REIT発行による資産の有効活用を通じて、再生可能エネルギーのさらなる推進が期待できる。写真は国家電力投資が出資する江蘇省の洋上風力発電所(同社ウェブサイトより)

再生可能エネルギー発電所の資産を裏付けにしたREIT(不動産投資信託)が、中国で初めて認可された。このことは、再生可能エネルギー・プロジェクトの資産の証券化に道を開くとともに、中国のREIT市場(の投資家)に新たな選択肢が加わったことを意味する。

中国証券監督管理委員会と上海証券取引所は3月2日、国有電力大手の国家電力投資集団が資産運用会社の中信建投基金管理と組成した再生可能エネルギーREIT(国家電投新能源REIT)と、同じく北京能源集団が中航基金管理と組成した太陽光発電REIT(京能光伏REIT)の発行を認可した。これら2件の予定調達額は合計約100億元(約1978億円)に上る。

そのうち国家電投新能源REITは、江蘇省塩城市の沖合に建設された発電設備容量50万kW(キロワット)の洋上風力発電所の資産を裏付けにしている。今回のREIT発行により、国家電力投資集団は71億6500万元(約1417億円)以上を調達する計画だ。

カーボンニュートラルの実現後押し

もうひとつの京能光伏REITの裏付け資産は、陝西省楡林市にある発電設備容量30万kWの太陽光発電所と、湖北省随州市にある同10万kWの太陽光発電所だ。北京能源集団は、REIT発行を通じて26億8000万元(約530億円)の調達を予定している。

中国国内には風力発電所や太陽光発電所に代表される再生可能エネルギー・プロジェクトが多数あり、その資産規模は巨大だ。

「再生可能エネルギーの関連資産は推定約4兆元(約79兆円)に達する。それだけに、再生可能エネルギーREITには長期的な成長性がある」。中国証券基金協会の資産証券化委員会の顧問を務める孟暁蘇氏は、2022年11月に開催されたフォーラムでそう述べた。

投資銀行大手の中国国際金融は、再生可能エネルギー関連資産(を裏付けにした証券化)が中国のREIT市場の急拡大をうながすと予想する調査レポートを発表。その意義を次のように解説した。


本記事は「財新」の提供記事です

「REIT発行を通じて、(電力会社などの)企業は既存の再生可能エネルギー資産の有効活用と、資本市場の力を借りた効果的な投資拡大が可能になる。それは中国が(国家目標として掲げる)カーボンニュートラルを実現するための、力強い後押しとなるだろう」

(財新記者:趙煊、岳躍)
※原文の配信は3月3日

(財新 Biz&Tech)