珈琲館「790円モーニング」がくれる優雅極まる朝
珈琲館の朝限定メニュー「トースト&スクランブル」は、昔なつかしい正統派のモーニング(筆者撮影)
喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。
そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第17回となる今回、訪れたのは「珈琲館」です。
喫茶店を筆頭に、ファストフードやファミリーレストランなどの飲食チェーンが密かにしのぎを削っているのがモーニングメニューです。
集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く現れ、どれも魅力にあふれています。
今回はコーヒーチェーン「珈琲館」の「トースト&スクランブル」をご紹介します。ミックスジュースやクリームソーダ、ホットケーキにナポリタンスパゲティなど、古き良き純喫茶の面影を残すコーヒーチェーンの、正統派のモーニングメニューで、幸せな朝のひとときを。
珈琲館のモーニングメニュー「トースト&スクランブル」790円
「珈琲館」のモーニングメニュー「トースト&スクランブル」の価格は、税込790円(店舗により価格が異なります。以下同です)、提供時間はオープンから朝11時までです。
トースト&スクランブルはトースト、スクランブルエッグ、ハム、サラダ、ドリンクのセット。筆者が訪れた店舗では税込790円でした(筆者撮影)
セット内容は、
・トースト
・スクランブルエッグ
・ハム
・サラダ
・ドリンク
です。
ドリンクは7種類で、
・珈琲館ブレンド
・アメリカン
・炭火アイスコーヒー
・紅茶(ダージリン)
・アイスティー
・オレンジジュース
・炭火珈琲(+60円)
から選べます。
なんの変哲もないオーソドックスなモーニングなのですが、調理や盛り付けが丁寧で、完成度が高いのが最大の特徴です。
もともとの価格設定が中価格帯のコーヒーチェーン
税込790円は、モーニングとしては少しお高めの印象を持つかもしれませんが、それはもともとの価格設定が中価格帯のコーヒーチェーンのためです。
セットドリンクで一番安い珈琲館ブレンドの単品料金が税込590円なので、単純計算すればモーニングプレート部分は200円になります。そう考えると決して高くはありません。
今回取材した店舗は、駅から徒歩10分ほどの場所にある、劇場を併設したショッピングモール内のテナントで、100席以上ある大型店です。公演時間の前後は劇場の利用客で混み合うのですが、平日のモーニングの利用客はサラリーマン数人のみ。
全員がモーニングを注文し、食べ終わったあとは、パソコンに向かって作業をしたり、スマホにイヤホンを挿して動画を見たりと完全なる長居モードで、自分だけの世界に没頭しているのが印象的でした。
某ファミレスチェーンなどは、注文したメニューの写真と現物があまりに違いすぎて愕然とすることもありますが、珈琲館のモーニングは、メニューの写真とほぼ同じ見た目の美しい朝食が提供されます。
白いお皿に、赤・黄色・緑と彩りもあざやかです(筆者撮影)
バタートーストに、半熟スクランブルエッグと半月ハム2枚(つまりはハム1枚)、サラダとドリンク。
スクランブルエッグの横にはケチャップが添えられ、サラダの緑、スクランブルエッグの黄色、ケチャップの赤と、色のコントラストが美しく、目で見ても楽しいモーニングプレートです。
珈琲館のコーヒーはこだわりのハンドドリップ
モーニングのレポートを書いていると、食べ物ばかりに目が行きがちなのですが、「珈琲館」はまず何よりコーヒーがおいしい。
珈琲館ブレンドはロゴ入りの白いコーヒーカップで提供されます(筆者撮影)
ドリンクメニューは「珈琲館ブレンド」をオーダーしたのですが、しっかりした苦味と控えめの酸味の、バランスがとれた深みのあるまろやかな味わいです。私が訪れた店ではオーダーしてから1杯ずつハンドドリップで淹れてくれますが、店によってはサイフォンのこともあるそうです。
普段カフェチェーンの紙コップ入りのコーヒーを飲むことが多く、それでも十分においしいと思っているのですが、行儀よくソーサーに乗ったロゴ入りのコーヒーカップで飲むブレンドは絶品です。
作りおきをしていないのと、ボタンを押すだけのコーヒーマシンと違い、手間暇がかかるため、提供までそこそこ時間がかかります。ですので、急いでいるときには不向きではありますが、逆に言えば時間的にゆとりがあるときにはぴったり。優雅な朝を送るための、素敵なアイテムになってくれます。
全てに手を抜かない正統派モーニング
食パンは5枚切り程度の厚みでした(筆者撮影)
軽くトーストした山形のイギリス食パンは、最初からバターが塗ってあります。厚切りなのに加え、トースト自体のサイズも少し大きめで、なかなかの食べ応えです。
最近流行りの、高級食パンの「しっとり・もっちり・甘みが強め」という、自己主張の強い食パンとは違い、ほどよく水分が抜けたサクッと軽い食感で、噛むと小麦の味がじんわり口のなかに広がります。
控えめでどんな食材とも相性がよい、名脇役という感じ。「珈琲館」では、サンドイッチにもこの食パンを使用しています。
半熟具合にこだわりを感じさせるトロトロのスクランブルエッグ(筆者撮影)
しっとりロースハムと相性抜群の、芸術品のような絶妙の半熟具合のスクランブルエッグ。このスクランブルエッグを作るためには、弱火で絶えず卵液をかき混ぜ続ける必要があるので、このなんてことのないサイドメニューひとつからこだわりがひしひしと伝わってきます。
小さめのガラスココットに盛り付けられたサラダは、パプリカやコーンも入っています(筆者撮影)
サラダはレタス、サニーレタス、パプリカ、コーンが入って具だくさんです。レタスとサニーレタスは小さくカットされているので食べやすく、丁寧に盛り付けられたパプリカとコーンは見た目をよくするだけでなく、味に変化をつけてくれます。
トーストにハムとスクランブルエッグを乗せればオープンサンドに(筆者撮影)
特にどこかが凝っているとかでもないのですが、全てにおいて手を抜いていないところが好印象です。
モーニングメニューは全5種類
ホットケーキやホットドッグもある珈琲館のモーニングメニュー。
「珈琲館」のモーニングメニューは全部で5種類です。
(筆者撮影)
・トースト&ゆで卵(ゆで卵はサラダに変更可) 税込690円
・ハムチーズトーストサンド(サラダ付き) 税込790円
(筆者撮影)
・トースト&スクランブル(サラダ付き) 税込790円
・粗挽きソーセージのホットドッグ 税込790円
(筆者撮影)
・トラディショナル・ホットケーキ(ミニ炭火珈琲ゼリー付き) 税込890円
単品での注文は不可ですが、モーニングのトッピングとして4種類の追加注文も可能です。
・ミニサラダ 税込90円
・ミニ炭火珈琲ゼリー 税込90円
・ゆで卵 税込90円
・ジャム 税込50円
(筆者撮影)
運営会社は他にも「ベローチェ」などを展開
「珈琲館」を運営するC-United株式会社は、ほかにも「カフェ・ベローチェ」「カフェ・ド・クリエ」「コーヒーハウス・シャノアール」などのコーヒーチェーンを展開しています。
喫茶店・カフェに特化した企業だからこその、居心地のよさやコーヒーの美味しさ、提供されるメニューの完成度の高さなのかもしれませんね。
落ち着いたダークトーンの木目を基調とした店内は、座席の空間もゆったりと設計されています。BGMは、おしゃれだけど邪魔にならない絶妙なセレクトのジャズ。心地よい音楽を聞きながら、定番だけど丁寧な朝食を食べたい……そんな1日をスタートしたいときに、おすすめのモーニングでした。
編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性がありますので、最新情報は企業の公式サイトをご覧ください。またメニューの価格は店舗によって異なる場合があります。詳しくはお近くの店舗にお尋ねください。
(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)