参院内閣委員会に出席する杉田水脈(みお)総務政務官。答弁拒否を連発した(写真は参院インターネット中継から)

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杉田水脈(みお)総務政務官が2022年11月1日午前の参院内閣委員会で答弁に臨み、塩村文夏参院議員の質問に対して「ただいま検討中」「個人的な裁判のことについての答弁は差し控えさせていただく」などと答弁拒否を連発した。

杉田氏は、ジャーナリストの伊藤詩織氏を中傷するツイートに「いいね!」をつけたことで名誉を傷つけられたとして提訴され、東京高裁が10月20日、1審判決を覆す形で杉田氏に55万円の支払いを命じる判決を出していた。この件や、過去の国会質問に関しては答弁拒否を繰り返したものの、例外が過去の新聞への寄稿に関する内容だ。国際共産主義運動の指導組織「コミンテルン」が、「日本の一番コアな部分である『家族』を崩壊させようと仕掛けて」おり、当時出ていた「保育所を義務化すべきだ」という主張もその一環だ、という主張だ。杉田氏は答弁で、コミンテルンとの関連を主張したことは「大変不用意な表現」だったと述べた。

「高裁の判決を受けて、ただいま検討中」「答弁を差し控えさせていただきたい」

杉田氏は10月27日に初めて答弁に臨んだ際も、答弁拒否を連発。政務官としての資質を問う声があがっていた。11月1日の参院内閣委でも、訴訟で問題視されたツイートに「いいね!」とつけたか事実確認を求める質問に、「高裁の判決を受けて、ただいま検討中」として「答弁を差し控えさせていただきたい」として答弁を拒否。

「裁判の関係であれば、国会で答えちゃいけないんですか?」
「自分が『いいね!』をしたものに対して検討してるんですか?」

といった追及にも「こちら(委員会)には総務大臣政務官としてうかがっている」として「個人的な裁判のことにつきましての答弁は差し控えさせていただきたい」などと繰り返した。

裁判以外の発言を問われても答弁を拒む場面があった。14年10月の衆院本会議で、次世代の党に所属していた杉田氏は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」に反対する演説をする中で、「男女平等は、絶対に実現し得ない、反道徳の妄想」だと主張していた。現時点の見解を問われた杉田氏は、

「本日は、総務大臣政務官としてここにいるので、この発言に対してのコメントは差し控えさせていただきたい」

と、やはり答弁しなかった。

「事実として確認ができることではなく、大変不用意な表現だった」

杉田氏の数少ない実質的な答弁は、16年7月に産経新聞のウェブサイトに寄稿した内容についてだ。寄稿は、杉田氏が連載していた「杉田水脈のなでしこリポート」。「保育所を義務化すべきだ」という主張を批判する内容だ。寄稿では、

「子供を家庭から引き離し、保育所などの施設で洗脳教育をする。旧ソ連が共産主義体制の中で取り組み、失敗したモデルを21世紀の日本で実践しようとしているわけです」
「(コミンテルンが)これまでも、夫婦別姓、ジェンダーフリー、LGBT支援などの考えを広め、日本の一番コアな部分である『家族』を崩壊させようと仕掛けてきました。今回の保育所問題もその一環ではないでしょうか」

などと主張していた。「コミンテルンが日本の一番コアな部分である家族を崩壊させようと仕掛けてきた」という主張への見解を問われた小倉将信少子化担当相は「そのようなことはないと私は思っているし、政府もそのように思っていない」などと答弁した。

杉田氏は、

「これも個人的な過去の投稿で、差し控えさせていただきたいところではございますが...」

と切り出したが、答弁は拒否せずに次のように説明した。

「一般論として、保育園の数には限りがあり、受け入れられる子どもの数にも限りがあるので、そのために、各地方公共団体に入所の選考基準があるということを述べた内容だ」

だが、問題視された杉田氏の寄稿には、受入数の上限や入所基準に関する記述は見当たらない。コミンテルンとのつながりについては次のように話し、根拠がなかったことを明らかにした。

「その寄稿の中において、日本の保育事業とコミンテルンを結びつけて言及したことについては事実として確認ができることではなく、大変不用意な表現だったというふうに考えている」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)