新型コロナウイルス感染症で婚活サービスが広がっているといいます(写真:Kazpon/PIXTA)

時代の移り変わりとともに、結婚相手と出会う方法は変化していく。かつては、お見合いが多かったが、「恋愛結婚」が主流となったことで、現在は結婚相手を自発的に探す人が多くなった。新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)が流行し、生活スタイルの変更を余儀なくされる中、婚活サービスが広がっている。

コロナ禍は、結婚につながる出会いにどんな変化をもたらしたのだろうか。リクルートブライダル総研の「恋愛・結婚調査2021」「婚活実態調査2022」をもとに分析していきたい。

「出会いの機会」の減少で、結婚できないと考える層も

まずは、日本における恋愛の現状に目を向けてみる。恋愛・結婚調査2021で見ると、20代から40代の未婚者において、恋人がいる人の割合は約3分の1(33.4%)、恋人がいない人の割合は約3分の2(66.6%)だった。


また、恋愛意向について2019年と比較してみると、「恋人は欲しくない」と考えている人の割合は約2割(17.9%)と2019年の17.0%と大きな変化はみられない。一方、「どちらでもない」と考えている人の割合は、21.6%から約4分の1にあたる25.3%と増えており、状況に応じて考えを変化させる人がいるのが注目ポイントだ。


結婚意向についても同様の結果が得られた。「(今後も)結婚したくない」と考えている人の割合は約2割(21.6%)と変化がない一方、「どちらでもない」と考えている人の割合は約4分の1(25.9%)と2019年の23.0%から増えている。


結婚したくない理由を見ると、「行動や生き方が制限される」「結婚の必要性を感じない」「金銭面に余裕がなくなる」が上位に来ている。結婚のカタチも変化している中、「結婚」と「自分の時間やキャリア」がトレードオフと捉えられており、一部では結婚意欲の阻害要因となっていることがわかる。


結婚できない理由は「出会いがない」から

一方、結婚できないと考えている人もいる。その理由を見てみると、「出会いがない」が44.3%と最も高い。また、「コロナの影響で出会いの機会がなくなった」は10.1%と、コロナ禍で対面コミュニケーションが制限された影響が浮き彫りになった。

もちろん、結婚意向の有無は個人の自由であり、強制されるものではない。そのことを踏まえたうえで、「出会いの機会がない」ことで結婚したくてもできない人に解決策を提示することは重要なことと言える。


では、結婚した人はどこで出会っているのだろうか。2016年には66.9%あった「既存コミュニティ内(「同じ会社や職場」「合コン以外の友人の紹介」「同じ学校やクラス」「サークルや趣味・習い事の活動を通じて」「家族や親戚の紹介」「幼なじみ・近所」の計)」での出会いは、長期的に見てダウントレンドとなっており、2021年には57.7%と大きく減少した。


この結果になった理由は、周りとの調和を大切にしている若者が多いからだと考えられる。実際、コミュニティ内での恋愛に躊躇する人は、30代や40代と比べて20代のほうが多い。「交際や破局によって、平穏な人間関係が乱れるのではないか」と危惧し、既存コミュニティ内での恋愛に少し後ずさりしてしまう若者は少なくないだろう。


このような現状だからこそ、「コミュニティ外で出会いの機会をつくる」ことが重要であり、その結果、「婚活サービス(結婚相談所、ネット系婚活サービス、婚活パーティ・イベント)」に注目が集まっている。

婚活サービス」が婚活の手段として台頭

婚活において、婚活サービスはどれくらいの需要があるのだろうか。婚姻者のうち、婚活サービスを利用していた人は、この20年間、右肩上がりで増加し、2021年には34.1%と過去最高を更新している。


(出所)「婚活実態調査2022」(リクルートブライダル総研)

また、婚活サービスの利用者においては44.2%が婚活サービスを通じて結婚に至っており、長期的に見て伸長傾向にある。


(出所)「婚活実態調査2022」(リクルートブライダル総研)

主な婚活の種類ごとに見ても、「ネット系婚活サービス(40.2%)」や「結婚相談所(34.1%)」については、使った際に結婚できた割合がとくに高く、「知人に紹介を頼む(20.0%)」「趣味や習い事の場で探す(19.5%)」「合コンに参加する(8.0%)」などの婚活手段の割合と比べ、大きな差があった。


(出所)「婚活実態調査2022」(リクルートブライダル総研)

これらの結果から、婚姻者における婚活サービス利用者の割合は高く、さらに利用すると結婚に至る人が多いことがわかる。

この結果をもとに、婚活サービスのいずれかで出会い、結婚した人の割合を見ていく。2021年の婚姻者のうち、15.1%が婚活サービスを通じて結婚している。かつ、2013年以降、長期的に見て増加傾向にあるのだ。


(出所)「婚活実態調査2022」(リクルートブライダル総研)

この背景をたどると、婚活サービスの認知の拡大やイメージの変化が見えてくる。国や各自治体、大手企業が婚活ビジネスに参入したことで利用者が増加し、身近な友人・知人も利用するようになった。そして、婚活サービス利用に対する「恥ずかしさ」や「怪しさ」が払拭されることで、利用するハードルが下がったのではないだろうか。

実際、周囲に婚活サービスを利用した人がいる、あるいは実際に成婚した人がいると、自身も使う割合が高まるといったデータもあり、今後ますます広がる可能性は高いと言える。

とくに、サービスごとに見ていくと、「ネット系婚活サービス」を通じて結婚した人の割合は、2016年が4.5%だったのに対し、2021年は10%とここ数年で急激に伸びている。


(出所)「婚活実態調査2022」(リクルートブライダル総研)

若者を中心に、合理的な志向が広がり、タイム・パフォーマンス(時間対効果)を意識する人も多くなってきた。ネット系婚活サービスは、モバイルデバイスを使って移動時間などを効率的に使いながら結婚相手を探せることができたり、自身の条件を整理しながらマッチングができたり、非常に合理的なサービスでもある。また、お断りをすることにも煩わしさが少ないこともあり、若者の価値観にマッチしている点が大きい。

コロナ終息後の婚活サービスの需要は?

次に、独身者における婚活サービスの利用状況を見ていく。2022年の調査では、恋愛もしくは結婚の意向があり、恋人がいない独身者のうち、約4人に1人(25.3%)が婚活サービスを利用したことがあるとわかった。


(出所)「婚活実態調査2022」(リクルートブライダル総研)

婚活サービスのうち、「ネット系婚活サービス」の利用率が著しく高い。婚姻者と同じように独身者のあいだでも、ネット系婚活サービスが主流であることがうかがえる。

さらに、婚活サービスを利用して恋人ができた割合は45.1%と、2017年から過去4年連続で伸びていることも注目ポイントだ。


(出所)「婚活実態調査2022」(リクルートブライダル総研)

この背景をたどると、コロナ禍で婚活サービスを利用するモチベーションが上昇したことが見えてくる。結婚したい人が一定数いる中、コロナ禍によって人と会うことが制限された。

仕事でも友人関係でも「なんとなく会う」ことが難しくなり、顔見知りの人とだけ会う生活へと変わると、初対面の人とは出会いづらくなる。そのため、「新しい出会い」を自分からつかみにいこうと、婚活サービスを利用するモチベーションが高まったのではないだろうか。

では、コロナで制限されていた活動が平時に戻っていくと、独身者の婚活サービス利用へのモチベーションはどうなるのか。「コロナ終息後も利用を継続したい」と考えている人は結婚相談所が70.4%、ネット系婚活サービスで92.0%、結婚パーティ・イベントで80.6%。一方、現在は利用していない人でも、約3割前後がコロナ終息後の利用を検討している。

この結果から、コロナ禍が落ち着いてきても利用者は増えていく可能性があり、婚活サービスの利用はますます活発になることが予想できる。

最適なサービスを選択し、出会いの数を増やす

これらの結果から、婚活サービスによって「新しい出会い」を増やすことは、結婚したくても出会いがない人にとっての重要な解決策になるといえる。

また、複数の婚活サービスを併用すれば、単独の利用よりも出会いをさらに増やせるだろう。そもそも婚活サービスごとに特徴があり、ネット系婚活サービスは効率的に婚活でき、結婚相談所では仲人が結婚相手探しをコンサルティングしてくれる。婚活パーティ・イベントなら大勢とリアルに出会えて、コミュニケーション力が鍛えられるかもしれない。

このように、それぞれに違う特徴があるからこそ、自分にとって最適なサービスを組み合わせて利用することで、よりマッチングの確率を高めることにつながる。実際に、サービスを併用している人のほうが恋人ができる確率も高いといったデータもあり、今後の利用方法の重要な観点だろう。

婚活サービスの効果的な利用は結婚したいと思っている人にとって、重要な手段として確立したと言える。今後も注目すべき市場である。

(リクルートブライダル総研)