ロックシンガー浜田省吾のライブ映像『Shogo Hamada A PLACE IN THE SUN at 渚園 Summer of 1988』が現在、5月25日(木)まで期間限定で公開中です。(1週間の追加上映も決定しました)

本作は1988年8月20日、静岡県浜名湖畔「渚園」で行われた浜田省吾にとって三度目の野外ライブ『A PLACE INTHE SUN』を撮影した映像で、5万5千人を動員したライブを記録した膨大なオリジナルネガフィルムを、4Kデジタルリマスターと5.1ch サラウンドミックスで高臨場感を再現。

35年前の記録映像にも関わらず、まるで当時のライブ会場の空気感を感じさせる没入感あふれるコンテンツとなっており、話題の一作です。メガホンをとった板屋宏幸監督にお話をうかがいました。

■公式サイト:https://www.sh-nagisaen1988.jp/ [リンク]

●35年前の「渚園」の記録映像をスクリーンによみがえらせる今回の企画は、いつ頃どのような形でスタートしたのでしょうか?

トークライブ(2023年4月20日実施)でもお話したのですが、「渚園」を映画にしたいなと思ったのは2015年です。先に上映された『旅するソングライター』(SHOGO HAMADA ON THE ROAD2015-2016 旅するソングライター “Journey of a Songwriter”)が興行的に大成功を収めたことで、「渚園」の制作に着手できるようになったんです。僕の中にはそれまでもずっと「渚園」のネガフィルムのことは頭の片隅にありましたが、それを受けて現実味を帯びたと思います。

●元の映像はデータではないので、相当な工程を経ていますよね。

そうですね。まず倉庫からフィルムを全部出して、「渚園」と思われるネガフィルムをセレクトしました。その当時で30年前のネガフィルムですから大阪のイマジカにクリーニングに出して、それが終わるまでの作業が約2〜3か月です。次にきれいになったフィルムを4Kで一枚一枚スキャンする、気の遠くなりそうな作業を約1年以上。そして音が入っていない映像にスタッフが画を観ながら音を入れる作業に約3か月程度かかっています。

●公開までにはコロナ禍の影響もありましたか?

本来は2020年に公開する予定でしたが、その年の2月に緊急事態宣言(1回目)が出ました。それで翌年に公開を延ばしたのですが、世の中の状態がまだ芳しくなかったんですよね。ようやく去年、公開できるかなと思ったのですが、それでもまだエンタメには制約があり、やっと今年の5月5日に上映できるようになったのですが、実は完成は今年の3月6日でした(笑)。足掛け5年ほどかかりました。

●35年前ですが、ライブ当日のことは思い出されましたか?

もちろん当時、僕はライブ会場にいて撮影を指揮していたのですが、ライブを観ている余裕はなく、「渚園」がどういうライブだったのか、まったく覚えていないんですよ(笑)。まあ、無謀と言えば無謀でしたよね。5万5千人の観客、13台のカメラでフィルムは1ロールで11分しか回らないのに(笑)。フィルム撮影は中継車もないのでどんな画が撮れているかもわからない。なのでライブ後は充実感や達成感はまったくなく、疲労感と不安感ばかり。終わった後に滞在していた宿を出て、どう家に帰ったかも覚えてないんです。「こういうコンサートだったのか」って、これを作って初めて全貌がわかりました(笑)。

●完成した作品、改めていかがでしたか?

浜田省吾さんは今でも活動しされていますが、歌詞の普遍性、メッセージの一貫性は、今でも通用すると思いました。世界情勢など、先見性のある歌詞ですよね。若い子たちにもっと伝わるといいなと思います。

●ちなみに浜田さんご本人はご覧になっているのでしょうか?

まさか映画になると思ってもいなかったようなので、喜んでくれていますよ。35年前のかけがえないの時間を再現してくれて、スタッフみんなに感謝していますというコメントをもらいました。

●今日はありがとうございました。最後に一言お願いいたします。

110分間ですが、1988年8月20日、あの暑かった夏の日に戻ってあの時の大迫力のサウンドで楽しんでいただけたらなと思います。当時、「渚園」に行かれた方は、ご自身が粒子の大きさで映っておりますので、探してみてください(笑)。

■ストーリー
1988年8月20日、静岡県浜名湖畔「渚園」で行われた浜田省吾にとって三度目の野外ライブ「A PLACE IN THE SUN」。本作は、5万5千人を動員したライブを記録した膨大なオリジナルネガフィルムを、4Kデジタルリマスターと5.1chサラウンドミックスで高臨場感を再現したライブ映像。35年前の記録映像にも関わらず、まるで当時のライブ会場の空気を感じさせる没入感溢れるコンテンツ。

(執筆者: ときたたかし)