スタッドレスタイヤの「ならし運転」なぜ必要? 新品は性能発揮できない!? 準備走行すべき理由とは
スタッドレスタイヤの「ならし運転」どうやっておこなう?
以前の新車で必要とされていた「ならし運転」とは、工場で組み上がったばかりのクルマに装備されているさまざまなパーツを、実際に走行させることで馴染ませる目的でおこなわれていました。
しかし、いまではクルマの製造技術は精密さが格段に向上したことから、ならし運転の必要がなくなったといわれています。
一方で、タイヤに関しては、ならし運転の必要性を各メーカーのサイトで紹介するほど重要視されています。とくにこれからの季節に装着するスタッドレスタイヤに関しては、このならし運転をするかしないかで性能に差が出ることも想定されます。
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なぜスタッドレスタイヤはならし運転が必要なのでしょうか。都内のタイヤショップのスタッフ Kさんに聞いてみました。
「タイヤはゴムを主成分としており、新品時は製造過程で表面には軽くオイルが付着しています。
これを実際の走行で薄く削る、俗にいう『ひと皮剥く』作業をすることで、タイヤ本来の性能を発揮できるようになるといわれています」
とくにスタッドレスタイヤは、気泡を含んだ柔らかいゴムを採用することで、雪道や凍結路などでのグリップ力を高めるように設計されています。
十分なグリップ力を確保するためにも、表面層を均一に剥く作業が重要です。タイヤと路面の摩擦力によって駆動力が路面に伝わっているのですから、十分な摩擦力を生み出すための準備運動(走行)が必要ということです。
では、タイヤのならし運転はどのようにおこなえば良いのでしょうか。
「タイヤのならし運転として、乾いたアスファルトの路面で100km程度の距離を一定のスピードで走行することをお勧めしています
ただし、明日スキー場に行くからとか、明日雪が降りそうだからなど、お客さまのなかには新品のスタッドレスタイヤを装着してすぐに使うという人もいます。
できればならし運転をしてからのほうが良いのですが、それが間に合わないときは『急』がつく操作をしないような運転を心がけてください」(タイヤショップのスタッフ Kさん)
急加速や急停止、急ハンドルなど、「急」がつく操作をしないことが重要だといいます。
「急加速や急ブレーキはトレッド面(接地面)の一部に負荷がかかるだけでなく、特に十分なグリップ力が確保できていない状態では空転してしまったり、ブレーキングでもうまく止まれず衝突の危険性すらあります。
急ハンドルはフロントタイヤのショルダー部分を痛めてしまうので、そうならないためにならし運転をおこない、グリップ力が発揮できる面まで表面を剥く必要があるのです」(タイヤショップのスタッフ Kさん)
スタッドレスタイヤを装着していても油断はできない!?
スタッドレスタイヤのならし運転が完了したら「雪道・凍結路の準備は完璧」といいたいところですが、スタッドレスタイヤを装着したからといって気が抜けないポイントはいくつもあります。
「現在のスタッドレスタイヤは雪道で十分なグリップ力を確保できるようになっていますが、凍結路、いわゆるアイスバーンは雪道よりも滑りやすくなる傾向があります。
なかでも『ブラックアイスバーン』と呼ばれる黒っぽいアイスバーンは瞬間的には乾いた路面に見えることもあり、気付かず通過してスリップしまうこともあります」(タイヤショップのスタッフ Kさん)
ブラックアイスバーンだけでなく、意外に身近な路面も凍結しやすいものです。たとえば交差点は、通過するクルマが雪を押し固めたうえに昼間は少し溶け出します。これが朝晩の冷え込みなどで再凍結し、より強固なアイスバーンになってしまうことがあります。
「高速道路などでも気をつけていただきたいのは、トンネルの出入り口付近です。外気が遮断されるトンネル内と寒風にさらされる出入り口付近は路面の温度差も大きく、凍結しやすいんです。
また日陰になったカーブも凍結していることがあるのでスピードを控えめにしておきたいところです」(タイヤショップのスタッフ Kさん)
また、悩ましいのがスタッドレスタイヤの空気圧です。サマータイヤでは規定値(指定空気圧)より少し高めにしておくと良いともいわれていますが、スタッドレスタイヤも高めにしたほうが良いのでしょうか。
「スタッドレスタイヤに関しては、指定空気圧以上は入れないほうが良く、指定通りの空気圧で十分性能は発揮してくれると思います。
滑りやすい路面状況ではあえて空気圧を下げてトレッドの接地面積を増やす方法もありますが、そこまでする必要はないでしょう」(タイヤショップのスタッフ Kさん)
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タイヤはならし運転をすることで性能を発揮しやすくなります。
とくにスタッドレスタイヤを新調する場合は、使用する直前ではなく、余裕をもって購入・交換をおこないましょう。