データ流出が起こることを恐れ、紙文化が根強い自衛隊。だが、それゆえに資料が流出するのでは(写真はイメージです)

写真拡大

自衛隊の離職率は極めて高い。研修終了後10年以内に50%程度が辞め、定年退職まで残るのは、同期のうち4割程度ともいわれている。私たち国民を守ってくれるはずの組織が、なぜそんな状況になってしまうのだろうか。

◆「ペイパー・シールズ」と揶揄される非効率すぎる紙文化

デジタル化が進み、紙でのやり取りを廃止する企業も増えてきたが、自衛隊では、いまだ紙文化が深く根づいているという。

元海上自衛隊幹部で20代の天田さん(仮名・男性)が当時の経験を語る。

「とある300ページぐらいの分厚い資料があって、それを乗員約180人分印刷して配布することがあったんです。そもそもこの時点で、5万ページ以上の紙とインクが使われているわけですが、皆それを読まないで処分しちゃうんですよ。あくまで“紙で資料を作る”ことに意味を見いだしている。米軍からは、向こうの海軍特殊部隊が『ネイビー・シールズ』と言われていることから、『ペーパー・シールズ』と揶揄されています」

◆統一されていないフォーマット

そうした“アナログ文化”は、普段の業務にも蔓延している。

「ひとつの書類を作るのにも、フォーマットが統一されていないから、Aという船からBという船に異動になったとき、イチから覚え直して作らなければなりません。その書類が将官の関心事項になると、チェックもそれだけ増えますし……本当に非効率だと思います」

◆「フルで休めるのは3か月に1〜2回」

そもそも、自衛隊の基本的な考えは「365日24時間勤務」。いつでも行動を起こせる態勢が必要となるが、こうも余計な作業が発生していては、睡眠を取る時間もない。

「航海中は、艦橋と電信室での任務が主ですが、だいたいいつも書類仕事があるので、朝6時に出勤しても、退勤するのは日付が変わるころになります。フルで休めるのは、3か月に1〜2回じゃないでしょうか」

◆「『激務+出世』を取るか、『定時勤務+窓際』を取るか」

過去に起きた不祥事から、作業の確認事項は続々と増えているものの、DX化は一向に進んでいないのが現状だ。

「国の大臣は推進しているんですけどね(笑)。『激務+出世』を取るか、『定時勤務+窓際』を取るか、本当に極端な職場だと思います」

天田さんはスカウトを受けてまったく畑の違う業界に転職。「会社がこんなに快適とは思いませんでした」と未練はない。

取材・文/東田俊介

―[[自衛隊のヤバすぎる]実態]―