日本ダービーに出走するファントムシーフ(撮影:下野雄規)

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 5月28日に東京競馬場で行われる日本ダービー(3歳牡牝・GI・芝2400m)。3歳馬の頂点を決める“競馬の祭典”は今年で90回を数える。そんな節目の今年は“時代の転換期”を迎えようとしている。

「テン乗りではダービーを勝てない」「青葉賞馬はダービーを勝てない」など、様々なジンクスがささやかれることも、日本ダービーを盛り上げる要素の一つではあるが、近年この“ジンクス”は崩れる傾向にある。

 記憶に新しいのはシャフリヤールが制した21年の日本ダービー。当時は「乗り替わりではダービーを勝てない」「毎日杯組はダービーを勝てない」と云われ、特に毎日杯組に関して1着はおろか馬券内も無く、シャフリヤールと福永祐一騎手にとっては苦しいデータとなった。しかし、結果は圧倒的支持を受けていた無敗の皐月賞馬エフフォーリアを差し切り、2つの強力なジンクスを打ち破った。

「毎日杯組」といったローテに関するジンクスは外厩施設が充実し直行ローテが増えたことから、これから先多くのジンクスが崩れていくことが予想できる。昨年のクラシックでは、イクイノックスが東スポ杯2歳Sから皐月賞へ5カ月ぶりの実戦も2着に好走。今年のクラシックに関してもソールオリエンスが京成杯組として史上初の勝利を挙げた。「青葉賞馬のダービー制覇」こそ、いつ崩れても驚けない。

「テン乗り」といった鞍上に関するジンクスも、GIでの乗り替わりが当たり前になった今の時代では古い認識と言えるかもしれない。昨年のクラシックは桜花賞、皐月賞、オークスの3レースでテン乗り騎手が勝利した。そんな時代を表すかのように今年のダービーは18頭中7頭がテン乗りで出走。「乗り替わり」ジンクスが崩れた今、「テン乗り」ジンクスが崩れるのも時間の問題だろう。

 もっとも、歴代最多のダービー6勝を誇る武豊騎手は、98年スペシャルウィークでダービージョッキーとなるまで「武豊はダービーを勝てない」と言われていた。囁かれるジンクスを真逆に跳ね返したレジェンドは今年、ファントムシーフに“テン乗り”で出走予定だ。