山口県周防大島町沖の瀬戸内海で海上自衛隊の護衛艦「いなづま」が自力航行不能になった事故で、海自トップの酒井良海上幕僚長は17日の記者会見で「事故の原因が艦の運航面にあった可能性が高い」と言及した。

 背景に人為的ミスがあったとみられ、自衛隊員の練度不足が問われる。

海自は、海上幕僚監部監察官をトップとする事故調査委員会を設置し、原因を調べている。海自によると、エンジンや舵、レーダー、電子海図などの故障は確認されていない上、天候が要因となった余地も認められない。誤って本来の航路から外れたという海上保安庁の見立てとおおむね一致する。

酒井氏は会見で、海保が捜査中であることを踏まえて詳細な言及こそ避けたもの、浅瀬で座礁した経緯に触れた上で「(航路の)付近に浅瀬等がある場合は関係者にチェックをし、どこに危険があるか事前に把握しておくのが『船乗りの常識』だ」とも述べた。

防衛省関係者によると、本来の航路が浅瀬を通るルートだったとは考えにくく、事前の計画とは異なった位置を航行していた可能性が高いという。今回は検査後の試験航行中だったため運用面の大きな影響はなかったが、状況によっては深刻なトラブルに発展しかねない事故といえる。

ある自衛隊OBは「有事に備えて『練度』を維持することが自衛隊の任務だ。緩みが生じていたのであれば許されない」と話す。海自は護衛艦隊の当直体制の確認を進めるなどして事故の再発防止を図っている。(松本学)