北朝鮮による砲射撃(朝鮮中央テレビの画像から)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫

写真拡大 (全2枚)

【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部は5日、韓国北部の鉄原の方向から同日午前8時30分から午後3時50分までの間に放射砲と推定される数十発が発射される敵の動きが確認され、対応射撃を行ったと発表した。朝鮮中央通信が報じた。韓国軍は北朝鮮が同日午後3時ごろ、東西の海上に130発余りの砲弾射撃を実施したと発表していた。北朝鮮の発表により、砲撃は韓国軍と在韓米軍が鉄原で実施している訓練への反発であることが明らかになった。

 朝鮮人民軍総参謀部は、前線部隊に敵の監視と迅速な反撃態勢を指示し、警告を目的として午後3時から同4時にかけ約130発の砲弾射撃を実施させたと説明した。敵の挑発的な行動に対し、圧倒的な軍事行動で対応することを表明するとし、「敵側は肉眼での監視が可能な前線地帯で緊張激化を引き起こす軍事行動を直ちに中止しなければならない」と威嚇。「われわれは敵側が前線一帯で不必要な緊張激化の火種を起こさず自重することを厳重に警告する」と強調した。

 一方、韓国軍合同参謀本部は同日、北朝鮮が同日午後3時ごろ、南東部の江原道金剛郡付近と南西部の黄海南道長山串付近からそれぞれ東西の海上に130発余りの砲弾射撃を実施したと発表した。着弾地点は2018年9月の南北軍事合意によって設定された海上の緩衝区域で、韓国軍は南北軍事合意違反だとして数回にわたり即時中止を求める警告通信を行った。

 今回の砲撃は韓国軍と在韓米軍が北部の鉄原で実施している多連装ロケットシステム(MLRS)などの発射訓練への反発との見方が出ていたが、北朝鮮の発表はこれを裏付けるものとなった。韓国軍は訓練を計画通り6日まで実施すると伝えた。

 韓国・北韓大学院大の梁茂進(ヤン・ムジン)総長は聯合ニュースの取材に、「北は米軍の活動に敏感に反応し、軍事合意の破棄も辞さないとの意図を示し続けている」と解説した。また、北朝鮮軍は冬季訓練中だとしたうえで、「冬季訓練中には弾道ミサイル発射を行ってこなかった前例からみて、今回の砲撃は一時的な抗議と判断される」と述べた。