転職して田舎に帰りたい36歳彼女が見落とす盲点
縁もゆかりもない土地で、仕事も楽しくない…。そんな彼女へのアドバイスとは(写真: mits /PIXTA)
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年収を手放すか、今の仕事をやり続けるか覚悟が決まらない。36歳独身女、経理事務員をしてます。4年前に関西から関東に転勤してきて、知り合いもいない土地でこのまま今の仕事をやり続けるのか?と自問自答を繰り返しモヤモヤする日々を送ってます。というのも、新卒入社から経理事務の仕事なのですが、ルーティンかつミスすると減点方式なのが、飽きもあり自分の適性と離れているなと感じてます。
好きでもない仕事のため縁もゆかりもない土地に居続けることが精神的にきつくなり、関西に帰るために転職活動もしたのですが中々決まらず途中でやめてしまったり。途中でやめてしまった理由は今の年収が手当等含め600万あり、それを手放すことにブレーキがかかってます。あれもこれもではなく、自分が何をいちばん大切にするか、まったく決められません。何かアドバイスをお願いできますでしょうか。
SS 会社員
現状に不安や不満がある際には、往々にしてその原因をあれやこれやと探してしまいますが、その原因と思われるものがリアルさに欠けると行動にはつながらず、「現状維持という名の思考停止」に陥ります。
したがって、ご自身の中で何がいちばん重要なのかをはっきりとさせるため、一度すべてのことを詳細化、具体化するのがよいでしょう。
漠然とした悩みを具現化する
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すべての悩みに共通のことですが、想像や漠然としたイメージを持っているだけでは、結局のところ行動につながらず、「行ったり来たり」の状態になってしまいます。
人生とは選択の繰り返しです。正しい選択をするために正しい決断を下す。
それが重要であり、その結果として自分の望む人生に徐々に近づいていくものなのです。
そして、正しい決断を下すために必要なのは、正しい情報であり、これを個人のことに当てはめたときにやるべきことは、冒頭に申し上げた詳細化であり、具体化なのです。
漠然としたイメージや、想像の世界ではどうしても「自分にとってリアルな選択肢」が見えませんから、なかなか選択しようにも決断も判断もできない、ということになります。
例えば「年収を捨てられない」とありますがなぜですか? 具体的に今の生活で、年収が下がることにより諦めなければならないことは何でしょうか? 習い事や趣味ですか、それとも将来への漠然とした不安でしょうか?
そしてそれらを諦めることはどの程度SSさんにとって苦痛を伴うものでしょうか。
現状が「精神的にきつい」とありますが、例えば上記のようなことを諦める苦痛や苦しみとどっちが大きいのでしょう?
耐え難い苦悩はなぜ発生? 突き詰めて考えるとよい
もっというと、具体的にどの程度年収が下がることにより、「耐え難い苦痛や苦悩」が発生するのか。そして、現時点においてご自身が転職をするとしたら、具体的にどの程度の年収のどんな仕事がリアルな選択肢として存在するのか。そういったことをどんどん突き詰めて考えたほうがよいと思います。
また、「4年前に引っ越してきた」とあり、その中で「知り合いがいない」とありますが、どの程度の知り合いを求めており、具体的にどんな友人や知り合いを作る努力をこれまでしてきましたか?
そもそもご自身にとって、知り合いが身近につねにいる状態は、離れていても連絡ができたり、会いに行こうとすれば会いに行ける知り合いがいるという状態と比較してどの程度重要なことなのでしょうか?
裏を返すと、それが仮に非常に重要なことだとすると、なぜ4年間そういった知り合いを身近に作ることができなかった、またはしなかったのでしょうか? そういった、現時点でご自身が抱えている不安や不満をどんどん詳細化、具体化したほうがよいでしょう。
そうすることで、何が自分にとって本当に問題なのか、であったり自分にとって本当に大切なことが徐々に見えてくるはずです。
人間誰しもそうですが、現状に対して不安や不満があるときには「もっともらしい何かしらの理由」を探してしまい、「もっともらしく納得」してしまうものです。
しかしながら、あれやこれやと理由を探したところで、行動に移せるかというとそうではありません。
行動に移せるか否かは、結局のところ「で、何がいちばん自分にとって大切なんだっけ?」という極めてシンプルな問いに答えられるか否かにかかっています。
その問いに答えられるか否かは、つきつめると自分自身を本当にわかっているか、です。
要は、自分を理解しており、その中で自分なりの人生の志や指針、軸のようなものを持っているかどうか、です。
そういった志や、軸を持っていれば、複数の選択肢があった際に、自分なりのポリシーでもってどんどん判断が出来るようになります。
反対に、そういった判断基準がない場合は、あれやこれやと悩むものの、具体的な行動や選択ができずに、「現状維持という名の思考停止」に陥ってしまいます。
ですから、SSさんとしても「何故自分は今悩んでいるのか」を考え、その中における構成要素をどんどん因数分解し、詳細化、具体化していきましょう。
その作業を通じて、自分にとって大切なものや自分なりの人生における価値観が見えてくるはずです。
「何度か転職活動をしたが途中でやめてしまった」とありますが、おそらくご自身の中でそういった決断や判断を下す基準が非常に曖昧なままなので、行動に身が入らない状態なのだと思われます。
現状を変えたい、という真剣さがあれば途中でやめることはなかったハズです。
真剣に現状を変えたいという動機が不在であり、「何となく不安、何となく不満」という漠然とした状態だからこそ、行動も漠然としてしまうのです。
今後を生きるうえでの志を持とう
SSさんは、経理畑1本でおそらく10数年ずっと継続してやってこられてますから、集中力も行動力も決断力も本来あるハズですし、現在の年収を考えても非常に優秀な方のハズです。
その中で現在ないのは、今後の人生を生きるうえでの志や指針です。そしてそれらは現状を変えたり、行動をするためのモチベーションです。ご自身にとっての生きるうえでの価値観とも言えますが、そういった軸を持つことによって、本来お持ちの行動力なりがより深化されるハズです。
今後仕事だけではなく、人生においてもさまざまな選択を迫られる場面が増えてくるハズです。
そうであるがゆえに、これを機にご自身を深く理解し、ご自身なりの人生をサバイブするうえでの指針なりを構築されるとよいでしょう。
そのようにして、SSさんがご自身の理想とする生活により一歩近づけるであろうことを応援しております。
(安井 元康 : 『非学歴エリート』著者)