秦野の巨大イノシシを槍で捕獲した人に会ってきた話〜肉は野生の味がした〜

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※画像のイノシシは今回捕獲された個体ではありません

みなさんは実物のイノシシを見たことがあるだろうか。

野生のイノシシが人間の生活圏に現れるとかなり大変なことになる。2022年11月24日、神奈川県秦野市で野生のイノシシが街中に出没、けが人も出るという事態が発生してしまった。

ところがこのニュース、とにかく情報量が多いとTwittterで話題になった。

イノシシの体重88kgイオンで人に突進市職員が槍で捕獲肉は飲食店などでジビエになる予定

「88kgあるイノシシを市職員が槍で仕留めた」とか言われた日には「秦野市には前田利家かクー・フーリン、異世界転生してきたランサーがいるのか」と思うわけで、実際、そんなツイートが散見された。

神奈川の街中に出現した大型イノシシを槍で仕留めた職員さんが強すぎてザワつく皆さん「令和のマタギ?」

こんな感じのニュース映像がありました

しかも捕獲されたイノシシはジビエとして提供されるとのこと。ワンチャン、肉を手に入れられるかもしれない。そんな期待を抱きながら、イノシシ捕物帖が展開された秦野に行って来た。

ランサーに会いに秦野へ

今回のオトモはライター・たかやさん。前から「ジビエが食べたい」と言っていたので、イノシシの料理が食べられるかもよ〜と誘ってみた。

興奮して本人が撮った謎の自撮り画像

特急電車に乗るのも久しぶりだったので、たかやさんも私も謎にテンションバク上がりである。

乗車中、ずっとモンハンの話をしてた

イノシシを捕まえた人って、やっぱりモンハンのハンターみたいな人なんですかねー

モンハンだったらブルファンゴなんて割と楽に捕獲して美味しく焼くやつですけどね

中身のない会話をしているうち、おおよそ1時間半で秦野駅に到着。

駅から降りるとすぐに山が見える。あのあたりからイノシシは降りてきたのだろうか…

捕獲した市職員の方がいる「はだの都市農業支援センター」に到着!

こちらが今回イノシシを仕留めた、はだの都市農業支援センター課長代理の岩田雅弘さん。Twitterで「異世界転生してきたランサー」と騒がれていたその人だ。

手に持っているのはあのときの武器

ニュースで見た、あの槍を持った市職員の方だ!

普通の人だ…(当たり前)

人のいる方へと向かっていったイノシシ

まずはイノシシが現れた日の動きをざっくり説明しよう。

最初の目撃情報は、秦野市内を流れる「水無川」に掛かっている平和橋の付近。その後も複数の目撃情報が寄せられた。やがてイノシシは「イオン秦野ショッピングセンター」まで移動、この時、突進してきたイノシシを避けきれずに80代の女性が転倒してしまう。また路上でも30代の男性が体当たりされた。幸い、おふたりともケガは軽症とのこと。

最終的にイノシシは秦野市立末広小学校のグラウンドで動きをとめ、落ち着いたところを岩田さんの手で仕留められた。

とてもざっくりだが、当日のイノシシの動き。移動した距離は5kmほどだそう

イノシシがこうやって街中に現れるのはよくあることなんですか?

数年に1回あるかないかですね、特に今回みたいに、市街地の中にどんと出てきたってのは…私もこの仕事を長くやってるんですけど、初めてでしたね。

秦野って…こんな感じなんで(窓の外を見て)

「こんな感じ」=盆地

丹沢山系は普段から鳥獣との戦いが繰り広げられているんですが、秦野では普段から街中に出てくるわけでもないので、住んでいる人も慣れてません。以前、小さいイノシシが2頭で連れ立ってトコトコ歩いてきた時は、イノシシも人も距離を保っていて、人を襲うということもなかったので、エアガンで追い払いました。通常、山に住んでるイノシシには自分のルート(獣道)があって、そこにわなをかければ捕まえられる可能性も高いです。

でも今回みたいにデタラメに出てきて行きたい方向に行ってる人を…人じゃない、イノシシを待ち構えてもどこに行くかわからないんですよ。

(行きたい方向に行ってる人…)

本当にイノシシの気持ちがわからないんですけど…今回は人のいる方に向かって行っているんですよね。

(確かに、イオンに行くイノシシの気持ちわからない…)

イノシシに突進されたら人間は逃げられない。今回、ケガ人が出ているけれども、軽症で済んだのは運が良かったとしかいいようがないそうだ。

今回の88kgのイノシシ、本当に肉の塊のようなものなので、それがスタスタ歩いていってドーンと突進してくるとけっこう凄まじいんですよね。運良く軽症で済んだのは、体当たりされたけど、イノシシに牙を引っ掛けられることがなかったからなんです。イノシシの牙は見たことありますか?

ないです!

見てください。イノシシの歯は、上の歯と下の歯がすり合わさって、常に「切れ味最高」の状態になってるんです。もはや自然の神秘だなと思ってます。

こちらがそのイノシシの牙。市の車のキーホルダーになっていた

猟友会のみなさんは、やっぱり「一番危ないのはイノシシ」だと言われます。実際、猟友会の方たちもケガしてたり、猟犬が何匹もイノシシに殺されたりしてるんですよ。危険を伴うので、だんだんイノシシを捕獲する人は減っています。

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