『カズレーザーと学ぶ。』今回のテーマは人生に影響を与える「住まい」の新常識

人生に影響を与える「住まい」の新常識
『室温が低いと健康寿命が縮む!?寒すぎる日本の住宅を襲う2025問題』
2年後の2025年の4月に日本の住宅界激変が起こると慶應義塾大学理工学部教授・伊香賀俊治が語る。
なぜかと言うと、日本の家は世界的に見ても異常に寒く、それが原因で多くの人が病気になっているから。16度の家と18度の家に住み続けた高齢者の調査をしたところ、室温2度の違いで要介護期間が 3年違うという結果がわかった。WHOは“家の中の冬の室温は18度以上に保ちなさい”と勧告を出しており、その18度を下回るような家に住んでいると、脳卒中や心筋梗塞、肺炎などの病気で亡くなりやすい。5,000万軒日本には人が住んでいる家があるが、9割が18度未満で問題になっている。日本の家はおよそ7割が断熱材を使っていないか、わずかに使っている程度で断熱が非常に弱い。
現在の日本の断熱基準は1999年に定められた断熱等級4が最高基準になっている。昨年の法改正で5、6、7とグレードの高い基準が新しく定められ、2025年4月からは等級4以上でないと新しく家を建てることはできなくなる。断熱材が入っていない家を直す義務はないが、断熱性能が悪い家は中古で売る際に資産価値が下がることになると考えられる。
高断熱の家は壁や窓から冬は冷気が入りにくく、夏は熱が伝わりにくいので電気代も安く済む。今住んでいる家の断熱リフォームをしておけば光熱費も安くなるし、いろんな病気にかかりにくくなるので医療費も少なく済むことになる。さらに今は断熱リフォームについて補助金がいくつかあるので活用すると良い。
慶應義塾大学 理工学部
教授 伊香賀俊治
『1万件指導のプロが見た!家族関係が変わる!?間取りの法則』
一級建築士で空間デザイン心理学協会代表理事の高原美由紀は間取りが家族関係に与える影響を解説。実際の相談を例に挙げると、妻が“落ち着かないのでリフォームしたい”と話した家の問題は家具のレイアウトにあった。ソファがダイニングに背をむける形で置いてあり、妻がキッチンで料理をしてダイニングにご飯を運んだとしても夫の視野の中には入ってこない。その結果、夫婦の会話が自然に発生しなくなっていた。家具の配置を変えると、テレビを見ている夫の視界にダイニングで過ごしがちな妻の姿が入るようになり、夫婦の会話がスムーズになった。
聴講生の武藤十夢の家では、テレビを見る時キッチンに立つ母に家族が背をむける形の配置で、母の声が届かないため言葉の語尾が強くなりがちになると分析。菊川怜の家では子供の遊具とソファの位置を変えることで子供に目が届きやすくなるとアドバイス。ジャングルポケット・斉藤の家では収納への動線が長いために物が散らかりがちになる箇所が出ることが指摘された。カズレーザーがトレンディエンジェル・たかしを含めた芸人4人で暮らすシェアハウスは玄関から誰とも顔を合わせずに自室に行ける間取りから、シェアハウスとしてとても良いという評価。カズも居心地が良いと感じている様子だった。
一級建築士 空間デザイン心理学協会 代表理事
高原美由紀
『木目を見るだけで血圧が低下!驚きの効果がわかるウッドサイエンス』
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所の杉山真樹は木を見ているだけで心身に良い効果があると語る。
広さや調度品が同じで木材率が違うという部屋を2つ用意して、生理反応を比較した実験では、木材率0%の部屋では変化が見られなかったのに対して、木材率が90%の部屋では最高血圧が低下をするという結果が得られた。
本物の木でなくても、木材壁画像を見るだけで脳の活動が沈静化し、リラックスできるという実験結果が。また木の匂いを嗅ぐことで、匂いの中のα-ピネンという成分の働きで、血圧や心拍が落ち着くというデータもある。このデータは成人だけではなく、赤ちゃんに匂いを嗅がせてみても鎮静化をしているため、後天的に学んだものではなく、人間がその動物として持っている性質と言える。生活の場に木を取り入れるには食器、ブラインドなどで簡単にできる。
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
杉山真樹
『アレルギーの撲滅を目指す! 次世代テーラーメイドワクチンとは!?』
先週に引き続き『アレルギー』の分野では広島大学 大学院 統合生命科学研究科教授・河本正次がアレルギーを抑えるための“テーラーメイドワクチン”について語った。
スギ花粉症は一括りにされがちだが、スギ花粉だけでも正確には原因となるタンパク質が 100以上あり、どれに反応するかは個人差がある。
従来の花粉症の免疫療法はざっくり「スギ花粉」といった原因物質をエキスとして丸ごと全部投与し、アレルギーを抑える免疫を徐々につけていく治療法だったが、ごく一部のタンパク質にしか反応しない人にはそもそも効果がない可能性があった。そこで、100以上もの細分化されたタンパク質から自分の身体が反応してしまうものだけを特定し、自分のためだけのワクチンを作るのがテーラーメイドワクチンである。
テーラーメイドワクチンはまだ基礎研究の段階で実際の応用はまだこれからだが、アレルギーを起こすIgE(アイジーイー)抗体が起こす病気ならば、他の疾患にも応用が可能と考えられている。その方法の一つとして研究が進んでいるものに「食べるワクチン」がある。例えばスギの花粉では、100以上の花粉のアレルゲンのタンパク質の遺伝子を遺伝子組み換えで搭載した乳酸菌をワクチンとして投与するというのも、実際に動物の実験の段階で確かめられている。そして、実験結果から今注目されているのが赤シソ。赤シソの葉っぱは炎症を鎮める作用がある。赤シソが、肥満細胞が暴れるのを抑えて、ヒスタミンを含めたアレルギーを起こす化学伝達物質は出なくなるという。将来像としては、あくまで予防的観点でのサプリで、食でも薬と合わせて予防できないかという試みになる。
広島大学大学院統合生命科学研究科
教授 河本正次