ルフィの情報を得て歩道橋の上でごった返す人たち

 2月7日、全国で相次ぐ連続強盗事件に関与したとされる、特殊詐欺グループのメンバーである今村磨人容疑者と藤田聖也容疑者が、フィリピンから日本へ強制送還された。彼らはほかのメンバーとともにコードネーム「ルフィ」などを名乗り、フィリピンの収容所から日本国内の実行犯に指示を出していた疑いがもたれている。

 2人は送還中の機内で逮捕され、両容疑者を乗せた航空機は午後2時半過ぎ、成田空港に到着。午後3時過ぎ、空港ロビーに姿を現した両容疑者は、フィリピンの収容所と同じ、黒いTシャツに水色の短パンという寒々しい恰好のまま。捜査員に囲まれながら、車へと移動していく姿は、NHKや民放ワイドショーで生中継された。

 2人を乗せた車は午後3時半ごろ成田空港を出発し、午後5時ごろ、警視庁・渋谷署に到着した。その移動の様子も、上空のヘリコプターから中継された。

 そのころ、JR渋谷駅周辺は、大勢の人だかりができていた。渋谷署が駅のすぐそばにあるため、歩道橋には多くの報道関係者が陣取り、カメラを構えていたのだ。その様子を見た人たちが「何ごとか?」と見守るうち「あのルフィが来るらしい」との情報が駆けめぐり、最終的には歩道橋に約300人もの人たちが押し寄せたという。

「最初は、自分たちのようなマスコミ関係者だけだったのが、あっという間に人が増えていきました。ただの野次馬ではなく、YouTuberらしき人も結構いましたね。OLらしき人や、女子高生まで。渋谷の上空にヘリが何台も飛んでいることもあって、言い方は悪いが、ちょっとした“お祭り状態”のようになっていました」

 現場を取材していた本誌記者がそう語る。

 渋谷署に到着した両容疑者は7日19時現在、署内で取り調べがおこなわれているとみられる。この後、2人は別々の留置先に移送される予定だ。

 フィリピン・マニラの収容所に残る2人、渡辺優樹容疑者と小島智信容疑者は、8日以降、日本に送還される見通しとなっている。4人の容疑者からはスマホ24台が没収され、すでに日本側に引き渡されており、今後、詳しく分析されるとみられる。

 18都府県で70人以上が逮捕された特殊詐欺グループ。被害総額は60億円になるとみられる。渋谷に集まった300人の野次馬は、この事件がいかに世間に注目されているかを象徴しているようだ。