Appleが主力製品のiPhoneに搭載するWi-Fi&Bluetooth用通信チップの内製化を進め、半導体大手・Broadcom製チップからの脱却を図っていると海外メディアのBloombergが報じました。Bloombergの報道によると、Appleは2025年に自社製Wi-Fi&Bluetooth用通信チップをデバイスに搭載し始める計画だとのことです。

Apple Plans to Drop Broadcom Chip by 2025 to Use In-House Design (AAPL, AVGO) - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-01-09/apple-plans-to-drop-broadcom-chip-by-2025-to-use-in-house-design

Apple developing custom WiFi, Bluetooth, and 5G chips for iPhone

https://9to5mac.com/2023/01/09/apple-custom-wifi-bluetooth-chip-5g/

Apple to Start Transitioning Away From Qualcomm Modem Chips in Late 2024 or 2025 - MacRumors

https://www.macrumors.com/2023/01/09/apple-in-house-modem-chips-2024/

iPhoneでWi-FiやBluetooth通信を行うために搭載されているワイヤレス通信チップには、アメリカとシンガポールに拠点を置く大手半導体企業のBroadcom製のものが採用されています。2020年に、AppleはBroadcomと150億ドル(当時のレートで約1兆6400億円)規模の3年半契約を結んでおり、AppleはBroadcomにとって売上高の約20%を占める大型顧客です。



ところが、近年のAppleはさまざまな部品やチップの内製化を進めており、Wi-Fi&Bluetooth用通信チップも自社製チップに置き換える計画を進めていると報じられています。問題に精通している人々はBloombergに対し、Appleは2025年に自社製通信チップをデバイスに搭載することを目指していると証言しました。さらに、Appleはセルラーモデム・Wi-Fi・Bluetoothを1つにまとめたチップの開発にも取り組んでいるとのことです。

BroadcomはWi-Fi&Bluetooth用通信チップだけでなく、無線周波数チップやワイヤレス充電用コンポーネントなどもiPhoneに提供していますが、Appleはこれらの部品のカスタマイズにも取り組んでいるとBloombergは報じています。

Bloombergの問い合わせに対してAppleの担当者はコメントを控えたほか、Broadcomも記事作成時点では返答していません。なお、Broadcomのホック・タンCEOは2022年12月の電話会議で、「私たちは最高の技術を持っており、最高の価値をお客様に提供していると信じています。他のベストでない代替品を探す理由はありません」と述べ、Appleとの関係を維持する自信を表明していました。

iPhoneはAppleの年間売上高の過半数を占める主力製品ですが、搭載されている部品や技術に支払う契約料はAppleにとって大きな負担でした。そこで、近年のAppleはiPhoneの部品を内製化する計画を進めており、すでにQualcomm製5Gモデムチップの内製化に注力していることが報じられています。

Appleは独自の5Gモデムチップを2023年までにiPhoneに採用するとの報道 - GIGAZINE



しかし、当初は2023年までにiPhoneに採用する予定だった5Gモデムチップの開発は難航しており、2024年発売予定のiPhoneにも引き続きQualcomm製5Gモデムチップが搭載される見込みであると報じられました。

Bloombergによると、Appleは5Gモデムの開発でオーバーヒートやバッテリー寿命、コンポーネントの検証といった問題に直面したとのこと。iPhoneは175カ国で100を超える通信キャリアと提携しているため、テストプロセスも非常に長いものとなると考えられます。また、iPhoneユーザーがWi-Fiに接続していない時のインターネット接続を行う5Gモデムは、多くのユーザーにとってiPhoneの最も重要な部品の1つであり、性能の低下はiPhoneブランドに傷を付けることになるとBloombergは指摘しています。