東京五輪の閉会式に参加した小池百合子知事(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 3月4日放送の『報道特集』(TBS系)が報じた「“五輪談合” 費用膨張のからくり」が大きな反響を呼んでいる。

 番組では五輪組織委員会の元職員や携わった業者を取材。組織委員会には大会を開催するノウハウがなく、ほとんどが大手広告代理店・電通の言いなりだったことが明かされた。電通から出向した社員が電通に発注する「利益相反」が常態化しており、人件費は何社もの「中抜き」を経て雪ダルマ式に増えていったという。

 なかでも注目を集めているのは、広告代理店から組織委員会に出向していた社員に1日あたり20万円が支払われていた、という証言だ。出向は常時10人程度で4年間続いた。年間の勤務が240日として、その額は19億2000万円になる。にもかかわらず、出向社員が組織委員会でやっていたのは、代理店との連絡業務と、せいぜいお茶くみ程度だったというから驚きだ。

 東京五輪をめぐっては、2022年、組織委元理事によるスポンサー選定などにからむ汚職事件で、数多くの逮捕者が出ている。さらに2023年に入ってからは、組織委の元次長や、電通の元幹部、番組制作会社やイベント会社の関係者が談合の容疑で逮捕されている。

 五輪の費用は、2013年の招致段階では7340億円。それが、2022年12月の会計検査院の報告では、約1兆7000億円にまで膨らんでいる。関連費用を含めれば3.6兆円となり、「五輪費用3.6兆円オーバー」が5日、Twitterでトレンド入りする事態となっている。

 SNSには、

《五輪でできた何兆円もの借金をこれから日本国民が税金払って返済していくのか。胸が熱くなるな》

《私たちが日々ストレスを受けながら払っていた税金は電通のピンハネなどにお支払いしていたようですね》

《都と五輪委員会は都民に返還しろよ 中抜き五輪のせいで黒歴史にした責任は重いぞ》

 と、怒りの声があふれている。実業家のひろゆき氏は、3月5日、Twitterを更新。『報道特集』の内容を報じた記事を引用し《電通逮捕は当然ですな》と投稿している。

 東京都は談合事件を受けて、電通グループなどを、事業の競争入札に参加できない「指名停止」処分としているが、都の責任を問う声も少なくない。エジプト人タレントで論客としても知られるフィフィ氏は、4日、Twitterでこの件に言及。《東京都としての見解も聞いてみたいな〜》と投稿した。

 事件の影響は、2025年の大阪・関西万博にも及んでいる。大阪市や大阪府は談合事件を受けて、電通や博報堂などに対し、入札参加資格を停止。開幕まで残り約2年となった万博にも暗雲が立ち込めている。

 波紋はまだまだ広がりそうだ。