画像生成AIや大規模言語モデルなどのAIが登場し、私たちの日常生活にもAIの存在を目にすることが多くなりました。それほどまでにAIは人類の生活に大きく関わっていますが、同時に高度に成長したAI技術による弊害も存在します。そんなAIが持つ危険性について、Microsoftのブラッド・スミス社長兼副会長が、「AIに関する最大の懸念はディープフェイクだ」と述べました。



How do we best govern AI? - Microsoft On the Issues

https://blogs.microsoft.com/on-the-issues/2023/05/25/how-do-we-best-govern-ai/



Microsoft chief says deep fakes are biggest AI concern | Reuters

https://www.reuters.com/technology/microsoft-chief-calls-humans-rule-ai-safeguard-critical-infrastructure-2023-05-25/



スミス社長は、AIの公共ガバナンスに関する5つのポイントの見通しを提示しています。

1:政府主導によるAIの安全性についての新しいフレームワークの実装・構築

2:重要なインフラを制御するAIに対して効果的な安全システム

3:AI技術やアーキテクチャに基づいた広範な法的規制のフレームワーク

4:透明性の促進と学術界および非営利団体によるAIへのアクセスの確保

5:AIを用いるための官民パートナーシップの追及

この5つの見通しを提示した上で、スミス社長は「私たちはディープフェイクを巡る問題に対処しなければならないでしょう。私たちは特にロシアや中国、イランで行われているようなサイバー活動への対策を行わなければなりません。人々をだましたり詐欺に遭わせたりする目的でAIを利用して正規のコンテンツを改ざんすることを防ぐ措置を講じる必要があります」と、ワシントンD.C.で開催された講演会で語りました。



by Web Summit

またスミス社長は「AIのライセンスには物理的なセキュリティやサイバーセキュリティ、また国家的なセキュリティを施し、脅威から保護する義務を負うべきです」と主張。「AIのモデルが盗まれたり、国の輸出管理要件に違反するような方法で使われたりしないようにするためには、新世代の輸出管理が必要になるでしょう」とコメントしています。

「AIに対する規制が不可欠で、政府による規制介入が重要だ」という意見については、OpenAIのサム・アルトマン氏もアメリカの公聴会で主張しています。スミス社長も、AIが引き起こす問題については人間が責任を負うべきだと述べ、特に水道や電気などの重要なインフラを制御するAIについては安全対策を講じるように求めています。

OpenAIのサム・アルトマンCEOが「AIの規制は不可欠」と発言、公聴会でChatGPTが法案を作成し国会議員たちを驚かす一幕も - GIGAZINE



また、Microsoftのサティア・ナディラCEOはスミス社長のツイートを引用リツイートする形で、「私たちは、常に安全で安心かつ透明な方法でAIを確実に構築・展開・使用するために、包括的なアプローチをとっています」と述べています。