神戸のここまでの戦いぶりについては「内容的にも文句なし。チームとして本当にいい状態にある」

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ここまでの神戸の戦いぶりについては「内容的にも文句なし。チームとして本当にいい状態にある」

脱バルサ化がこんなにうまくいくとは思わなかった。見事だね。

昨季は開幕から11戦未勝利、三度も監督交代するなど苦しんだ神戸が、今季は第3節で首位に立つと、その後も安定した戦いを見せ、その座をキープしている(第13節終了時点、以下同)。リーグ最多得点(28)、最少失点(8)と内容的にも文句なしだ。

昨季までは中盤でじっくりパスをつなごうとしてうまくいかず、逆に相手のカウンターをくらうことが多かった。でも、今季は全員でハードワークして、ボールを奪ったら早く攻めるサッカーに変わった。

前線の大迫、武藤、汰木が積極的にプレスをかけ、中盤の山口、齊藤も豊富な運動量を生かしてピッチを走り回る。最終ラインはケガ人が相次いで万全とはいえない状況だけど、チーム全体で連動して守れている。 

攻撃面では大迫の存在が大きい。昨季は故障やコンディションの問題で苦労していた。W杯に間に合わせたいという焦りもあったんじゃないかな。でも、今季は開幕からキレのある動きを見せ、コンスタントに得点を重ねている。素晴らしいよ。

イニエスタが故障から戻れば、神戸はまた元のサッカーに戻ってしまうんじゃないか。チームの看板選手である彼をベンチに置いておくわけにはいかないのではないか。そういう懸念もあったけど、杞憂だったね。

吉田監督は采配を変えず、イニエスタもチームの雰囲気を壊すことなく、与えられた出番で粛々とプレーしている。今の神戸はチームとして本当にいい状態にあると思う。

ただ、このまま初優勝できるかといえば、まだわからない。30歳を過ぎたベテランが主力だけに暑い夏場をどう乗り越えるか。彼らを順番に休ませられるほど選手層は厚くない。特に得点源である大迫に何かアクシデントが起きたら代わりはいない。

だから、今夏の補強も考えるべき。三木谷オーナーにお願いすれば、ポンとお金を出してくれるはず。ピッチ外での動きにも注目したいね。

神戸以外では鹿島の復調ぶりが目につく。一時は岩政監督の解任も取り沙汰されたけど、その後、連勝して順位を上げてきた。 

ただ、内容的には不安定だし、まだ安心はできない。上位の名古屋には勝ったけど、それ以外は対戦相手にも恵まれた。これからほかの上位チームと対戦してどうなるか。

また、大黒柱の鈴木の負担が大きすぎるのが気になるね。守って、点を取って、リーダーシップを発揮して、チームを引っ張る。神戸の大迫以上に果たしている役割が多く、チームにとって代えの利かない存在だ。その彼に何か起きたらどうするのか。

今の鹿島は外国人が頼りない。主力としてプレーしているのはピトゥカだけ。せっかく外国人出場枠が5人あるのに、それを生かせていない。

その意味でも神戸同様に今夏の補強を考えたほうがいいけど、神戸と違って予算的に苦しそう。

鹿島は常に上位にいることを求められるし、選手やスタッフもそれを意識せざるを得ない。でも、それを達成するための補強ができないのなら、今季は目先の結果を意識しつつも、来季に向けての土台作りのシーズンと位置づけ、来季に勝負をかけるつもりでチーム作りをしてもよいと思う。

構成/渡辺達也