伺えます。それが立川に次々と住んで楽しくなるような、行きたくなるような施設が生まれている理由というわけです。

緑と水の新街区も話題に

2020年にはよりJR立川駅の北側、多摩モノレール沿いにGREEN SPRINGS(グリーンスプリングス)という大型で複合的な機能を備えた街区も誕生しています。この街区はいろいろなメディアで取り上げられていることから、立川周辺の人以外でも知っているかもしれません。

広場の中央にある池、緑の空間で遊ぶ子どもたち。夏に行くとカスケードで子どもたちが水遊びをしているなど、都市の、駅のすぐ近くとは思えない風景に出合えます(筆者撮影)

建物中央にビオトープもある緑の空間、長さ120メートルものカスケード(階段状の滝)など、これまでの商業施設には見られないような自然を取り入れているのが特徴で、同社ではこの街区を「空と大地と人がつながるウェルビーイングタウン」と名付けています。

最近ではよく聞くようになったウェルビーイングという単語ですが、ほんの2~3年前には耳新しく、何ができるのだろうと期待されたもの。誕生してみると誰にとっても気持ちよく過ごせる空間となっており、現在では年代、性別を問わず、多くの人が散策、語らいを楽しむ場になっています。

また、ここに生まれたソラノホテルは道を挟んで向かい合う国営昭和記念公園(以下昭和記念公園)を望むスパがあり、こちらも話題になりました。立川は都心から十分に日帰り圏ですが、この施設ができたことでわざわざ立川に宿泊する、旅の目的地とする人も生まれています。その点では、立川という街に新たな魅力を付け加えた施設と言えます。

これからも続く立飛の変貌

ムラサキパーク立川立飛の建築現場。右奥に見えているのが立飛駅です(筆者撮影)

そして、立川の進化はこれだけに留まりません。今後もいくつかの変化が予定されています。ひとつは関東最大級といわれるスケートパーク「ムラサキパーク立川立飛」。2023年3月に発表された計画では屋内外スケートパークに、大型ムラサキスポーツ店舗を併設する施設になるとのこと。スケートボードを楽しむ人にはもちろん、競技会場としても高いクオリティーを備えた施設になりそうです。

多摩モノレール沿い、タチヒビーチやFuji赤とんぼ保育園に隣接した土地ではすでに建物の建設も始まっており、完成予定は2023年7月です。

さらに2つの施設が誕生する予定

こちらはスケートリンクの建設予定地。すでに柵で囲われ、計画の掲示がありました。右奥に見えるのは立飛ブルワリー、その左手には産婦人科+小児科のクリニックになります(筆者撮影)

もうひとつ、スポーツ施設ができます。それがフィギュアスケーターの浅田真央さんの名前を冠した「MAO RINK PROJECT」。スケートリンクの建設予定です。予定地はららぽーとと道を1本挟んだ向かい側で、近くには前述の立飛ブルワリーがあります。こちらは2024年秋の完成予定です。

スケートリンク建設予定地の向かい、ブルワリーの向かいに建設中のクリニック(筆者撮影)

現地を訪れてみると、予定地の向かいでも建物の建設が進んでいました。こちらはロビンの空クリニックという産婦人科+小児科のクリニック。このエリアに住むファミリーにはうれしい施設でしょう。2023年8月にオープン予定とのことです。

年を追うごとに施設が増えて便利になる立飛駅周辺ですが、周辺にはまだ駐車場や空き地などもあります。これからも新たな計画があり得るかもしれません。

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立川駅周辺には整然とした街区が

ここまで主に多摩モノレールの立飛駅周辺の開発について紹介してきましたが、立川駅周辺から立飛駅周辺にかけてはそれ以外にもさまざまな街区、施設があります。以下、簡単に紹介していきましょう。

複数の駅ビル、大型商業施設が集積

南口側。手頃な飲食店が多く並び、ランチ時にはビジネスマンの姿を多く見かけます(筆者撮影)

まず立川駅南口側ですが、駅前には飲食店が多く集積しており、北口側よりも大人の街といった雰囲気。大型商業施設の多い北口側に比べると小規模な建物が大半です。

立川駅北口。駅ビルルミネ立川があり、ペデストリアンデッキからはほかの商業施設にも行けるようになっています(筆者撮影)

駅そのものにも多数の商業施設、飲食店があります。駅ナカにはエキュート立川、駅直結の商業施設グランデュオ立川にルミネ立川もあります。駅の外に出なくても買い物、飲食ができるわけです。

駅北口を出ると正面には伊勢丹、ビックカメラなどの大規模店があります。北口大通りに面しては商店街もあり、中には創業80年以上という鰹節店も。

オフィスにアートの点在する街区

ファーレ立川。100点以上の彫刻があちこちに置かれており、知らないで訪れるとびっくりするかもしれません(筆者撮影)

それ以北の、多摩モノレールを挟んでグリーンスプリングスの東側にはファーレ立川という街区があります。ここは1994年に都市再生機構(当時の住宅・都市整備公団)によって造られたエリアで、正式名称は「立川基地跡地関連地区第一種市街地再開発事業」。

ファーレ立川全体像。左側に多摩モノレールが走っており、その左側にグリーンスプリングスがあります(出典:たちかわ立川シティ21 2018年11月)

整然とした大きな街区とあちこちに点在するアートが印象的な場所で、立川高島屋S.C.、立川シネマシティなどの商業施設に加え、複数のオフィスビル、立川市中央図書館などが立地しています。

広大な公園の近くに住む幸せ

広大な昭和記念公園は立川市だけでなく、隣接する昭島市にもまたがっており、出入り口も多数設けられています(筆者撮影)

前述のグリーンスプリングスは、道を挟んで昭和記念公園と向かい合っています。公園自体はそこから西、北に延びており、総面積は180ヘクタールにも及びます。公園内には水辺や森、広大な広場、カフェにフットサルコート、バーベキューガーデンと、さまざまな施設、遊びが用意されています。

昭和記念公園の全体像。L字になった右側には官庁街があり、道路を挟んではグリーンスプリングスがあります(出典:たちかわシティ21 2018年11月)

敷地の広さを活かしてイベントなどが開催されることもあり、近くに住んでいる人はこれだけの豊富な自然を庭のように使えると思うとうらやましいことです。

整備された官庁街も隣接

昭和記念公園の周辺には立川市役所、自治大学校、警視庁多摩総合庁舎、陸上自衛隊駐屯地東部方面航空隊などの公共施設が並ぶ街区があります。まっすぐな道路に整然と建物が並んでおり、雰囲気は緑の多い官庁街といったところ。立川市の消防署、警察署などもこの一画にあります。

歩いて安心、楽しい、立川駅周辺

立川駅北側は米軍の接収からの返還後に新たに計画的に造られてきた地区が多く、整然とした、用途のはっきりした街区が並んでいます。道幅、空地がしっかりとられた街になっていることはもちろん、緑やアートなどが適宜配されており、安心して楽しく歩ける空間になっていることも特徴です。

もし、10年前あるいはそれより以前の立川駅周辺を知っている人からすると、今の立川駅周辺はまるで別の街のように見えるはず。

立川市でも新築マンションの相場価格は近年上昇傾向にありますが、築20年以上の中古マンションであれば70平方メートルで2,700万円台が平均と、23区内と比べて手が届きやすい価格帯となっています。23区内のみならず、武蔵野市、三鷹市などに比べても手頃で、購入を考えている人には注目してほしいところです。

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家族で訪れても、一人、二人で訪れても楽しい街ですから、これからの住まいを考えている人ならぜひ一度足を運び、話題の施設を覗いてみてはどうでしょう。その多様さに驚くはずです。

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