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離婚交渉事件の成功報酬の支払い方法について、法テラスによる立て替え払いではなく、依頼者が毎月の養育費から弁護士に1割ずつ支払うよう決定されたことをめぐって、青森県の弁護士法人が法テラスを相手として青森地裁に提訴した。提訴は1月12日付。

訴えたのは、弁護士法人「青空と大地」(代表社員・橋本明広弁護士)。法テラスを相手にした裁判はこれが3件目となる。

困窮家庭にとって、着手金分の償還に加えて、成功報酬として毎月養育費の1割を支払うのは負担が大きく、経済的に余裕のない人の司法アクセスを確保するという法テラスの趣旨に反すると主張している。

仮に法テラスによる立て替え払いにした場合、支払い総額こそ変わらないものの、月々の償還額は一定のまま、償還期間が延びることになるため、短期的には経済的余裕が生まれることになる。

また、弁護士にとっても毎月の事務手続きが増えたり、回収不能のリスクが生じたりするだけではないという。困窮家庭からの回収は心情的に難しく、強く回収をおこなえないケースが全国で発生しているとして、法テラス制度を支える弁護士の経済的、精神的負担になるとともに、法テラス離れを招くと訴えている。

●回収不能のリスク、弁護士に丸投げか

訴状によると、原告法人の所属弁護士は2021年に県内の女性から離婚交渉事件を受任し、法テラス青森から援助開始決定を受けた。離婚は無事にまとまり終結した。

法テラス青森は代理援助報酬(成功報酬)の支払い方法として、女性が受け取った養育費から毎月1割を弁護士に支払うよう決定した(上限総額22万4400円)。

ところが女性は、経済的な困窮から着手金の償還に加えて、養育費の中から直接払いすることに難色を示したという。

相談のうえ、原告は養育費分については成功報酬を求めないこととし、裁判では法テラスに対して、離婚分の8万8000円の立て替えを求めている。

提訴の理由として、橋本弁護士は次のように語った。

「法テラスは、立替金の回収を強化しており、数年前から回収不能になるのを恐れてか、成功報酬の回収を弁護士に丸投げするようになりました。依頼者にとっても、弁護士にとっても良くない仕組みだと思っています」

【修正:訴状の訂正に伴い、法テラスへの不服申立てにかかわる部分を修正しました】