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株式投資には、株価の上下に一喜一憂せず、常に冷静で合理的な判断ができるメンタルの強さが必要です。そのようなメンタルの醸成に必要な要素のひとつとして、投資における「確率」を理解しているかが重要だと、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。詳しくみていきましょう。

株式投資をするうえで押さえておきたい「確率」の考え方

「確率」とは文字通り、「確からしさ」の「割合(率)」です。ある現象がどの程度の割合で起き得るかを示す値です。たとえば、正六面体のサイコロを振れば、1から6までそれぞれの目が出る確率は、それぞれ1/6(約16.67%)です。

では、その「確率」という概念を株式投資に当てはめてみましょう。

たとえば、いまから1週間で、日経平均株価が3%下げる確率は、どの程度でしょうか?

ここでは過去の統計など出しませんが、直感的な答えとしては、「よくあることだ」ということができます。株価は毎日変動していますので、1週間で3%程度下がることは特に珍しくないことだからです。

では、いまから1週間で、日経平均株価が50%下げる確率はどの程度でしょうか?

こちらは、「まずないだろう」ということができるでしょう。1週間で日経平均が50%も下がってしまったら、歴史的な大暴落です。

ただし、ここで筆者がいいたいのは、それは「0%ではない」ということです。

さらにいえば、いまから1週間で日経平均株価が50%上がる確率も、急に戦争が起きて日本の株式市場が閉鎖される確率も、投資家であるあなたが事故で死んでしまう確率も、0%ではないのです。

どんな可能性も「0」ではない…プロトレーダーの心の在り方

もちろん、上記のような確率は微小であり、そんなことを気にしていたら生きていけないというレベルのものです。

しかし、あくまで不確実な未来を確率的に捉えられる投資家こそ、強いメンタルを保てるのではないでしょうか。

逆に、「こうすれば絶対に儲かる」「こんなことは絶対に起きない」などと高をくくって、「ゼロ」か「100か」の思考をしてしまう人ほど、結果を前に一喜一憂しがちです。また、そういう単純な考え方をしてしまう人ほど、予想外の結果も起きやすいはずです。

自分が思い描いた「確実な未来」を妄信しそれに基づいた投資をしていると、冷静な判断力を失い、非合理的な売買をしてしまうでしょう。

未来は不確実であり、ゼロと100のあいだに無数にある確率を冷静に予想して投資をするしかない。それを理解することが、メンタルを強くするための重要なポイントのひとつです。

“プロ”はどんな局面でも冷静な判断ができる

投資をするうえでいま述べたような「確率」を理解している投資家は、たとえば以下のような冷静な判断ができるはずです。

「今日は保有銘柄が下がった。しかしこの程度下げる確率は単なる偶然として十分にあるので、気にすることはない」

「近いうちに市場全体の暴落が起きる確率はごく小さい。しかし、いつかは100%に近い確率でまた起きるだろうから、一定以上の現金は残しておこう」

「この銘柄を買うと儲かる確率が高そうだから、たくさん買おう」

「高い確率で儲かりそうな銘柄が少ないから、いろいろな銘柄を分散して買っておこう」

「小さな確率だと判断したら最悪な事態が起こってしまった。しかしそれも想定してこの銘柄を買ったのだから、運が悪かったと思って潔く損切りしよう」

「急騰した。でもまだ上がる確率が高いから、この銘柄はまだ持っていよう」

「市場全体が暴落した。しかし株価が安いということは、その後に上がる確率が高いということ。ここで一気に買おう」

あらゆることが起こり得ると想定し、それぞれの確率を大雑把にでも考えておけば、上記のようにどんな局面でも冷静に対処することができます。

そしてこのような態度をもった投資家こそが、強いメンタルをもったプロトレーダーといえるのではないでしょうか。

株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO

川合 一啓