「#学童落ちた」。児童らの預け先、学童保育に入れなくなるケースが全国で相次ぎ、ツイッターでトレンド入りしたワードです。静岡県島田市では、保護者に留守番の練習を促す文章を送ったことで、一部で反発の声が上がる事態に。保護者も行政も苦悩が続く子育ての現状とは。

島田市に住む40代女性と小学1年生の娘。2023年2月、島田市から2人にショックを与える通知が送られてきました。

<島田市に住む女性>

「どうしようかなという気持ちでいっぱい」

送られてきたのは、娘が学童保育に入れず、“待機児童”になるという通知です。

<島田市に住む女性>

「予想してなかったものですから、仕事をどうしようかなというのをまず最初に感じました」

仕事をやめることはできず、自宅近くに親族がいないため、民間の預かり施設を探していましたが、利用料が高額なこともあり、仕事を減らし利用する日数を限定するしかありませんでした。

共働き家庭などの小学生を放課後に預かる学童保育。働く保護者の大きな助けとなっています。

<学童保育を利用する保護者>

「いくら節約しても追いつかないので(学童保育の利用で)働けるのはありがたい」

<小学2年生の親>

「大人の目があるところで見てもらえるのはすごく安心」

学童保育は児童の安全を守るため定員が設けられていますが、2022年度、島田市は想定外の状況を迎えます。島田市の学童保育の申し込み率は、ここ数年20%ほどで推移していましたが、2023年度は25%を超え、全児童の4人に1人が申し込む状況になりました。

<島田市子育て応援課 森川利久課長>

「お母さんの就労機会が拡大されたのでは」

このため、2022年度61人だった待機児童が2023年度は、143人まで増える想定に。この緊急事態を受けて島田市は保護者に通知を送付。この中で、留守番の練習に言及していたことが一部の保護者の反感を買うなど混乱を引き起こしました。

<島田市子育て応援課 森川利久課長>

「留守番の練習の部分で、言葉選びの部分で心配をかけてしまった」

待機児童を少しでも減らそうと、島田市では小学校に協力を仰ぎ、校舎の一部を放課後活用できるよう拡張工事を行い、民間のクラブに児童の受け入れを相談するなど対策を進めました。

その結果、当初143人だった2023年度の待機児童は約100人にまで減少。このため、一時は待機児童になる見通しだった島田市に住む女性の娘も学童に通えることになりました。

<島田市に住む女性>

「本当によかったという気持ちと仕事もそのまま、時間を減らすこともなく学童を利用できるのでホっとしています」

<女性の娘>

Q.来年度も学童保育に通えてよかったですね

「よかったです」

しかし、島田市では2023年度、小学3年生約40人が待機児童になる見通しのままです。「働きながら安心して子どもを育てたい」。学童保育の需要の高まりに対して環境が追い付かないという現実が全国的に起きていて、いまも多くの家庭が不安や苦しみを抱えています。

静岡県によりますと、2022年度は、静岡県全体で約800人の待機児童が発生していて、これは全国で5番目に多い数です。学童保育の定員を増やすのは場所や支援員の確保など多くのハードルがあるため、整備に時間がかかり、島田市だけでなく県内の多くの市町が課題を抱えています。