「目がかゆい」ときの原因と対処法はご存知ですか？医師が徹底解説！
目がかゆい時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか？Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師：
久高 将太 医師
琉球大学医学部卒業。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。2022/5に新内科専門医試験受験予定。
「目がかゆい」症状で考えられる病気と対処法
小さなお子様からご年配の方まで、身近な症状である目のかゆみ。誰しも経験があると思います。かゆみはとても煩わしく、毎年悩まされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。またかゆみ以外にも症状が出たときは不安になりますよね。
今回は原因となる病気やその対処法など詳しく解説していきます。
目がかゆい症状で考えられる原因と治し方
目のかゆみの最も多い原因は、アレルギーによるアレルギー性結膜疾患です。その他には、ものもらい(麦粒腫)や眼瞼炎、ドライアイなどが原因となります。
目のかゆみ以外に充血や目やに、異物感、まぶたの腫れ、涙が出る、痛いなどの症状も出ることがあります。
主な診療科は眼科です。眼科では細隙灯顕微鏡という拡大鏡を使って目や目のふちの診察を行います。目の表面を染色して黒目(角膜)の傷を確認したり、瞼をひっくりかえしてブツブツ(乳頭や濾胞)などができていないかも確認します。
緊急性はありませんので日中の受診をお勧めします。目の周りの化粧を落として、コンタクトレンズを使用している人ははずしていくか、保存ケースを持参していきましょう。
片目だけがかゆい症状で考えられる原因と治し方
左右どちらかの片目だけがかゆくなることがあります。この場合に考えられる病気は眼瞼炎、特にものもらい(麦粒腫)です。まぶたが腫れて赤くなったり痛みが出たりすることが多いのですが、かゆみも出ることもあります。麦粒腫はまぶたのまつ毛の生えている部分にある分泌腺の感染によるものです。
抗菌薬の目薬や内服、眼軟膏で改善しますが、治らない場合は眼科で処置が必要な場合もあります。またアレルギー性結膜疾患や眼瞼炎やドライアイなどでも症状に左右差がでることもあります。眼科へ受診することで詳しく調べることができます。
目がかゆく、腫れている症状で考えられる原因と治し方
アレルギー性結膜疾患や眼瞼炎では、目のかゆみだけでなくまぶたが腫れることがあります。また、まつ毛エクステの後や化粧品が合わない場合にも、このような症状が見られることがあります。引っ掻いてしまうとさらに腫れがひどくなるので、目の周りをきれいにしてまぶたを冷やすと応急処置になります。アレルギーの目薬や眼軟膏で治療しますが、感染症を起こしている場合は抗菌薬を使用します。
目やまぶた以外に、皮膚症状や唇の腫れ、息苦しさなどの症状もある場合はアナフィラキシーの可能性があるのですぐに皮膚科や救急外来を受診しましょう。
目がかゆく、充血している症状で考えられる原因と治し方
アレルギー性結膜疾患やドライアイではかゆみだけでなく充血の症状が出ることがあります。感染を起こしていたり、まぶたの裏側に大きなブツブツ(巨大乳頭)ができて黒目(角膜)を傷つけている可能性もあるので症状が強い場合は、早めに眼科を受診しましょう。
アレルギーで目がかゆい症状の特徴と治し方
かゆみなどの自覚症状と結膜に炎症所見を認めます。
アレルギーの中でも原因はさまざまで、花粉症やハウスダスト、カビ類、ダニ、動物の毛、アトピーによるもの、コンタクトレンズの刺激によって起こるものなどがあります。
アレルギーを抑える目薬を使用したり、防腐剤の入っていない人工涙液や洗眼液で洗い流したり、目を冷やすことで症状が緩和されます。
通常の眼科での診察以外に、皮内テストやスクラッチテストや血液検査で原因となるアレルギーを調べることがあります。目の症状だけの場合は眼科で構いませんが、アトピー性皮膚炎や他に皮膚症状がある場合は、皮膚科の受診を勧めることもあります。
花粉症で目がかゆい症状の特徴と治し方
花粉症では、目のかゆみ以外にも鼻水やくしゃみ、鼻詰まりなどの症状が出ることが多いです。予防として花粉の飛散時期を確認しておくこと、外出を控えること、プロテクター付きメガネをかけること、手洗いをすること、家の中に入るときは衣服の花粉を落としてから入るなどが挙げられます。
また、毎年症状が出る方は、花粉の飛散時期の2週間前からの治療開始が効果的です。アレルギーの目薬だけでなく、ステロイドの目薬やアレルギーを抑える飲み薬を併用することもあります。
目の症状が強い場合は眼科で構いませんが、耳鼻科や内科でも花粉症の治療を行なっています。
すぐに病院へ行くべき「目がかゆい」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
強い痛みや視力低下を感じた場合は、眼科へ
感染を起こしている場合や黒目(角膜)に傷がついてしまっている場合があります。感染が強い場合は黒目(角膜)が白く濁って、見えづらくなります。アレルギーの症状が強くまぶたの裏のブツブツがひどい場合は黒目(角膜)と擦れて、痛みや充血と見えづらさを自覚します。またアトピー性皮膚炎があり、目を掻いてしまうことが多い方は網膜剥離や白内障の頻度が通常より高いと言われています。かゆみ以外に強い痛みや視力低下を感じた際は、早めに眼科を受診しましょう。また前述にもありますが、目のかゆみ以外に皮膚症状や唇の腫れ、息苦しさなどの症状もある場合は、アナフィラキシーの可能性があるのですぐに皮膚科や救急外来を受診しましょう。
「目がかゆい」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「目がかゆい」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
眼瞼炎
眼瞼炎とは、まぶたに炎症がでることで、原因は感染によるものとそうでないものがあります。アレルギーやアトピーが原因のものやマイボーム腺というまつ毛の生えている部分にある分泌腺が詰まったり炎症を起こすことでかゆみや赤くなったり異物感を感じることがあります。
アレルギーを抑える目薬や眼軟膏を使ったり、マイボーム腺が詰まっている場合は眼科で圧迫して押し出したりします。普段からまぶたの縁をベビーシャンプーなどで拭いたり、ホットタオルでマッサージをすることでマイボーム腺が詰まることを予防できます。
麦粒腫（ものもらい）
まつ毛が生えている部分にあるマイボーム腺や皮脂腺、汗腺の感染症です。まぶたの一部が腫れて赤くなり、痛みを伴います。かゆみがでることもあります。
自然に治ることもありますが、眼科では目薬や飲み薬、塗り薬を使用します。また長引く場合は針やメスで排膿させることがあります。
結膜炎
結膜に起きる炎症（結膜炎）は感染によるものやアレルギーなど原因は多彩です。
かゆみがある場合はアレルギーの可能性が高いですが、充血が強い場合などは人に移る感染症の場合もあるので早めに眼科を受診しましょう。
アレルギーの目薬や抗菌薬、ステロイドの目薬で治療します。
アレルギー性結膜炎
アレルギー結膜炎には、花粉による季節性のものと、ダニやハウスダストによる通年性のものがあります。花粉やハウスダストなどの異物を排除する時に起きる生態防御機構が体を障害してしまうⅠ型アレルギーによるものです。アレルギーの目薬やステロイドの目薬、アレルギーの飲み薬で治療します。症状が長びく場合は我慢しないで眼科で相談してください。
ドライアイ
ドライアイとは、目の表面を覆う涙のバランスがくずれ、目の乾燥を引き起こす病気です。生活習慣や加齢、またシェーグレン症候群などの病気が原因のこともあります。パソコンやスマホを見る時間を減らしたり、冷暖房のついた部屋に長時間いないことなど日常生活でも気をつけましょう。目薬で改善しない場合は涙点プラグなどの処置が必要な場合もあります。市販の目薬に含まれる防腐剤でアレルギーを起こすこともあるので、症状がつらいときは眼科医に相談してください。
「目がかゆい」ときの正しい対処法は？
目を触ることで悪化する可能性がありますので、マッサージなどは控えましょう。
目の周りを清潔に保つことが必要であり、アイメイクも我慢してください。またかゆみ以外にも症状がある際はコンタクトレンズの装用はやめるようにしましょう。
逆さまつげは眼科で抜いてもらうか、手術が必要な場合もあるので眼科で相談しましょう。
冷やすことでかゆみが落ちつくことがありますが、温めることで血流がよくなり逆に症状がひどくなるので症状があるときにはお勧めできません。
「目がかゆい」症状におすすめの市販目薬は？
市販の点眼液を使って症状が改善する場合は構いませんが、症状が強い場合などはステロイドの点眼液や免疫抑制薬が必要な場合もあるので眼科を受診しましょう。
人工涙液や洗眼液は花粉症がある方などの予防に有効ですが、防腐剤がはいっていないものをお勧めします。使用する場合は、化粧などを落として目の周りを清潔にしてからにしましょう。
「目がかゆい」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「目がかゆい」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
急に片目だけ目がかゆくなり充血しています。結膜炎でしょうか？
久高 将太医師
充血の症状があり、結膜炎が考えられます。眼科を受診して原因を調べる必要があります。
まぶたが腫れて目のふちがかゆいのは、ものもらいでしょうか？
久高 将太医師
ものもらい(麦粒腫)の可能性が高いです。繰り返す方はマイボーム腺という分泌腺が詰まりやすい可能性があるので、眼科で圧迫して除去してもらったり、家庭でホットタオルでマッサージをしたりすることで、発症を予防することができます。
目頭がかゆいのはアレルギーでしょうか？眼科に行くべきですか？
久高 将太医師
アレルギーの可能性が高いので眼科を受診してください。点眼液での治療で改善が期待できます。
朝起きて目がかゆいときは、コンタクトを避けたほうが良いですか？
久高 将太医師
コンタクトレンズは避けてください。悪化する可能性があります。症状が改善する、もしくは眼科医から使用許可がでるまではメガネを使用しましょう。
花粉症で目がかゆい症状は目薬で治せますか？
久高 将太医師
早期治療で症状の改善が期待できます。原因がわかっている方は毎年花粉飛散が予測される2週間前からの治療開始をお勧めします。
まとめ
自然に落ち着くこともあるかゆみですが、原因を調べて早期治療を開始することが長引かせないこともあります。かゆみの症状に悩まされている方は眼科を受診して相談してください。
「目がかゆい」で考えられる病気と特徴
「目がかゆい」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
眼科の病気
アレルギー性結膜炎眼瞼炎ドライアイ麦粒腫アトピー性皮膚炎目のかゆみがある場合には、まず目の周りを清潔に保つことが大事です。改善しない場合には自己判断で対応する時間は長引かせずに早めの眼科受診が重要です。
「目がかゆい」と関連のある症状
「目がかゆい」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
目頭がかゆい目の周りが赤いまぶたの腫れ喉がかゆい夜になると体が痒い目がゴロゴロする目の充血目の腫れめばちこ涙目
目が痛い「目がかゆい」の他に、これらの症状がある際は、「アレルギー性結膜炎」「眼瞼炎」「ドライアイ」「麦粒腫」「アトピー性皮膚炎」などの疾患の可能性が考えられます。かゆみがなかなか良くならない場合は早めの医療機関への受診を検討しましょう。
