ソーラー発電より50%多くのエネルギーを生み出す「屋上風力発電」が登場、回転するブレードがないので安全で騒音もほぼゼロ
風力発電というと、巨大なプロペラ状のブレードを回転させて電力を得る風力タービンが一般的です。アメリカの発電システム開発企業・Aeromine Technologiesが、建物の屋上に取り付けることが可能で、大きなブレードが回転することもないので野鳥を殺傷するリスクもないという革新的な風力発電システムを発表しました。
Rooftop wind energy innovation claims 50% more energy than solar at same cost - pv magazine International
Aeromine Technologiesがサンディア国立研究所およびテキサス工科大学と共同開発した「動かない」風力発電システムが稼働している様子は、以下から見ることができます。
Aeromine motionless wind unit - YouTube
これが屋上風力発電システムです。風力タービンについている、風車のようなブレードがないことが分かります。
下から見ると、小さな換気扇のようなものが回っているのが見えます。
この風力発電システムは、レーシングカーのウイングのような空気力学を利用して捉えた気流を増幅し、エネルギーを生み出すという仕組みです。
大きく動く部分がないため静音で、設置に必要なスペースもソーラーパネルの10分の1しかなく、しかも同じコストで太陽光発電より50%多くのエネルギーを生み出すことが可能です。また、風があれば夜間や悪天候でも発電することができます。
気候変動対策を目的とした非営利組織であるArchitecture 2030の調べによると、建築物の運用により排出される温室効果ガスは全体の27%を占めており、建設や建築資材の製造といった建築業界によるエネルギー利用によりさらに20%が排出されているとのこと。つまり、建物関連の炭素排出量は人類が排出する温室効果ガスのほぼ半分を占めているため、建物自体が再生可能エネルギーを生産することには大きな意義があると言えます。
Aeromine TechnologiesのCEOであるDavid Asarnow氏は、「この製品は急成長している屋上発電市場に新たな価値をもたらし、事業者がまだ未開拓の分野である分散型再生可能エネルギーを通じてレジリエンスやサステナビリティの目標を達成することを支援する画期的なものです」とコメントしました。