「ファーファ」がかわいすぎ!ゆるふわ運用13年のTwitterアカウントが長く愛される理由

ファーファと「こうじょうのヒト」の二本柱でTwitterを運用
――ファーファがどのようなキャラクターか、教えてください。
画像出典:@fafa_bear
東(ひがし) ファーファはふわふわとした性格の優しい男の子です。お散歩をするのが趣味で、ほかには料理が好きと聞いています。普段は「コットンランド」に住んでおり、私たち社員もなかなか会うことができません。たまにオフラインで実施するイベントに遊びに来たり、お散歩がてら会社に挨拶に来てくれたりします。
https://twitter.com/fafa_bear/status/1485786685489430528?s=20&t=FhNwsGURQIxRHbGtZaShJw
▲朝の散歩、略して「あさんぽ」を楽しむファーファ。TwitterやInstagram、Facebookで投稿されている写真は、ファーファが住む「コットンランド」での様子とのこと。
https://twitter.com/fafa_bear/status/1442268982090743815?s=20&t=2pHiDIPWzcjQ7kc_qojUmA
▲写真左:東生子(ひがし・いくこ)さん、右:和智真理子(わち・まりこ)さん。
――ファーファがTwitterを始めたのは2009年11月と、実は13年にわたってツイートし続けています。そもそもTwitterで発信するようになったきっかけは何でしょうか。
和智(わち) 当時は会社としてテレビCMや広告を大きく打ち出すのが難しい状況にあり、お客さまと直接コミュニケーションがとれるツールとしてSNSの活用を検討したのが、Twitterを始めるそもそものきっかけでした。
その頃のTwitterは日本語版のサービスが2008年に開始されたばかりで黎明期にあり、企業アカウントも少なく、活用するにも社内は「SNSって何?必要なの?」という状態でした。そこで、ちょうどそのとき企画していた「デコボトルキャンペーン」(※)を利用し、「キャンペーンの受賞者を紹介するのに、Twitterが必要なんです」と社内を説得して、キャンペーン用のアカウントを開設しました。キャンペーン実施後にあらためてTwitterの活用方法を検討したところ、社内からも「会社が情報を発信するよりも、せっかくファーファがいるので、ファーファにお話ししてもらうのがいいのではないか」と声が上がり、そのアカウントの名前を変えてファーファにツイートしてもらうことになったのです。
※デコボトルキャンペーン:空の柔軟剤のボトルにファーファのシールなどを使用してお客さま自身にデコレーションし、応募してもらうキャンペーン。
▲ファーファの記念すべき最初のツイート。
https://twitter.com/fafa_bear/status/6176283471?s=20&t=X1ADiYEXzQjQ_v2HBz_xVA
後にNSファーファ・ジャパンの公式アカウントを開設して以来、弊社のTwitterはファーファ本人が発信するアカウントと、会社が運営する公式アカウントの二本柱でずっと運営しています。ファーファのTwitterアカウント開設当初より、お客さまからTwitter上で商品の問い合わせを頂くことがしばしばあり、そうしたお問い合わせにメーカーとして答えたい一方で、ファーファは子どもで難しいことを話せないため、「こうじょうのヒト」が運営しているという形で会社のアカウントを開設したのです。
▲会社が運営する公式アカウント(画像出典:@nsfafajapan)。
そのため、ファーファが商品に関するお問い合わせを受けたときは、「こうじょうのヒトにきいてみるね☆」と返信してもらい、会社のアカウントが回答を引き継いでいました。つまりキャラクターは、あくまでブランドの顔としての位置づけであり、ファーファの世界観を壊さないように配慮して生まれた運営スタイルになっています。
最近は企業のアカウントが増え、公式Twitterの「中の人」が注目されるようになっているので、NSファーファ・ジャパンの公式アカウントもファーファのサポート役から脱して、お客さまと積極的にコミュニケーションをとりつつあります。
――ファーファのアカウントにおける魅力の1つが、かわいらしい写真の数々です。開設当初はテキスト中心につぶやいていたのが、2016年1月頃から写真付きで投稿するようになっています。何かきっかけはあったのでしょうか。
和智 Twitterはテキストベース、Facebookはビジュアルベースと使い分けていたのですが、垣根をなくしてファーファのTwitterアカウントでも写真を投稿してもらうようになったのが2016年頃だったと思います。
▲2016年当時のツイート。
https://twitter.com/fafa_bear/status/693007509771177986?s=20&t=R77ccWmn8JLLOjDhDbt8aA
もともとFacebookでは、2011年からファーファの写真を投稿していました。当時の商品に、ファーファが世界旅行をしたインドやフィンランド、ドバイなどのイメージの香りが柔軟剤になっている「ファーファトリップ」というシリーズがあり(2022年11月2日現在は販売終了)、商品以外の形でもファーファがお散歩好きであることを広めたいと考えたのが、写真を投稿するようになったきっかけです。
画像出典:https://www.facebook.com/fafa.jp
ちなみに、ファーファは1人でお出かけすることができないので、上記の投稿に「ファーファスタッフのはるなです。」と書いてあるように、お散歩にはファーファスタッフのはるなさんが付いて行っています。また、Twitterよりも長い文章をファーファが投稿するのは難しいこともあって、FacebookやInstagramはファーファスタッフのはるなさんが「一緒に行ったね」「楽しかったね、ファーファ」などの文章とともに第三者目線で写真をアップしているのが特徴です。
▲Instagramでは、ファーファの日記的な投稿のほか、商品に関する投稿、ライブ配信なども行っている。画像出典:@fafa_nsfafa
――ファーファのアカウントのフォロワーにはどのような方が多いですか。
東 30代~40代くらいのお母さん世代が多いと思います。ファーファのキャラクターが好きな方、商品経由でファーファの存在を知った方など、さまざまです。Instagramはプラットフォームの性質上、20代後半くらいのフォロワーもいらっしゃるようですが…。
和智 総合スーパーやショッピングモールなどでイベントを開催するときも、若い世代より、30代以上の方のほうが多く見られます。
そもそも柔軟剤の購買客は主婦層がメインになりやすいのと、物心がついた頃にテレビCMでファーファを見たことがある30代以降と、見たことがない20代以下ではファーファの認知度が大きく異なるようです。
お母さん世代のフォロワーの中には、ファーファのぬいぐるみを家族のように大切にしてくださっている方もいます。
素朴なつぶやきだからこそ親しみやすく、愛される
――ファーファの写真を撮るときに意識していることはありますか。
和智 はるなさんが撮影しているのですが、やはり子どもらしさが魅力の1つなので、ファーファ自身には無邪気に動き回ってもらい、お母さんが子どもの大切な瞬間を逃さないように、1枚1枚大切にカメラに収めています。
東 「みんなとなかよくなりたい」との思いでファーファはTwitterを始めていますから、ご飯を食べているところ、遊んでいるところ、どこかにお出かけしたときに偶然撮れた写真など、私たちから見ても自然体で写っている写真が多いと思います。
画像出典:@fafa_bear
――子どもだから「あざとさ」も意識していないし、自然体ということですね。
和智 ファーファ本人は純粋な気持ちでいますが、かわいらしさが溢れすぎて、中にはかえって「あざとい」と感じる方もいるかもしれません(笑)
――ファーファがツイートする際、しないように気をつけていることはありますか。
東 ファーファ自身はおそらく特に意識しておらず、自由気ままにツイートしていますが、私が見ている限りでは、ほかのアカウントやフォロワーを傷つけるようなことはしないようにしていると思います。
和智 あと、基本的にファーファが自分のTwitterアカウントで弊社の新商品やキャンペーンの情報を紹介することはありません。フォロワーの皆さんはファーファの日常を見たくてフォローしてくださっていると思うので、PR色があまり出ないように会社のアカウントで投稿した情報を引用リツイートする形で紹介してもらっています。
▲「こうじょうのヒト」が投稿したキャンペーン情報を引用リツイートするファーファ。
https://twitter.com/fafa_bear/status/1541927120859201536?s=20&t=dHmlA8mYgq0BF74AAXPu9w
――ファーファのアカウントはなぜ人気だと思いますか。
東 自然体で写っている写真が多いからこそ、フォロワーの皆さんにも親近感を抱いてもらいやすいのだと思います。
画像出典:@fafa_bear
また、いちファンとしてもお答えすると、ファーファの言動には友人に「かわいいから見て!」とついおすすめしたくなるような愛しさがあります。先日も料理をしているツイートを見て「ご飯を作ってくれるなんて偉いね」と感じましたし、ファーファのことを我が子のようにかわいいと思っています。フォロワーの皆さんの中にも同じように感じてくださっている方がいて、「いいね」やリツイートなどの行動につながっているのではないでしょうか。
▲料理を頑張るファーファ。やけどや火事を心配したフォロワーから「気をつけて!」とのリプライが多数投稿されている。
https://twitter.com/fafa_bear/status/1577135241575411714?s=20&t=2pHiDIPWzcjQ7kc_qojUmA
和智 私も、ファーファはフォロワーにとって愛でる対象や癒やしになっているのだと思います。
別段面白い話をするわけではなく、「9月も終わったね、10月も頑張ろう」のような素朴な内容をつぶやいているので、ツイートが爆発的に伸びることもありません。だからこそ、ブラックな投稿も数多くあるTwitterにおいて、仕事で疲れて1日が終わったときにツイートを見ると「ファーファが応援してくれている。ありがとう」と思えるような、癒やされる存在として人気を集めているのではないでしょうか。
▲筆者も仕事終わりにファーファのツイートを見て「いいね」する1人。
https://twitter.com/fafa_bear/status/1581927959241560065?s=20&t=PeTcQcoXXM8-ainF13ZKZA
もしTwitterでバズを狙うとしたら、ファーファも面白いことや少し腹黒いことを言うなど、ツイート内容が変わってくると思います。おそらくそうした投稿のほうが拡散力はありますし、面白がってフォローしてくださる方も増えるでしょう。しかし、「ファーファはかわいらしくて、ふわふわなことしか言わない」と昔からのファンの方々も応援してくださっているので、あえてバズを狙いにいくようなことはせず、優しいファーファのままでツイートし続けてもらっています。
ファーファがいることによる効果
――ファーファのTwitterが、商品の認知度や売り上げの向上などに影響を与えた例はありますか。
東 ファーファが自分のアカウントで商品について発信することはないので、直接的に売り上げにつながった事例はありませんが、ファーファをきっかけに弊社の商品を知った人は増えていると思います。例えば、弊社商品の「ファーファストーリー」というシリーズにはファーファがパッケージに描かれているので、TwitterやInstagramで「店頭でかわいかったので、購入しました!」とDMを頂くことがあります。
▲写真右から3つが「ファーファストーリー」。世界の国々をイメージした香りの「ファーファトリップ」の後継シリーズとして2021年より販売されている。
和智 劇的にバズることはあまりありませんが、東が言うようにファーファのアカウントをきっかけにキャラクターやブランドを知っていただけるので、認知拡大やブランディングにつながっていると思います。
そもそもファーファの存在自体を知らなかったり、ファーファを知っていても商品を購入できる店舗が近隣になかったりするなど、お客さまが認知から購買に至るまでには長い道のりがあります。そのため、ファーファのツイートに売り上げへの即効的な効果はないでしょうし、私たちも求めていません。ファーファがツイートすることと、商品の売り上げを上げることは切り離して考えています。
――ファーファのおかげで、間接的ではあるけれども商品の認知拡大につながっているということですね。
和智 そうですね。キャラクターがいると、「キャンペーンでぬいぐるみが当たる」「マスコットがおまけで付く」などの施策を打てるほか、「単なるいい香りの柔軟剤」と「ファーファが描かれたいい香りの柔軟剤」という違いも出せます。差別化の難しい商品においては、キャラクターの有無で違いが生まれやすいと感じています。
――ファーファはこれからどのように活動する予定でしょうか。お二人が検討している今後の展開も教えてください。
東 コロナ禍で3年ほどリアルイベントを実施できていなかったのですが、最近少しずつ復活させているので、ファーファも遊びに行っています。そうした場でTwitterやInstagramのフォロワーや、偶然お買い物に来た方々とより積極的にコミュニケーションをとりたいです。
ファーファもコメントしていますが、TwitterをはじめとするSNSは今と同じスタイルで続けていきます。
和智 個人的には、雑誌『otona MUSE(オトナミューズ)』の2022年7月号で付けていただいたようなノベルティも増やしていきたいと考えています。ファーファのぬいぐるみやマスコットなどがお客さまの手元に形として残れば、お客さまがファーファを記憶したり、スーパーやドラッグストアの店頭で思い出したりしていただくきっかけにもなるからです。
イベントも含めて、お客さまとの接点を増やす取り組みはしていきたいですね。
――ありがとうございました!
NSファーファ・ジャパン株式会社
子グマのキャラクターでおなじみ「ファーファ」シリーズをはじめ、薬用シリーズ「Medic Aid」、「WORKERS 作業着専用洗い」など、衣料用洗剤・柔軟剤・パーソナルケア製品の製造、販売を行うメーカー企業。
2006年にユニリーバPLCよりファーファブランドのライセンスを取得した後、2011年に「ニッサン石鹸株式会社」から現在の「NSファーファ・ジャパン株式会社」へと社名を変更した。
なお、「ファーファ」は日本におけるブランド名。アメリカでは「Snuggle(スナグル)」、ブラジルでは「Fofo(フォフォ)」、イタリアでは「Coccolino(ココリーノ)」などとブランド名が異なっており、国ごとに肌触りの良さや柔らかさを連想させる名前で親しまれている。
創業:1937年6月(設立:1974年11月)
本社:東京都中央区
代表者:代表取締役社長 里村治
企業サイト:https://www.nsfafa.jp/
ファーファブランドサイト:https://www.nsfafa.jp/brand/fafa/
ファーファTwitter:@fafa_bear
NSファーファ・ジャパン【公式】Twitter:@nsfafajapan
記事執筆者
佐藤綾美
Twitter:@sleepy_as
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