北京モーターショーの中止は1990年の第1回以来初めてだ(写真は公式ウェブサイトより)

11月10日、中国最大規模の自動車展覧会である北京モーターショー(正式名称は北京国際汽車展覧会)の中止を、主催者が正式に発表した。もともとは2022年4月に開催予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期されていた。それから7カ月を経て、最終的に開催断念に追い込まれた格好だ。

北京モーターショーは2年に1度、同じく中国最大規模の上海モーターショー(正式名称は上海国際汽車工業展覧会)と交互に開催されている。前回の2020年は、新型コロナの大規模な流行が中国で初めて起きた時期に重なったため、やはり4月の開催を延期。5カ月後の9月に開催された。

しかし今年は、新型コロナの(オミクロン変異株の)局地的流行が中国各地で頻発。開催地の北京市では、9月末に始まった感染拡大が1カ月余りを経ても収束せず、主催者が中止やむなしとの判断に至った。1990年の第1回以来、北京モーターショーの中止はこれが初めてだ。

自動車販売にも深刻な影響

新型コロナの流行と厳しい行動制限の長期化により、自動車の売れ行きにも深刻な影響が広がっている。

秋の行楽シーズンである10月は、中国の自動車販売業界で「銀の10月」と呼ばれる書き入れ時だ。しかし全国乗用車市場信息聯席会のデータによれば、2022年10月の乗用車の新車販売台数は184万台と前月より4.3%減少。10月の販売実績が9月を下回ったのは9年ぶりのことだ。

自動車販売店の在庫は急増している。中国汽車流通協会が11月10日に発表したデータによれば、10月の自動車販売店の在庫係数は1.76と前月より20%近く上昇。警戒レベルとされる1.5を上回った(訳注:在庫係数は、当月末時点の在庫台数を同月の販売台数で割った数値)。


本記事は「財新」の提供記事です

「10月は河南省、広東省、山東省など市場規模の大きな地方に、新型コロナの流行と行動制限の影響が及んだ。多くの自動車販売店が休業を迫られ、繁忙期にもかかわらず正常な営業活動ができなかった」。中国汽車流通協会は、在庫急増の背景をそう説明した。

(財新記者:賓宇軒、安麗敏)
※原文の配信は11月11日

(財新 Biz&Tech)