渡部建「もうやっぱりテレビには戻れないなって」現在は講演を中心に活動…語った“50歳からの再挑戦”

’20年6月にスキャンダルで芸能活動を全面自粛し、それから1年8か月の謹慎生活を経て、’22年2月に芸能活動を再開したお笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建。蔑まされても罵声を浴びても、再び表舞台に戻ってきたのはなぜなのか?「50歳からの再挑戦」の理由を直撃した。
◆現在の活動の中心は「講演」
人生、どこで墓穴を掘るかわからない。調子に乗って足を踏み外し、予期せぬタイミングでの転落を余儀なくされることもある。しかし、この男は戻ってきた。’20年6月にスキャンダルで芸能活動を全面自粛し、それから1年8か月の謹慎生活を経て、’22年2月に芸能活動を再開したお笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建。いまだに批判や非難の声がくすぶる中、昨年11月に芸能界で培ったコミュニケーションのコツを語った著書『超一流の会話力』を上梓。世間の反感を覚悟してまで、再起を図るのはなぜなのか?
――昨年2月に芸能活動を再開しましたが、現在はどんな活動をされていますか?
渡部:テレビのレギュラー番組は『白黒アンジャッシュ』(チバテレ)だけでして……。収録はまとめ撮りなので月1回だけの稼働なんです。それ以外の日は講演を中心に活動させてもらっています。
――渡部さんが何の講演をされるんですか?
渡部:ご存じの通り、僕は不祥事によって全てを失い、47歳で無職になりました。そんな僕に最初に声をかけてくれたのが、企業の経営者や管理職の人たちが新たなステージを目指して学び直されている塾だったんです。「部下に慕われない、周りに人が集まらないことを悩んでいる人が多いので、周囲を明るくするコミュニケーションについて講演してほしい」と依頼を受けたんです。
これまで僕は芸能界でしゃべることを仕事にしてきたのですが、講演するにあたって、コミュニケーション関連の書籍を100冊近く読んでみたんですね。大体どれも同じようなことが書かれていたのですが、内容が結構難しいんですよ。
でも、僕はもっと簡単なことじゃないかと思っていて。自分が「話す」ことよりも相手に「話してもらうこと」のほうが重要で、それってスキルも才能も努力もいらないんです。そのコツを講演でお話しさせていただいたところ好評で、その後も講師を務めさせてもらっています。
――昨年11月には「話さない」コミュニケーション術をまとめた書籍『超一流の会話力』も上梓されましたね。拝読しましたが、非常に面白い着眼点でした。
渡部:ありがとうございます。講演のことが出版社の方の耳に入り、書籍にまとめさせてもらいました。芸人なので、僕も若い頃は「自分の話で笑わせたい」という気持ちが強かったのですが、司会業をする中で「どんな質問をしたらゲストが気持ちよくしゃべってくれるか」を考えるようになったんです。
自我を捨てて、コミュニケーションのコツが「自分の話をしない」ことだと気づいてからは、仕事がすごく増えました。話を聞いているだけだと受け身だと思われるかもしれませんが、実は話を聞くことで相手からの信頼度・親密度ゲージがどんどん上がっていく。だから、その相手に何かを提案したり、交渉する時もうまくいきやすいんです。
◆10年後も15年後も叩かれるのは覚悟できています
――復帰して間もないタイミングで出した書籍の反響はどうでしたか?
渡部:やはり予想通りの反応というか……。「お前がどの面下げて、コミュニケーションを語るんだ?」「『超一流』なんて、どの口が叩くんだ?」という批判の声が、僕の耳にも入ってきました。
僕がやってしまったことを考えたら、当然の意見だと思います。これから何をやっても、おそらく10年後も15年後も言われ続けると覚悟しています。