12年前、東北地方で発生した地震と同じような仕組みで起きるのが、静岡を襲う「南海トラフ巨大地震」です。100年から150年間隔で繰り返し発生してきた巨大地震は、いま、どのような状況にあるのでしょうか。

今後30年以内に最大80%の確率で起きるとされる「南海トラフ巨大地震」。海側のプレートが陸側のプレートに沈み込むことでひずみが溜まり、耐え切れなくなると激しい揺れや津波を引き起こします。

静岡大学で地震学を研究する三井雄太准教授は、GPSなどの観測データから南海トラフ地震の姿を明らかにしようとしています。

<静岡大学理学部 三井雄太准教授>

「紀伊半島沖、1944年東南海地震が発生した所の近く、具体的にはもうちょっと浅い所だが、この辺では数年前にマグニチュード6ぐらいのプレート境界と考えられる地震が発生するなど、若干、地震活動に変化が見られているようだ。大きな地震の発生が近づいてくるにつれて、当然、力は溜まってくるというのは物理的、力学的に当然なので、それによって地震活動が多少変化することは十分考えられる」

南海トラフの想定震源域で、前回、巨大地震が起きたのは、1944年と1946年。およそ80年が経ち、次のタイミングが近づいているとみられます。

<静岡大学理学部 三井雄太准教授>

「この緑色の部分、帯状に並んでいるが、いわゆるスロー地震といわれていて、普通の地震よりも小さくゆっくりとした地震が起きている場所がこの緑色の部分」

スロー地震は「ゆっくりすべり」とも呼ばれ、浜名湖周辺でも観測されています。それ自体が直接被害を発生させるものではありませんが、南海トラフ巨大地震との関連性が指摘されています。しかし、巨大地震がいつ起きるのか、確度の高い予測は難しいのが地震学の現状です。

<静岡大学理学部 三井雄太准教授>

「この緑色のスロー地震のようなものがどこでどれくらい発生しているか、調べ続けることでプレート境界で何が起きているのか監視し続けることが一番重要」