VRを体験する際にはケーブルレスが理想。もちろん実際の世界と見分けられないようなVR空間を早く体験したいと思いつつも、それをケーブルレスで実現してほしいと願っています。

そんな私は、VRゲームを基本的に「Meta Quest 2」単体でプレイしているのですが、邪魔だと感じていたのがイヤホンケーブル。ケーブルが首筋に触れるとちょっぴり現実に戻されてしまうのです。

10月27日の発表当時から注目していたのが、完全ワイヤレスゲーミングイヤホン「Soundcore VR P10」。「Made for Meta」に認定された初の製品であり、完全ケーブルレス化を実現するためにもってこいです。11月24日に販売開始した本モデルをいち早く試用したので、実機レビューをお届けいたします。

Soundcore VR P10。直販価格は14,990円

○USB-Cドングル接続時に約30msの低遅延接続を実現

「Soundcore VR P10」は「Made for Meta」を取得した世界初の完全ワイヤレスゲーミングイヤホン。LC3コーデック、カスタムチップセット、2.4GHzワイヤレス接続などを使用した「LightningSync技術」が採用されており、同梱のUSB-CドングルをMeta Quest 2などのデバイスに接続することで約30msの低遅延を実現します。

製品パッケージ。右上に「Made for Meta」のロゴが印刷されています

パッケージ背面。「Made for Meta」認定製品ですが、PC、Nintendo Switch、PlayStation 4/5などでも利用可能。USB Type-Aのみのデバイスでは変換アダプターを介せば接続、利用できます。ちなみにAndroidスマートフォンでも使えました(すべての機種での動作を、編集部、筆者、メーカーが保証するものではありません)

パッケージにはイヤホン、充電ケース、USB-Cドングル、イヤーチップ3種、USB-C & USB-Aケーブル、クイックスタートガイド、安全マニュアルが同梱。USB Type-CからUSB Type-Aに変換するアダプターは別売です。

同梱品一覧。イヤーチップはイヤホン本体からはずされた状態でパッケージに収められています

通信方式は2.4GHzワイヤレス接続(USB-Cドングル)とBluetooth 5.2を採用。対応コーデックはSBC、AAC、LC3(USB-Cドングル使用時)。イヤホンの充電時間は約1.5時間、充電ケースの充電時間は約2時間。再生可能時間はイヤホンのみで最大6時間、充電ケース使用時で最大24時間。1時間の再生に必要な充電時間は10分です。

USB-Cドングルとイヤホン本体。イヤホン本体には11mmの大型ドライバーが内蔵。防水規格はIPX4に対応しています

イヤーチップはS、M、Lの3種類。フィット感はよいのですが、やや薄くてホールド感を弱く感じました

ちなみにソニーのイヤーチップを装着できました。標準のイヤーチップが合わなかったら自己責任で他社製をお試しください

充電ケースのサイズは実測約55×66×30mm。USB-Cドングルを収めるスペースを確保したぶん、昨今の他製品と比べるとやや大きめです

USB-C & USB-Aケーブルの長さは実測61cm

左がクイックスタートガイド、右が安全マニュアル

クイックスタートガイドには日本語の解説も含まれています

イヤホンの長さは実測約32mm、奥行きはイヤーチップを含めて実測約24mm。側面のロゴ部分ではタッチ操作が可能で、後述の「Soundcore」アプリで各種機能を割り当てられます

充電ケースにはイヤホンと一緒にUSB-Cドングルを収められます。どちらも磁力でしっかりと固定されるので落とす心配は少ないです。なお、USB-Cドングルは奥まった位置にありますが、端子を左右に押せば簡単に取り出せます

イヤホン本体×2(イヤーチップM装着時)の重量は実測10.12g

イヤホン本体×2、充電ケース、USB-Cドングルの合計重量は実測62.36g

○パススルー充電のおかげで長時間のVRプレイが可能

本製品を初めて見たときに「Meta Quest 2を使っている人が作ったはず!」と思いました。その理由は、USB-CドングルにUSB-Cポートが用意されているため。

USB-Cドングルを挿しているときもパススルー充電でMeta Quest 2に電源を供給できるので、長時間のVRプレイが可能なわけです。イヤホンのバッテリーが先になくなりますが、10分で1時間ぶん充電できるので、その間だけ本体のスピーカーでしのぎましょう。

表面のSoundcoreのロゴ横にUSB-C端子が用意されています

USB-Cドングルを装着しながら、Meta Quest 2に給電が可能です

Meta Quest 2の動作時間はゲームで約2時間、動画視聴で約3時間。ソーシャルVRサービス「VRChat」などにログインすると2時間なんてあっという間。パススルー充電はやはり必須機能です

○ケーブルレスの没入感がすごい。音質もかなり高いレベル

さて実際にSoundcore VR P10を使った感想ですが「没入感が増す」の一言に尽きます。Meta Quest 2にはスピーカーが内蔵されているのでイヤホンがなくても利用できますが、音質はそれなりですし、盛大に音洩れします。まず、音質と周囲への配慮という点で完全ワイヤレスイヤホンは有益です。

また、約30msの低遅延接続によりリズムゲームをプレイしていても音のずれはまったく気になりません。ケーブルレスということで首筋にコードが触れることがなくなり、VR世界に集中しているとイヤホンの存在を忘れてしまいます。

音質もかなり高いレベルだと感じました。音ひとつひとつがしっかりと分離し、低中高域がバランスよく出力されています。ソースさえしっかりと選べば、ミュージックビデオも堪能できるクオリティーと言えます。

欲を言えばアクティブノイズキャンセリングに対応していれば最高でしたが、Meta Quest 2+Soundcore VR P10という環境は、完全なケーブルレスを実現し、かつ低遅延、高音質という点で、VR世界に没入するにあたって最高のコンビだというのが率直な感想です。

頬にイヤホンのケーブルが触れないことは、VRへの没入感を着実に深めてくれます

手軽さという点でMeta Quest 2の内蔵スピーカーも優れた装備ですが、Soundcore VR P10を体験するとかなり寂しい音に聞こえてしまいます

なお、ほかのデバイスにもSoundcore VR P10のUSB-Cドングルを挿してみましたが、Windows搭載ノートPC、Androidスマートフォン、Nintendo Switch、あと当たり前ですが「Meta Quest Pro」でも問題なく利用できました。

またちょっと汚れているので写真は撮らなかったですが、デスクトップPCのUSB-A端子にアダプター経由で接続しても使えました。活用範囲は広いので、Meta Quest 2だけで使うのはもったいないですね。

「Meta Quest Pro」でももちろん使えますが、ホワイトカラーがちょっと浮きますね。ブラックモデルの登場に期待したいところです

なお、Soundcore VR P10はBluetooth 5.2接続にも対応しており、USB-Cドングル経由とBluetooth経由で2台同時に接続可能です。

たとえばMeta Quest 2にUSB-Cドングルで接続し、スマートフォンにBluetooth経由で接続した際には、Meta Quest 2でゲームをしながら、スマートフォンで同時に通話が可能。ただし「Soundcore」アプリをインストールして「Soundcore VR P10」を登録したうえで、「ゲームをしながら通話」を有効にする必要があるのでご注意ください。

充電ケースにイヤホンを入れている状態で背面のボタンを3秒長押しするとBluetoothペアリングモードに移行します

Meta Quest 2でゲームをしながら、スマートフォンで同時に通話が可能。どんなゲームでも同時に会話を楽しめるわけです

ゲームをしながら同時通話するためには、「Soundcore」アプリで機能を有効にする必要があります

「Soundcore」アプリではほかにも、側面の光の効果のカスタマイズ、イコライザー設定、側面タッチコントロールの設定が可能です

○あらゆるコンテンツを身軽に、深く没入して楽しみたい方に魅力的なデバイス

「Made for Meta」が謳われている本製品はMeta Quest 2、Meta Quest Proとの相性が抜群ですが、PC、Nintendo Switch、PlayStation 4/5用のゲーミングヘッドセットとしても優れた性能を備えています。「Soundcore VR P10」はVRコンテンツはもちろんのこと、あらゆるコンテンツを身軽に、かつ深く没入して楽しみたい方にとって、魅力的なデバイスといえます。

ジャイアン鈴木 PC、スマホ、VR、ドローン系を中心に手がけている物欲系ライター。「自分のモノにしてじっくり使わないと、製品の本当のよさはわからないよね!」と自分を騙して散財し続けています。銀行口座の残高的な負のスパイラルから、誰か助けてください。 この著者の記事一覧はこちら