フランクリン・ プランナー / フランクリン・プランナー

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リスキリングが話題となっています。リスキリングとは、これまでとは異なる業務や事業に就くために新しいスキルを学び、身に付けることで、主にICT(Information and Communication Technology)関連のスキルを身に付けることを指しています。

国や自治体も後押ししており、リスキリングブームと言っても良い状況ですが、実態はどうなのでしょうか。

マイナビの調査(2023年3月「正社員のリスキリング実態調査(2023年)〜リスキリングで賃金は上がるのか〜」)によれば、8割の人が「リスキリングは必要だと思う」と考えているのに対して、実際に経験があると答えた人は44.8%、現在行っていると答えた人は22.5%にとどまっていました。多くの人が必要性を分かっていながらもできない、継続できない実態が浮かび上がっています。

なぜできないのかといえば、その理由の多くが「時間がない」でしょう。実際に同調査でも、できない理由の圧倒的1位が「時間がない/忙しいから」でした。

ジョブ型とリスキリング

このリスキリングは、企業側も力を入れており、「ジョブ型」の雇用形態への移行とともに、これからも増えていくと思われます。この「ジョブ型」への移行は、社員一人ひとりの能力開発を、これまで会社主導でやってきたことを個人主導に切り替えていくことの表れでもあり、今後、個人としてビジネススキルを磨いていくことは、今後ますます重要になりそうです。

この状態は、ある意味、個人として活躍したいと思う人にとっては願ったりかなったりでしょう。自分のスキルやキャリアが、会社都合ではなく、自分の意志として取り組むことができるわけですから、自分の責任の範疇が増える一方で、チャンスも広がるということになります。できれば会社都合のリスキリングではなく、自分の意志のもとキャリア戦略を考え、準備を進めていきたいものです。

リスキリングのための時間管理とは

これまで行ってこなかった「リスキリング」の時間を新たに生み出そうとすれば、時間管理を再検討する必要が出てきます。リスキリングに取組もうとする成長意欲のあるビジネス・パーソンは、忙しい毎日を送っているはずです。リスキリングをその忙しい毎日に取り入れるとなると、抜本的に時間管理の方法を変える必要がありそうです。

「リスキリング」のための時間管理の手順を考えていきましょう。

目的〜ゴール〜タスクの書き出し〜実行のリズム

まず、確実に実行するためには、リスキリングの目的を明らかにする必要があります。タスクを計画しても、「何のために」「なぜ行うのか」が明確であれば、実行時のモチベーションにもプラスになるでしょうし、将来に向けた方向性が見えていれば、行動がぶれることもありません。リスキリングによって、何を成し遂げたいのかをまず明確にしましょう。

次に、その目的に対して具体的な到達点、ゴールを定めます。たとえば、「来年10月までに統計検定に合格する」など、目標として達成したかどうかが明確にわかるものとして設定します。具体的なゴールを設定することで、達成できたかどうか、目標に近づいているのかどうかが分かるので、モチベーションの維持につながります。

次に、その目標達成のために必要な事柄を書き出します。この書き出す項目が多ければ多いほど、具体的な行動計画として計画が立てやすくなりますので、思いついたことはすべて書き出してみます。

目標達成できない大きな原因のひとつが、「具体的に行動計画が立てられていない」ことがあげられます。漠然と、「資格を取りたい」と思っていても、行動レベルにまで計画を落とし込まない限り、目標が実現する可能性は低いままです。やるべき行動が明確であれば、実行の可能性が高まります。

そして、実際に計画を立てる段階に入ります。さきほど書き出した項目(タスク)を見ながら、最初の段階で取り組む必要があるものを選び出してみます。

計画の進捗は最初が肝心です。スタートがうまくいけば、目標達成の可能性はぐっと高まります。

「資格の内容について調べる」「過去の試験問題集を購入する」などといったことがあげられるかもしれません。最初の1歩をどう踏み出すか、大切なポイントです。

ゴールが明らかになり、タスクが決まったら、タスクを実行していくリズムを考えてみましょう。リズムとは、「毎朝少しずつ行う」「休日などにまとめて時間をとって行う」「夜に数時間ずつ確保する」といったように、おおまかな行動パターンとして計画に組み込みます。

目標達成が難しい要因のひとつに、行動の継続性があります。最初のうちは実行していても、自分以外に指示する人はいませんから、よほどの強い意志を持たない限り、行動を先送りしてしまうことが多くなってきます。

こうしたことを防ぐためにも、自分の生活のリズムや仕事の内容を考慮し、もっとも実行の可能性が高まる方法を考えてみます。

リスキリングは、仕事を変えるためだけではなく、現在の仕事を見直す良いきっかけにもなります。常に、現状の課題に向き合い、今自分に何が必要かを考えていくことが何よりも重要なことなのかもしれません。