セリエAでは人種の違いでカードの提示数が違う? 判定には観客も影響か

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 セリエAでは、有色人種の選手に対して審判がより多くのカードを提示するという調査結果が出たようだ。26日、イギリス紙『ガーディアン』が報じている。

 報道によると、2009から2019年までのセリエAにおいて、審判は有色人種の選手に対して、平均で20パーセントも多くファウルをとっており、イエローカードは11パーセント、レッドカードも16パーセントほど多く与えているようだ。

 また同紙では、その原因として観客から審判への圧力が関係していると指摘。イタリアのクラブには極右的なサポーターも少なくないため、元イタリア代表FWマリオ・バロテッリやベルギー代表FWロメル・ルカク、セネガル代表DFカリドゥ・クリバリらが人種差別のターゲットにされてきた。そういった観客からのプレッシャーが審判の判定に影響している可能性があると報じている。

 また、それを裏付ける証拠として同紙では、コロナ禍で無観客となった期間には判定の偏りは見られなかったという調査結果を挙げている。

 加えて調査を行ったトロント大学の研究者であるマギストロ氏は「レフェリーだけでなく、スタンドからのノイズも影響している可能性がある。コロナ禍のデータは1年だけなので、全てがファンの人種差別によるものとは断言できない」と語った。

 続けて「有色人種の選手がただ攻撃的なプレーをしているわけではないことも分かった。『白人選手と比べて、有色人種の選手たちの方がよりアグレッシブだろう』と言う声もあるため、それも調べた。しかし、実際に彼らがアグレッシブにプレーすることは少ない」と語り、観客の差別的な圧力が審判の判定に影響している可能性を示唆した。

 人種差別問題はセリエAだけの問題ではない。ここ最近ではレアル・マドリードに所属するブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールが人種差別被害に遭うなど、人種差別が欧州フットボール界全体の大きな問題となっている。今回の調査結果はあくまで可能性に過ぎないが、セリエAでは人種によってカード数に明らかな違いが確認されたようだ。