できるだけ早く首相になりたい

写真拡大

政権の方針も決めている

 読売新聞は11月4日、就任から1年を迎える茂木敏充幹事長(67)について、《存在感増す茂木幹事長、力の源泉は首相・麻生氏との信頼関係…「3人が政権方針決めている」》との記事を掲載した。確かに茂木氏は単なる幹事長の立場を越えて発言力を増しているようだが、それが実際に宰相の道へと繋がるのか。疑問の声も少なくないようだ。

【写真2枚】麻生太郎氏と高級寿司店「数寄屋橋次郎」で会食する茂木幹事長

 記事の内容をざっと紹介しておこう。

・岸田文雄首相(党総裁)や麻生副総裁との信頼関係を土台に、党内で茂木氏の存在感が増している。

・茂木氏の力の源泉は、首相、第3派閥の麻生派(53人)を率いる麻生氏との3人の枠組みだ。党幹部は「この3人が党運営のみならず、政権の方針も決めている」と説明する。

できるだけ早く首相になりたい

・「ポスト岸田」に向けて、今後は「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)問題への対応や、衆院小選挙区の「10増10減」に伴う選挙区調整などで手腕が試されることになる。

古代ローマの三頭政治になぞらえ

「記事はその後、国民民主党との連携を強める一方、連立を組む公明党との隙間風も指摘していました。茂木氏が周囲に“公明の要望を必ずしもすべて聞く必要がないと漏らしている”との記述もあり、なかなか読み応えのある記事でしたね。もっとも茂木氏は読売出身ですから、いくらか太鼓を叩いている印象を持ちましたが(笑)」

 と、政治部デスク。たしかに記事を読むと、茂木幹事長の「大物ぶり」が印象に残る。本人は喜ぶだろうが、一歩引いて見てヨイショ記事と受け止める向きもいることだろう。

「まあ茂木氏は党内第2派閥の会長を務めてはいるものの、派内に隠然たる影響力を持つ青木幹雄元官房長官との折り合いが悪く、派全体の掌握には至っていないとも記事にはありました。実際、その通りではありますがね」(同)

 しかし、茂木氏は自らに強い追い風が吹いていると感じているのだろうか、10月23日放送のBSテレ東の番組に出演して周囲を驚かせるような発言をしている。
岸田首相、麻生副総裁、そして自分が折に触れて面談していることに触れたうえで、「総裁、副総裁、幹事長は派閥のトップでもあって、それらの関係は古代ローマの三頭政治になぞらえて言う人もいる」などと話したのだ。

麻生氏との距離が

「本当に嬉しそうでしたね。総裁、副総裁と並び立つ存在だと、誰かの口を借りてはいるものの、実質的には自身で宣言したわけで、びっくりしました。今どき三頭政治と言って理解できる人がいるのかと首を傾げるところもあったし、永田町に限りませんが、敵を作らないに越したことはないのに、あんな発言をするメリットを全く感じませんでした」(同)

 この「ノリノリ」な発言の裏にはそれなりに根拠があるようで、

「ここ最近、特に麻生氏との距離が良い方向に縮まっているようです。茂木氏はできるだけ早く首相・総裁になりたい。その後ろ盾として麻生氏を頼みとしている。一方の麻生氏は、茂木氏の名前を有力候補としてしきりに出すことがあるそうです」(同)

 麻生副総裁にはどういう思惑があるのか。

「次の総裁選が岸田首相と候補者たちとの闘いとなるか、首相退陣後に行われるものなのかはわからないですが、いずれにせよ麻生氏は、茂木氏と麻生派所属の河野太郎デジタル大臣は名乗りを上げるだろうと見ているようです」(同)

チャンスはそうない

「河野氏は麻生派所属ではありますが、前回総裁選でも麻生氏は厳しく接していました。河野氏のことを嫌っていることはなくもちろん総裁候補として評価しているのですが、他方、彼を推しすぎると派閥が割れるし、世代交代が一気に進むうえに麻生氏自身も埋没してしまう。そこへ行くとちょうど年齢的にも良く気心が合う茂木氏なんですよね」(同)

 麻生氏のお友達というだけで次のリーダーが決まってしまうとすれば何とも嘆かわしい状況である。

「茂木さんも必死なんでしょう。岸田さんより年長ですし、次の総裁選で河野さんが総裁になったら完全に自分の目は無くなってしまう。要するに、チャンスはそうないから焦っているところもかなりあると思いますよ」

 と、自民党のある閣僚経験者。仮に三頭政治の状況にあるとしたら、それは首相のプレゼンスの著しい劣化を意味しているわけだが、問題は軽々しくそんなことをテレビで話すセンスだ、とこの閣僚経験者は言う。

「茂木さんがそれを口にした時点で、倒閣宣言と受け止められても仕方ないでしょう。岸田さんには力がないから、力のある私(茂木氏)が支えていますって言い草にも捉えられますからね」(同)

 バックアップをしているのは党内の実力者とはいえ、国民の空気を読めないことでは定評のある麻生副総裁である。それだけに茂木氏も調子に乗って舌を滑らせているようでは、足元をすくわれかねないということか。

デイリー新潮編集部