ヤクルト・村上宗隆(左)とオリックス・宗佑磨【写真:小林靖、荒川祐史】

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今季はヤクルト、オリックスが3部門で最多も…宗はUZRがマイナスに

「第51回三井ゴールデン・グラブ賞」が14日に発表され、18人が“守備の名手”の称号を手にした。取材歴5年以上の記者による投票で選出されるため、客観的なデータと違う結果が出ることもある。印象度も投票行動の一要因と考えると、チームの成績が影響している可能性も。過去3年のリーグ制覇したチームと、データ上での守備力の相関関係について調べてみた。

 データ面では、セイバーメトリクスの指標などで分析を行う株式会社DELTAの数値を活用。平均的な選手と比べた時にどれだけ失点を増減させたのかを示す守備の総合指標「UZR」を用いた。

 今年のゴールデン・グラブ賞は、リーグ制覇した2チームがそれぞれ最多となる3部門で受賞者を出した。オリックスは、投手で山本由伸、三塁で宗佑磨、外野で福田周平。この中で、UZRが1位だったのは、山本のみ。福田は外野手部門では「4.7」で6位。宗は「-4.6」となり、有資格者の中でリーグ最下位だった。

 ヤクルトは、捕手で中村悠平、遊撃が長岡秀樹、外野で塩見泰隆の3人。データで見ても、中村、長岡はともにポジション別で1位、塩見も中日・岡林勇希に次ぐ2位と順当だった。一方で今季、三塁部門でUZR1位だった村上宗隆が受賞を逃した。

過去に大きな相関はないものの…中日京田は全ポジショントップの数値で受賞逃す

 過去のリーグ優勝と受賞者の関係性も見てみる。過去3年間を見るとパはソフトバンク、セは中日がともに3年連続で最多受賞だった。

 2021年は、リーグ優勝のヤクルトから中村、オリックスから山本、宗が選出されていた。しかし、この中で、守備位置別のUZRでトップだった選手はゼロ。中村は、日本シリーズでMVPを取るなど大活躍だったが、UZRは「0.0」。中日・木下、巨人・大城に次ぐ3位だった。宗も「11.9」と高数値だったが、楽天・茂木栄五郎に次ぐ2位だった。

 2020年は、優勝したソフトバンクから4人が受賞し、12球団最多。捕手・甲斐拓也、一塁・中村晃、外野・柳田悠岐はそれぞれの部門でUZRトップ。千賀滉大も投手で2位に立っているため、順当ともいえるか。

 2019年は中日と同時に、セを制した巨人も2人で最多だった。この年、話題になったのが遊撃部門。12球団全ポジションでトップのUZR「13.1」をたたき出した中日・京田陽太がまさかの選外。選ばれたのは「-1.7」の巨人・坂本勇人内野手だった。

 これらの結果を見ると、“優勝補正”がかかっているとは一概に言えないものの、優勝チームの一員となったという印象度の強さが影響していることがうかがえる受賞もある。客観的に算出されたデータとは違う結果になるのも、ゴールデン・グラブ賞の見どころのひとつ。来季は、どんな結果になるのだろうか。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1〜3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。