ワールドシリーズ第5戦でフィリーズに勝利し王手をかけたアストロズ【写真:ロイター】

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第5戦はアストロズ辛勝で世界一に王手

 ワールドシリーズ第5戦が3日(日本時間4日)、フィラデルフィアで行われ、アストロズが3-2でフィリーズに辛勝。シリーズ成績を3勝2敗とし、2017年以来となる世界一に王手をかけた。【フィラデルフィア=木崎英夫】

 アストロズの先発右腕、ジャスティン・バーランダーがワールドシリーズ通算9度目の先発で初勝利を挙げた。5回を投げ4安打6奪三振で失点は初回に先頭のカイル・シュワーバーに浴びた右翼へのソロ本塁打のみ。4回以外は常に走者を出したが、粘り強く94球を投げた。試合後、「短期決戦では勢いが実に早く変わってしまう」と、39歳のベテランは1球の重みを肝に銘じて投げ続けた。

 敵地での3連戦は、バーランダーの言葉とも重なるように、両軍監督は堅実な守備と走塁を戦術に組み入れ、1点への執念をぶつけ合った。同地での初戦となった第3戦はフィリーズに5本塁打が出る大味な戦いとなったが、第4戦では、序盤の2回にアストロズが走者を三塁に置いた場面で、フィリーズのロブ・トムソン監督は前進守備隊形を指示。この日も三塁に走者が進んだ初回から、同じシフトを敷いた。レギュラーシーズンでは極めて稀である。

 攻撃では、4回に勝ち越しのソロ本塁打を放ったアストロズ期待の新星25歳のジェレミー・ペーニャが脚光を浴びたが、8回に勝利を担保する3点目のホームを踏んだホセ・アルトゥーベの走塁が光った。四球で出塁すると二塁へスタートを切り、ペーニャが右へ運び一気に三塁へ。4番ヨルダン・アルバレスの内野ゴロでホームに還った。

印象的だったベイカー監督の苦笑い…勝利へのこだわりを象徴

 得点には結び付かなかったが、フィリーズも主砲のブライス・ハーパーが、今プレーオフ16試合目の出場で初盗塁を決め得点圏に進んだ。

 この3戦で印象的だったのはアストロズのダスティ・ベイカー監督の苦笑いだった。

 第4戦で一挙5点を奪った4回だった。無死一、二塁で2番ペーニャが送りバントを失敗すると、悔しさをにじませる笑みを浮かべうつむいた。ペーニャは左前打でこのミスを上書きしたが、流れが変わる局面を心得る73歳の老練の将が見せた仕草は勝利へのこだわりを象徴していた。

 明日の移動日を挟み、第6戦は場所を同シリーズ開幕の地テキサス州ヒューストンに移し、ザック・ウィーラー(フィリーズ)とフランバー・バルデス(アストロズ)の先発が予定されている。大胆さと緻密な戦術を持ち合わせる両軍の結末はどうなるか。楽しみだ。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)