”自然派”を自称する、意識高い系ママ

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 子どもと2人きりの閉塞感に悩み、話を打ち明けられる人との交流を求めていた河野りぬさん(@rinu.illustjob)は、近所に素敵な雑貨屋さんがオープンしたのをきっかけに、その店主であるママの主催する集まりに参加するように。しかし話してみると子育てへの考え方が根本的に異なる部分も多く、主張を押し付けられるような違和感を抱いたという。

【漫画】本編を読む「自称・自然派ママと分かり合えなかった話」

■子育て中の閉塞感「ジワジワと追い詰められていた」

 近所に新しくできた雑貨屋さんを訪れると、気さくな雰囲気のママが出迎えてくれた。その店には雑貨のほかに、店主のママ自作の調味料や食材も売られていて、原材料のこだわり、化学調味料・添加物を一切使っていないことなど一通り説明を受けた。「野菜は農地を借りて自分で育てる。魚は市場で買って、パパが週末にさばく」と既製品を買わずに何でもイチから作り始める意識の高さに、河野さんは尻込みしてしまったが、ママ友として今後交流できるかもしれない期待感が勝っていた。弱視である息子を育てるなか、話ができるママ友との交流を求めていた時期だったという。

 「子どもは可愛いですが、相手をしていると石を積んでは崩されるみたいなことが延々と続きますよね。石は例えですけど、片付けや家事だけでなく遊び全般そういう感じで、もちろんそれが可愛い所でもあるんですが、ずっと壁打ちしている感じで。その空虚さにジワジワと追い詰められていました」

 ママ友としてのつながりを得られる機会ではあったが、店主のママと話を進めていくと違和感を感じる場面も多々あった。たとえば、初対面時の会話で乳幼児が打つ予防接種を「打っちゃった?」と聞かれたこと。

「コロナ禍になる前の話です。センシティブな話題なので、勇気あるなぁと思いました。『話して良さそうだと信用してくれたのかな?』とも思いました」

■自分の主張以外は受け入れない姿勢にモヤモヤ

 予防接種には様々な考え方があり、それぞれ事情がある。見知らぬ人に自分の考え方を押し付けないようにするのがよいと河野さんは判断し、意見を伝えるのを控えたが、そのママは「一本も打たせていない」と明かし、その理由を河野さんに説いて聞かせた。

「相手に違和感があったのは、排他的な人間性です。他人には自分を受け入れて欲しいのに、自分は他の考え方を見下して不勉強と考えている。基本は相手を尊重する、距離を取るのが無難かなと思います。穏便にそちらはそちら、私は私という感じで…」

 漫画には「考え方は人それぞれですよね」「ポリシーを貫くのはいいけど、押し付けは止めてほしい」「今冷静に振り返れば『付き合う人は選べる』と思えるけど、育児で閉塞してる時に偶然差し込んだ光のような人脈に飛びついてしまうの分かります」とたくさんの反響が寄せられた。

 その後、河野さんはそのママが主催する集まりに参加してみたが、ママたちの意識の高さ、主張の極端さに付いていけないと感じ、フェードアウトすることに。もどかしい経験をしたが、あらためてママ友のつながりは必要であるかと問うと「過剰に恐れる必要はないと思いますね」と話してくれた。

「ママ友は戦友であり助けにもなり、気が合えば長い付き合いにもなります。学生時代の友達と変わらないと思います。インスタグラムでエッセイ漫画を発信していますが、ママさん達が楽しめる内容や、弱視のお子さんを抱えるフォロワーさんも多いので、その方達に向けて参考になる情報も発信していきたいと思います」