株は「安く買う」が基本だが…「相場全体が冷え込んでいるとき」の株式投資の注意点

株式に限らず、投資は「安く買って高く売る」が基本です。つまり、相場全体が冷え込んでいる局面は「安く買う」チャンスといえます。しかし、そのような相場環境で投資する際には注意しなければならないことがあると、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。いったいどのような点に気をつければよいのか、みていきましょう。
「年単位」で株価が上がらない時期もある
株式市場全体が冷え込む時期というのがあります。
例を挙げてみましょう。
1989年年末、バブル経済絶頂のなか日経平均株価が38,957円の史上最高値をつけたあと、1992年の春にそれが20,000円を切ると、そのままおよそ1年間20,000円を超えることはありませんでした。
その後、2000年秋に15,000円を下回った日経平均株価は、再び15,000円を上回るまでに約5年もかかっています。その間には、10,000円を切っていた時期もありました。
2007年夏には18,000円程度に戻っていたもののその後再び下がり続け、2008年の秋には10,000円を切ります。そして10,000円を前後するような動きは、2012年の冬まで続きました。
このように、年単位で株価が上がらない時期というのも存在します。そしてそれは当然、今後も繰り返されるでしょう。
投資のキホンは「安く買う」…市場全体が冷え込んでいるときはチャンス
ですから株式投資をする際には、そのようなときにどうするかをあらかじめ考えておいたほうがよいはずです。
とはいっても、その答えは実にシンプルです。そういうときこそ、「買い時」なのです。
株価が上がらない時期というのは、どうしても投資をためらいがちになるのが人間心理というものでしょう。それでも、プロトレーダーとしてはこういう時期に買って辛抱強く値上がりを待つのが、最善の方法といえます。
「安く買う」のが投資の基本です。買値が安ければ安いほど、その後の値上がり幅が大きくなる可能性が高まります。ですから周囲の雰囲気に惑わされずに、そういう時こそ「買い時」であることを、常に心得ておくべきです。
ちなみに、世界一の投資家ともいわれるウォーレン・バフェット氏も、以下のように語っています。
“他人が貪欲になっているときは恐る恐る、周りが怖がっているときは貪欲に”
市場が冷え込んでいる時期は「どんな株でも買い」ではない
しかし、いくらそういう時期であっても、どんな株を買っても儲かるというわけではありません。
たとえば、そういう時期に業績が伸び悩んでいたり株主へのリターンが少ない「ダメな会社」の株が低調であっても、それは、それ相応なだけです。もしかしたら実態以上に割高である可能性もあり、より下がる余地があるかもしれません。また、そういった会社は、その後に市場全体が上昇基調になってきても、他社に比べてその上昇幅が小さくなる可能性もあります。
一方で、市場全体が冷え込んでいる時期に、業績が安定していたり配当性向が高かったりするような「いい会社」がその実態以上に割安になっているならば、それはやはり「買い時」といえます。そしてそういう会社は、そういう時期でも好業績を続けて株価が順調に上がるかもしれませんし、市場全体が上昇基調になれば、より大きく伸びるでしょう。
ただし、もしそういう時期に“いい株”を買ったとしても、その株価が上昇するまでに結果として何年も時間がかかる場合もあります。
ですから、高配当利回りの株を買っておくのもひとつの手でしょう。株価上昇までに時間がかかることへの備えとして、その間は高い利回りでの配当収入を狙うのです。
また、こういった「チャンスの時期」に株を買うために、株価が過熱している時期に売っておくなどして、現金を用意しておくことをおすすめします。
以上のように、市場全体が冷え込んでいる時期というのは基本的に「買い時」です。しかしどんな株でもよいというわけではなく、銘柄選定や株価には、注意を払う必要があります。
株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO
川合 一啓