顎の下を押すと痛いときは耳鼻咽喉科へ!考えられる病気や病気の可能性を解説

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顎の下にはリンパや耳下腺など大切な器官があるため、痛みを感じるととても不安ですよね。ここではMedical DOC監修医が、考えられる原因やすぐに病院へ行くべき症状などを紹介します。

「顎の下を押すと痛い」症状で考えられる病気と対処法

顎の下を押すと痛い症状で考えられる病気は、顎の下にある唾液を分泌する器官が炎症を起こしているもの、虫歯などの影響、顎関節症、腫瘍などさまざまな原因が考えられます。

顎の下にしこりがあり、押すと痛い場合の原因と治し方

顎の下にしこりや腫れがあって、押すと痛むことがあります。また、耳の下、顎のエラのあたりが腫れて、発熱したり、ものを飲み込む時に痛むことがあります。片方が腫れて、2-3日後にもう片方が腫れることもあります。

流行性耳下腺炎(おたふく風邪)

このような場合、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)が疑われます。おたふく風邪とは、ムンプウイルスというウイルスが、耳下腺という耳の下にある唾液を作る組織に感染して起こる病気です。3~5歳にかかることが最も多いのですが、大人でもかかることがあります。10歳以上の子供や大人は、重症化しやすいので注意が必要です。治療は対症療法が基本ですので、発熱には解熱鎮痛薬を用いて、安静にして栄養を摂るようにしましょう。子どもなら小児科へ、大人なら耳鼻咽喉科が主な診療科です。おたふく風邪は感染する病気であり、難聴や髄膜炎、精巣炎、卵巣炎などを発症する可能性もあります。疑わしい場合はすぐに受診しましょう。

顎の下のリンパの近くを押すと痛い場合の原因と治し方

顎の下のリンパ節の付近が痛みを伴って腫れる症状が当てはまります。発熱を伴うこともあります。

リンパ節炎

このような場合、リンパ節炎が疑われます。リンパ節炎は、ウイルスや細菌に感染しリンパ節が腫れる病気です。顎付近には下顎直下にあるオトガイ下リンパ節、左右の顎下腺付近にある顎下リンパ節、耳から顎にかけての上深顎リンパ節、耳下腺リンパ節など多数のリンパ節があります。扁桃炎や虫歯など他の部分の炎症が影響してリンパ節が腫れる場合もあります。
主な診療科は耳鼻咽喉科です。リンパ節の腫れが2-3週間以上続いたり、腫れが大きくなる場合は、がん のリンパ節転移である可能性もあるため早めに医療機関を受診しましょう。

顎関節・エラ付近を押すと痛い場合の原因と治し方

顎関節、顎のエラのあたりを押すと痛いことがあります。

唾石症(だせきしょう)

このような場合、唾石症が疑われます。唾石症は、顎のエラ付近にある顎下腺という唾液を作る組織の中で石ができて痛みを引き起こす病気です。唾石の原因は、炎症や唾液の停滞、唾液の性質が変化したことなどです。ものを食べるときに顎の下が腫れたり痛んだりします。
主な診療科は耳鼻咽喉科、歯科・口腔外科です。症状が改善しない場合には早めに受診しましょう。

左右どちらか片方の顎の下が押すと痛い場合の原因と治し方

片方の顎の下が痛む、押すと痛む、口を開ける時に違和感がある症状が当てはまります。
すぐにできる対処法は、大きなあくびなど口を大きく開けないようにすることです。また、痛みのあるところに円を描くように指を動かし筋肉をほぐしましょう。顎を左右に動かす、口を開ける、顎を前に突き出す、などの開口ストレッチも効果があるかもしれません。

顎関節症(がくかんせつしょう)

このような場合、顎関節症が疑われます。顎関節症とは、顎関節に痛みがある、顎を動かすと雑音が生じる、口の開閉がスムーズに行うことができないなどの症状を引き起こすものを取りまとめた病名です。片方の顎が急に痛み出して発覚することがあります。原因は、上下の歯の噛み合わせの異常が考えられます。歯ぎしりや、精神的なストレスによるあご周りの筋肉の緊張も顎関節に負担となります。
主な診療科は、歯科・口腔外科です。口を大きく開けたなどで顎関節の脱臼が起こってしまった際には、すぐに受診しましょう。

顎の下付近に口内炎があって痛い場合の原因と治し方

赤く縁取られた2~10mm程度の丸くて白い潰瘍の口内炎が顎の下付近の口内に発生し、痛みを生じる症状が当てはまります。
すぐにできる対処は、刺激の強い香辛料や熱いものなどを避けることです。
口内炎ができる原因は、多くは免疫力の低下やストレス、栄養不足です。虫歯や入れ歯の不具合や火傷、ウイルス感染によることもあります。
主な診療科は、歯科・口腔外科です。多くの場合は10日間~2週間程度で改善しますが、それより長く症状が続くときには、他の隠れている病気も疑われるため、必ず受診しましょう。

虫歯があり、顎の下を押すと痛い場合の原因と治し方

虫歯があり、歯だけでなくあごの下も痛む症状が当てはまります。
まずは、氷や保冷剤などをタオルで巻き、患部を冷やしましょう。
このような場合、虫歯のみならず、顎骨炎になっている可能性があります。顎骨炎とは、あごの骨が炎症を起こしている状態です。虫歯が進行し、顎の骨まで炎症が広がると、顎の下が赤く腫れ痛み、発熱などの全身症状を伴うこともあります。
主な診療科は、歯科・口腔外科です。早めに受診するようにしましょう。

すぐに病院へ行くべき「顎の下を押すと痛い」症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

顎の下を押すと痛くてしこりが大きくなっている場合は、耳鼻咽喉科へ

顎の下にしこりがあり、最初は痛みがないことが多いのですが、だんだん大きくなり、痛みや痺れを伴うようになります。
このような場合、顎下腺がんが疑われます。顎下腺がんは、顎下腺という顎の下に左右一対ある親指の頭程度の大きさの臓器で唾液を分泌しています。
主な診療科は耳鼻咽喉科です。超音波検査、CT、MRIなどの画像検査、病変に注射針を刺し内部細胞を吸引する穿刺吸引細胞診などを行う可能性があります。

「顎の下を押すと痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、顎の下の痛みに関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような痛み方なのか、他の身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

顎関節症(がくかんせつしょう)

顎関節症では、顎を動かした時に痛みが生じる、関節部に雑音がする、顎の運動がスムーズでなく引っかかったようになる、などの症状がみられます。
あくびや、硬いものを噛んだことがきっかけで発症することが多くみられます。噛み合わせの異常や、歯ぎしりによって顎関節が傷ついたりすることや、精神的なストレスによる顎関節周りの緊張が関連していることもあります。
自分でできる対処法としては、筋肉のマッサージや開口ストレッチを行うことができます。筋肉マッサージは痛みのあるところに円を描くように指を動かし筋肉をほぐします。開口ストレッチは、顎を左右に動かす、口を開ける、顎を前に突き出す、などの動作を行います。
病院では、鎮痛薬や筋弛緩薬などによる薬物療法、噛み合わせの調整、マウスピースのようなものを使った治療を行います。それでもよくならない場合は手術を行うこともあります。
主な診療科は歯科・口腔外科です。顎関節症は重症になると、首や肩が凝ったり、口が開けられなくなったり、物が噛めなくなったりします。重症化する前に受診するといいでしょう。

リンパ腫

リンパ腫とは血液のがんの一種で、リンパ球ががん化してリンパ組織に腫瘤を作る病気です。首や脇の下などリンパ節が多い場所に、通常は痛みのないしこりとして現れ、数週間から数ヶ月かけて大きくなります。がん化したリンパ球は全身の臓器に広がってしまう可能性もあります。50~70歳台でかかりやすい疾患(好発年齢)で、男性にやや多く見られます。原因は明らかではありませんが、細胞内の染色体の異常や、ウイルス感染症、免疫不全などが考えられています。
悪性リンパ腫は、進行するにつれてしこりや腫瘍が全身に広まっていくため、早めに治療を開始することが大切です。体重の減少や発熱、顕著な寝汗、息苦しさ、麻痺症状などがある場合もあります。治療法は、化学療法、放射線治療、造血幹細胞移植などが病期や病状、全身状態を考慮し進められます。
顎の下のリンパ腫が疑われる場合は、耳鼻咽喉科が主な診療科です。しこりが大きくなっている場合、しこりが2-3週間以上なくならない場合は早めに病院を受診しましょう。

「顎の下を押すと痛い」ときに鎮痛剤・市販薬を飲んでもいいの?

市販薬は一般の方が使うことが想定されており処方薬ほど効果は高くないものの、原因が正しくわかっていれば症状の緩和が期待できます。痛みがある場合は、ロキソプロフェンが有効成分に配合されている鎮痛薬が有効です。鎮痛剤は胃の負担が大きいため、食後に服用するようにしましょう。症状が急激に変化している場合は、市販薬で対応できない場合もありますので早めに医療機関を受診しましょう。

肩こりやストレスが「顎の下の痛み」の原因!?

肩こりやストレスは、あごの周りの筋肉の緊張につながり、寝ている間に歯ぎしりをしてしまったり、過度な緊張で筋肉や関節を痛め、症状が現れることがあります。

肩こりが原因で顎が痛い・顎の下が痛い場合

肩こりの他に、頭痛、首こり、腕のしびれや痛みなどを併発していることもあります。顎が痛む、口が大きく開けられない、顎を動かすと音があるなどの症状が現れることもあります。
肩こりは、顎関節症という口の開閉時に痛みや雑音がする状態に発展する可能性があります。また、肩こりの症状に似ているのが脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)という背骨の中にある神経が通る道が狭くなる病気です。腰や足の痛み、しびれなどの症状が起こります。
主な診療科は整形外科です。肩こりの予防は、同じ姿勢を続けないようにすることです。こまめに首や肩をほぐしましょう。また運動不足やストレスは肩こりの原因となります。適度な運動をし、睡眠をしっかり取るなどストレスを溜めない生活を心がけましょう。

ストレスが原因で顎が痛い・顎の下が痛い場合

精神的ストレスが原因で、顎の筋肉が必要以上に緊張して痛みを引き起こすことがあります。寝ている間は無意識に歯ぎしりをしていることもあります。ストレスが加わると免疫力が低下するので歯周病や虫歯が早く進行し、歯や歯茎が痛むこともあります。
主な診療科は歯科・口腔外科です。上下の歯が口の中で接触していると、顎の筋肉に負担がかかります。上下の歯が離れているよう位置に普段から気をつけ、筋肉に力が入らないよう深呼吸するのも一つの方法です。夜間の歯ぎしりにはマウスピースをつけるという対策法などがあります。

食生活・口内環境が原因で顎が痛い・顎の下が痛い場合

親知らずが生えてきたり、その周囲に虫歯や歯周病が生じると、ジンジンとした顎の痛みが持続する、口の中の親知らずの周囲の歯茎が腫れるなどの症状が現れることがあります。
親知らずは斜めに生えてきたり、半分だけ埋まった状態で生えてきたりすることがあるので、ほおっておくと激しい痛みを生じたり、うまく歯磨きができず虫歯の原因になったりします。主な診療科は歯科・口腔外科です。親知らずが生えていない人は、毎日の歯磨きの際に親知らずのあたりが腫れていないかをチェックするといいでしょう。

「顎の下を押すと痛い」症状で考えられる病気と特徴

「顎の下を押すと痛い」症状から医師が考えられる病気は16個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

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まとめ

顎の周りは唾液線やリンパ節が集まっており、炎症を起こしやすい部位であるとともに、顎関節症は大変多くの人が悩む病気です。不快な症状がある、症状が良くならない場合は早めに医療機関を受診しましょう。