航空会社での役目を終えた旅客機が安置されている「飛行機の墓場」のなかで有名なのが、米・モハベ空港です。実際どのような空港で、その内部はどうなっているのでしょうか。実際に行ってみました。

原っぱの上に機体が鎮座…

 世界には、航空会社での役目を終えた飛行機が、敷地内にいくつも安置されているという空港が存在します。こういった空港は通称「飛行機の墓場」と呼ばれることがありますが、そのなかでも有名なのが、アメリカ・カリフォルニア州のモハベ(モハーヴェ)空港です。JAL(日本航空)協力のもと、その空港内に入ることができました。


モハベ空港(2023年5月、乗りものニュース編集部撮影)。

 モハベ空港は、ロサンゼルス空港から直線距離にして北東に130km弱の砂漠地帯に位置します。近くにはこれまた「飛行機の墓場」と知られるビクタービル空港(南カリフォルニア物流空港)もあり、この地域は世界的にも大規模な飛行機の安置エリアということができるでしょう。

 たとえば、モハベ空港に安置されているJALの「ボーイング777」は11機。見渡す限り遮るもののないカリフォルニアの広大な砂漠のなか、舗装もされていない原っぱに、これらが安置されています。機体の窓部分などには、普段は見たことがないような覆いがあり、一部パーツが欠損している機体も。雰囲気もやけに静かで、まるで時が止まったような厳かな雰囲気さえあります。まさに”墓場”という愛称がつくのもうなずけます。

 その一方でモハベ空港の「墓場」以外の顔ももっています。同空港の正式名称は「モハベ航空宇宙空港(Mojave Air & Spaceport)」。その名の通り、民間の宇宙産業の拠点となっている場所のひとつとなっています。

「墓場」モハベ空港、実はスゴイものだらけ?

 たとえば、117.35mにも及ぶ横幅から「世界最大の飛行機」とも称される「ロック」を用いて、宇宙空間の低軌道へロケットを打ち上げていたストラトローンチ・システムズなどが同空港を拠点としています。同社は現在、「ロック」から無人極超音速機試験機の発射をミッションとして、この空港で試験を進めています。

 このように特殊な用途で運用されているモハベ空港ですが、定期旅客便は就航していません、しかし空港内には小さな平屋の事務所があり、ここは一般の人も入ることができます。この事務所にでは、空港内に並ぶ機体をガラス越しに眺めながら食事をとれるレストラン、お土産屋などがあります。


モハベ空港(2023年5月、乗りものニュース編集部撮影)。

 また、空港の入り口には、NASA(アメリカ航空宇宙局)でスペースシャトルの着陸装置とブレーキ システムをテストするための研究航空機として活躍していた、ジェネラル・ダイナミクス社の旅客機「コンベア990」や空港事務所にロータリー ロケット カンパニー製(すでに事業終了済み)のロケット「ロトン」が展示。コンベア990は40機弱しか製造されておらず、このNASA機は、現在完全な形を保った数少ない機体とされ、とても貴重なものといえるでしょう。

 ちなみに、モハベ空港のレストランで食べられるハンバーガーは、1枚でも十分に極厚といえるパティが2枚入っており、これぞアメリカ!と言いたくなるようなデカ盛りです。もしかすると今後「モハベ空港の隠れ名物」になるかもしれません。