Twitterを買収したイーロン・マスク氏がその経営手腕を振るい、従業員のおよそ3分の2を解雇する大規模な人員削減を行いました。また、Twitterを長時間かつ猛烈に働く「ハードコアな職場」にするというマスク氏の宣言もあり、大量の従業員が退職しています。そんな中、ヨーロッパでEUのデジタル政策部門と調整を行っていたTwitterの担当幹部が退職し、EUと交渉を重ねてきたブリュッセル支社が閉鎖してしまったと報じられています。

Closure of Twitter Brussels office prompts online safety fears | Financial Times

https://www.ft.com/content/f9fdace4-5eb2-4db2-929b-e34861fa0521

Twitter layoffs trigger oversight risk warning from Brussels | TechCrunch

https://techcrunch.com/2022/11/24/elon-musk-twitter-layoffs-eu-dsa-vlop-warning/

Financial Timesによると、ヨーロッパでTwitterのデジタルポリシーを担当していたJulia Mozer氏とDario La Nasa氏が退職したとのこと。この2人はTwitterのブリュッセル支社所属で、EUのフェイクニュース対策やデジタルサービス法に準拠するための取り組みを主導しており、EUの政治家ともコネクションを持っていたそうです。

Mozer氏とLa Nasa氏は最初の人員削減では解雇の対象になりませんでしたが、マスク氏が「ハードコアな労働文化」を迫ってからはTwitterで働いていないとのこと。2人が退職したのか、それとも解雇されたのは不明。Financial Timesによると、2人ともコメントを控えており、Twitterはコメントの要請に応じなかったそうです。

Twitterにとって、Mozer氏とLa Nasa氏はオンラインコンテンツの取り締まりを目的としたEUの法律を順守するために必要な人材です。2人がTwitterを辞めたことで、Twitterは訴訟や規制措置にさらされるリスクが高くなります。

また、TwitterのEU公共政策ディレクターを務めていたStephen Turner氏は「ブリュッセルでのオフィスの立ち上げから素晴らしいチームの構築まで、素晴らしい道のりでした。世界で最高の同僚、素晴らしいパートナーを持てたことを光栄に思います。退屈な瞬間など全くありませんでした」と述べ、Twitterを退職したことを明らかにしています。

EUは、4500万人以上のユーザーを持つTwitterなどのテクノロジー企業に対して、EU諸国の政府が違法と見なすコンテンツを削除するための「堅牢なシステム」を維持することを義務付けています。この義務を怠った企業は、会社の年間収益の最大6%に当たる違反金を支払わなければなりません。

Twitterのブリュッセル支社はEUの執行機関である欧州委員会のすぐ近くにあり、EUのデジタル政策担当と綿密な話し合いが行われていたとのこと。ブリュッセル支社はTwitterにとって、EUをはじめとするデジタル政策に対応可能な部署であり、戦略的にも非常に重要な組織といえます。IT系ニュースサイトのTechCrunchは「議員や法執行機関に影響を与えるため、EUにブリュッセル支社のような組織を構える重要性をマスク氏が理解できなかった場合、ブリュッセル支社の閉鎖はマスク氏の大きな戦略的失敗とされる可能性があります」と指摘しています。

EUのフェイクニュース対策担当ヴァイスプレジデントを務めるVěra Jourová氏は、「Twitterがヨーロッパにいるたくさんのスタッフを解雇するというニュースを懸念しています。フェイクニュースやプロバガンダを効果的に察知して対策を講じるためには、リソースが必要です。特にロシアがフェイクニュース戦略を講じているという背景もあり、TwitterがEUの法律を完全に尊重して順守することを期待しています。Twitterはフェイクニュースや違法なヘイトスピーチと戦う上で非常に有益なパートナーであり、これを変えてはなりません」とコメントしています。

なお、マスク氏は「Twitterにおけるヘイトスピーチが3分の1にまで減少しました」と主張しています。