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BMW M史上最強のPHEVモデル

BMWは4月18日開幕の上海モーターショーで、M専用車XMに新たに追加された高性能モデル「レーベル・レッド」を出展した。4.4L V8ツインターボと電気モーターを搭載し、最高出力748ps、最大トルク102kg-mを誇るBMW M史上最強の市販PHEVである。

【画像】新境地を目指したBMW M最強モデル【BMW XMレーベル・レッドを標準車と写真で比較】 全41枚

V8エンジンは大幅に強化され、標準車より95psと20kg-mのパワーアップを実現。エンジン単体で最高出力585ps/5600rpmと最大トルク76.5kg-m/1800〜5400rpmを発揮する。


上海モーターショーで公開されたBMW XMレーベル・レッド    AUTOCAR

一方、25.7kWhのバッテリーや電気モーター(197ps、28.5kg-m)はほとんど変更されていない。BMWが特許を取得した新しいプリギアリング・ステージ技術により、モーターのトルク(トランスミッションへの供給)は最大45.9kg-mまで向上するが、これが常時利用可能なのか、ローンチ・コントロール設定に限定されるのかは明らかではない。

電気のみで走るEVモードの航続距離は、従来の82〜88kmから75〜83kmへとわずかに減少したが、同クラスのPHEVの中ではまだ競争力のある数値といえる。

これらのアップグレードにより、XMレーベル・レッドは0-100km/h加速3.8秒(標準より0.5秒の短縮)を達成。さらに、最高速度は250km/hだが、オプションのMドライバーズ・パッケージ装着車では290km/hに引き上げられる。EVモードでは140km/hに制限される。

電子制御式多板クラッチを介して両車軸に動力を送り、必要に応じて分割する。4WDスポーツモードでは、後輪へのパワー供給量を増やし、Mの特徴である後輪駆動のハンドリング・ダイナミクスを表現することができる。

また、リアアクスルのディファレンシャルは、必要に応じて左右の車輪にトルクを配分し、「ブレーキ操作なしでアンダーステアの芽を摘む」ことができ、48Vアンチロール機能によりコーナリング時の正確性と精度を高めるとされている。

派手なエクステリアに高級感あるインテリア

今回、レーベル・レッドが上海モーターショーでデビューを果たしたのは、XMにとって中国が(米国や中東と並んで)重要な市場であるからだ。

レーベル・レッドでは、XMの掲げる「オンステージ/バックステージ」という理念、つまりエクステリアは注目を集め、インテリアはくつろげるラウンジ空間であることをさらに強調している。フロントグリルやサイドウインドウにトロントレッドのアクセントを施し(オプションでブラックも用意)、インテリアにはレッドとブラックのトリムを採用した。


上海モーターショーで公開されたBMW XMレーベル・レッド    AUTOCAR

また、インディビジュアル・フローズン・カーボンブラック・メタリック塗装を施した500台限定の特別仕様車も用意される。インテリアに大きな変更はないが、フロントにレザーバケットシート、リアにはインフォテインメント専用スクリーン、タブレットホルダー、USB-Cポートを備えた「Mラウンジ」となっている。

アンビエントライト、4ゾーン・クライメートコントロール、Harmon Kardon製サウンドシステムを標準装備し、1475WのBowers & Wilkins製Hi-Fiがオプションとして用意されている。

4月28日より受注を開始し、価格は17万860ポンド(約2850万円)からとなる。

なぜ「XM」が誕生したのか

AUTOCAR英国編集部は、BMW M部門のフランク・ファン・ミールCEOにインタビューを行った。

――XMとM2の投入で、M部門のラインナップは完成したのでしょうか?

「この2台は、Mのブックエンド的な存在だと思います。Mは、BMWのすべての製品の高性能版を作っているわけではありません。一方、Mパフォーマンスでは、多目的車のような製品でない限り、ほぼすべてを提供しようとしています。しかし、高性能なMにとっては、多かれ少なかれ、これでいいと思います。全く違うMモデルを新たに作るのは意味がありません」

――M部門にとって、XMはどのような意味を持つのでしょうか?


上海モーターショーで公開されたBMW XMレーベル・レッド    AUTOCAR

「当然ですが、製品ラインナップの拡大は顧客層の拡大につながります。当社のお客様からはよく、『メルセデスにはGクラス、ランボルギーニにはウルスがある。アストン マーティンにもDBXがある。なぜMにないのか』と聞かれることがあります。つまり、こうしたSUVのようなクルマが増えるのは大きな需要があるからであり、Mにはこれに応える製品がなかったのです。そのため、このようなお客様に対する適切なオファーを作りたかったんです」

――X7のM版を作ればいいのでは?

「XMはM専用車にしたかったんです。例えば、GクラスはGLEともGLSとも違います。特定の目的に合わせて設計された特別なクルマであり、わたし達もそういうものを作りたいと思いました。そのようなクルマのお客様は、普通とは違うものを求めていますからね。そして、それはユニークで、外向的で、大胆であるべきで、クルマ自体がステータスであると同時に、ドライバーのためのものであるべきなのです。そうした考えがXMの背景にあります」