5月26日、円相場が約半年ぶりに1ドル=140円台をつけ、記録的な円安は一時的なものではなくなりました。この継続的な円安は静岡県内でもさまざまなところに影響を与えています。

【写真を見る】続く円安影響じわり ステーキ店「10%値上げ。苦渋の決断」温泉「外国人客増え」=静岡

静岡市にあるハラミステーキが自慢の店では、円安の影響を如実に受けています。

円安の影響を受けているステーキ

<STEAKGOLD 松下秀宣社長>

Qどこの肉を扱っている?

「牛肉は8~9割がアメリカ産かカナダ産、オーストラリア産を使っている」

Q円安の影響は出ているか?

「ハラミ肉は10年前に比べて4倍、まだまだ上がり続けている」

外国牛の値上がりを踏まえてこんな対応も。

<STEAKGOLD 松下秀宣社長>

「比較的に安定しているのが国産の黒毛和牛なので国産牛のメニューを増やしている。苦渋の決断ですね」

これまで企業努力で価格を維持してきましたが、5月から平均で10%の値上げに踏み切りました。

ここ1年の為替相場の動きです。2022年からアメリカの景気が好調で、円を売ってドルを買う動きが加速。22年10月に1ドルあたり150円台に乗った後、一度落ち着きを見せましたが、5月、約半年ぶりの140円台を記録しました。基本的に130円台以上での推移と継続的な円安となっていることが分かります。

常時500種類のワインを取りそろえているショップでは、円安の影響を受けつつもさまざまな取り組みをしています。

<ヴィノスやまざき商品部 保坂清仁さん>

「ユーロやドルは上がっているが、オーストラリアはここ1年安定しているため、そういった国からの輸入量を増やすことで極力お客さまには迷惑をかけないようにしている」

商品価格になるべく反映しないようにと模索を続けています。

<ヴィノスやまざき商品部 保坂清仁さん>

「20年以上ワインの直輸入しているが、為替の影響や現地の政治状況などを常に注視しながらやっている」

これまでの経験を踏まえ、この状況にも一喜一憂しないといいます。

一方、この円安の波に期待を寄せている業界も。焼津市にある温泉旅館です。新型コロナによる水際対策がなくなり、さらに円安が進む中で外国人観光客が急激に増えています。

<湊のやど汀家 清水由子女将>

「月平均で20%ぐらいのお客さまが海外からお見えになっています」

特にアメリカからの観光客が多く、温泉やおもてなしのサービスなど、日本文化を体験できることが人気の理由と分析します。

<湊のやど汀家 清水由子女将>

「うちでは食事なしでも利用できるようにしているので、そういった点でも外国人観光客が選びやすいのでは」

円安は外国人を受け入れる観光業にとっては絶好の機会。静岡県内のホテルや旅館が加盟する組合が、インバウンド観光客向けに日本の宿泊施設特有のルールやマナーなどが分かる動画やホームページを制作しました。温泉の入り方などを分かりやすくイラストで表現し、英語・中国語・韓国語の3か国語に対応しています。

<湊のやど汀家 清水由子女将>

「これからも何があるか分からないので旅館を一生懸命守っていきたい」

この円安は日本経済の動向に別の影響も与えています。日経平均株価の推移ですが、30日もバブル後の最高値を更新しています。株価を押し上げる要素の1つが円安です。輸出をする企業は円安によって売り上げ金額が増えることになるため株が買われる仕組みです。

静岡経済研究所の恒友仁常務理事は今後の円相場について、円安の傾向は続くとみていますが、アメリカの景気が悪化すると落ち着く可能性もあると分析しています。