『旦那の浮気相手とLINE友達になってみた』より(C)KADOKAWA
 “リアルに勝るものなし”というばかりのインパクトとカタルシスで、多くの人たちの人気を得ている不倫実体験告白マンガ。不倫相手と夫の双方からの慰謝料、夫からの財産分与を勝ち取って離婚にこぎつけたハッチさんは、そのスリリングで壮絶な戦いの過程をコミックエッセイで赤裸々に描き、反響を呼んでいる。自身の大きな心の傷をあえて晒す決意をした心情を聞いた。

【漫画】「私の中の何かが変わった…」不倫疑惑の夫が発したありえないセリフ

■土下座して謝罪する夫を冷静に追及「サレた人の心をズタズタにした」

――『旦那の浮気相手とLINE友達になってみた』というタイトルどおり、不倫相手に「友だち」として近づき、証拠を集めます。途中で悔し泣きするシーンもありましたが、つらい日々だったと思います。

【ハッチさん】彼は何も考えず浮気をしたのでしょうが、私一人だけを裏切ったのではありません。なぜなら、愛する両親や支えてくれた友人、幸せを祝福してくれた周りのみんなも傷つけたからです。私が愛する人たちを傷つける行為が、本当に許せません。それが、当時の原動力になっていました。なぜ、サレた被害者側が泣き寝入りをしなきゃいけないのでしょうか…? それを常に感じていたことも、私を突き動かしていたと思います。

――不倫相手は、「不倫なんて今どき当たり前(笑)」と、まるで既婚者を見下したような態度を見せていました。

【ハッチさん】不倫という、背徳感のある行為に酔いしれている人が多い印象があります。やがてその背徳感が、本気に変わっていくのでしょうか…。不倫や浮気は、今の法律を犯していませんが、個人的には立派な傷害罪になるのではと思います。

――不倫をする人たちは、大変な心の傷を負わせたということを理解していない?

【ハッチさん】サレた人の心をズタズタにして、家庭も滅茶苦茶にして…。そんな傷害を負わせている自覚が、彼らにあるのでしょうか? モラルがあるのでしょうか? 私の中で彼らは、傷害罪を犯した罪人のように思いますね。

――信じていたパートナーに不倫の疑惑を抱く心境は、どのようなものでしたか?

【ハッチさん】もやもや、いらいらして、ぐずぐず、うじうじ。そんなオノマトペが常に浮かび上がるような辛い日々を過ごしていました。先が見えない毎日で、いつ止むかわからない雨が連日降り続いているような気持ちでしたね。

――不倫相手と対峙する決戦シーンは、作品でも大きな山場でした。当時の心境は?

【ハッチさん】とくに高揚感もなく、「ざまぁみろ」という感じでもなかったように覚えています。マシーンのように冷静に追及していったという感じでしょうか。カフェで人目もはばからず土下座までしていましたが、それでも何の感情も湧きませんでした。「結婚式で見つめ合って、永遠の愛を誓った相手のツムジが見えているなぁ…」くらいにしか思いませんでしたね。案外そういうものなのでしょうか。

■わずかな一歩で変化した人生「辛いときこそ、自ら動いて運命を変えるべき」

――もともとインスタに、ご自身が不倫をされたエピソードを投稿していました。なぜ多くの人に伝えたいと思ったのですか。

【ハッチさん】コロナ禍でステイホームになったなか、最初は気晴らし程度の軽い気持ちで、グチのつもりで始めました。誰かに伝えたいとか多くの人に知ってほしいとか、そこまでの気持ちではありませんでした。でも投稿をしていくと、思っていた以上に私の話に共感してくれる人が日に日に多くなっていったんです。

――ご自身のエピソードを投稿したことで心境の変化はありましたか?

【ハッチさん】当時の行動と気持ちを整理して吐き出すことで、改めて自分というものを見つめ直すきっかけになりました。多くの方からコメントなどで応援していただき、その気持ちがとても嬉しかったです。

――不倫の問題は、たとえ離婚や慰謝料などで“解決”しても、精神的なダメージはずっと残ると思います。ハッチさんも騒動後、2ヵ月ほど体調を崩したそうですね。

【ハッチさん】離婚後も、何でこうなったのか、私の何がいけなかったのかと、自分を否定していたような気がします。もちろん相手が悪いんですが、それでも私が至らないところがあったからと思い詰めていました。

――ご自身の経験から、今不倫に悩む人へ声をかけるとしたら?

【ハッチさん】ほんのわずかな一歩を踏み出すことで、私の人生は大きく変わりました。我慢しなくてもいいんです。辛いときこそ、自ら動いて運命を変えるべきです。周りの人たちは、案外優しくサポートしてくれると思いますよ。